beacon

[国体少年男子]残り1分に岩崎劇的ゴール!京都府が2年連続3位に

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.21 国体少年男子3位決定戦 新潟県 0-1 京都府 雲仙市国見総合運動公園多目的芝生広場]

 21日に行われた第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」サッカー競技少年男子3位決定戦は、京都府が試合終了間際にMF岩崎悠人(京都橘高1年)が決めた決勝ゴールによって新潟県に1-0で勝利。2年連続の3位で大会を終えた。

 初優勝の夢が延長戦の末に断たれた準決勝終了後、京都の選手たちはベンチに戻っても思いを断ち切ることができていなかった。座り込み、うなだれる選手たち。東福岡高時代に高校3冠を達成し、京都DFとして活躍した手島和希監督(京都サンガF.C.)も「終わった直後の(選手たちの)落ち込みはかなり大きかったですね」と振り返る。「でも、すぐに切り替えてくれて、夕食のときにはもう元気いっぱいだったので。ただ、(きょうの)ハーフタイムはだいぶ疲労している感じで・・・夕食くらい盛り上がってくれればよかった。(ハーフタイムに選手に伝えたのは)チームの空気とか雰囲気とか第一で、(この試合が)最後なんでと」。指揮官が指摘したように、京都は疲労の影響もあってか、どこか元気のなかった3位決定戦の前半、新潟にチャンスをつくられた。

 今大会で初の4強入りを果たした新潟は、ひとつでも上の順位を狙って非常に意欲的な動きを見せる。MF関口正大主将(新潟明訓高1年)がドリブルで相手の守りに穴を開け、10分にはMF宮崎幾笑(新潟U-18、2年)が思い切った左足ミドル。さらに21分には左サイドからの連動した崩しを見せると、最後はFW堀航輝(新潟U-18、1年)の落としにMF楜澤健太(帝京長岡高1年)が身体ごと飛び込んだ。そして25分には左SB小川朋広(新潟西高1年)のミドルシュートがゴールを襲う。新潟は藤田敬三監督(新潟東高)の「ナイス、ナイス、どんどんやれ!」という声にも後押しされて思い切った仕掛けを連発。真っ向勝負で3位の座を勝ち取りに行った。

 京都も前半終盤から徐々にギアが上がっていった。31分には左SB李明賢(京都橘高1年)が、右サイドからダイアゴナルの動きで飛び出した岩崎へボールを入れると、絶妙なコントロールで前を向いた岩崎がPAへ潜り込んで決定的な右足シュート。さらにこぼれ球を岩崎が折り返し、MF島村拓弥(京都U-18、1年)が左足シュートを狙った。ただ新潟は前半終了間際にも決定機をつくる。敵陣左中間でのターンでDFを振り切った堀がPAへラストパス。後方からフリーで走り込んできた宮崎がコントロールから右足シュートへ持ち込んだが、シュートは枠上へ外れた。

 後半も新潟はビッグチャンスをつくったが、京都はシュート数を前半の4本から12本まで増やして攻め返す。5分、右サイドへ切れ込んだAFC U-16選手権日本代表MF田中康介主将(京都U-18、1年)の折り返しから岩崎が右足シュート。さらに15分には右SB日根野達海(京都U-18、1年)からのパスを受けた岩崎が巧みなコントロールでDFを外してPAから決定的な右足シュートを放った。20分にも岩崎の突破からAFC U-16選手権日本代表MF麻田将吾(京都U-18、1年)がチャンスを迎え、22分には島村のスルーパスでMF植田聡太(東山高1年)が抜け出す。だが新潟GK杉本陸(新潟明訓高1年)の好守に阻まれて先制点を奪うことができない。

 ただ、京都は守備陣が前半から好セーブを見せていたGK遠近眞明(京都U-18、1年)、CB小川礼太(京都橘高2年)中心に我慢強い対応。新潟も藤田監督が「(今大会で)全国の本物とやりたかった。(京都のようなトップレベルの相手に)どれだけ慌てないでできるのかと。(きょうは)対等にやれたと思います」と語ったようにサイドからの崩し、アグレッシブな守備で最後まで京都を苦しめた。24分にFW福間悠仁(新潟明訓高1年)がカットインからミドルシュートを放ち、32分には宮崎のラストパスから堀が決定的な右足シュートを打ちこんだ。ただ遠近の壁を破ることができない。

 逆に京都は34分、田中が強引に撃ちこんだ右足シュートのこぼれ球を拾った岩崎が「チャンス何回もあったんですけど、決めきれずに焦りました。でも、最後自分のところにこぼれてきて落ち着いて決められて良かったです」とGKをかわして右足で決勝点。京都唯一の高校2年生、小川は「前半とかチーム内で言い合いとか起きて雰囲気はあまり良くなかった。前半は昨日の試合を引きずって部分があって、いつも通りにプレーできていなかったし、後ろから見てても前の選手が少し動けていないという印象があった。それでもコイツらの『絶対に勝って終わりたい』という気持ちが最後上回ったと思います」と笑顔を見せた。

 頂点を狙っていただけに、やはり悔しい思いはある。それでも手島監督は「きのうはかなりチャンスもあっただけに選手たちも残念な気持ちだったと思うんですけど、きょうの難しい試合を獲れて、最後みんなで笑って終われたと思うので良かったです」。そして李は「去年を越えることはできんかったですけど、去年よりも成績を落とさんで終わることができたので、良かったかなと思います!!」と仲間たちの思いを代弁。京都は昨年に並ぶ3位という結果を残し、笑顔で長崎を後にした。

[写真]後半34分、京都府は岩崎がGKをかわして決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」特集ページ

TOP