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世界の高い壁に阻まれる…「adidas UEFA Young Champions 2015」の日本は4位終戦

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 日本、ドイツ、ブラジル、アメリカの4か国が顔を合わせた「adidas UEFA Young Champions 2015」が5日、ドイツ・ベルリンで開催された。日本からは関東大会、関西大会でMVPに選出された6選手が日本を代表して参加。世界を相手に戦ったが、6戦6敗の4位と結果を出すことができなかった。

 16歳以下の選手が5対5のミニゲーム形式で戦う同大会は、UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)決勝と同都市で毎年、世界一をかけて行われている。開催場所となったドイツ統一の象徴、ブランデンブルク門は「UEFA CHAMPIONS LEAGUE FINAL」の文字が舞うお祭りムード一色に。

 フィールドは人工芝のフットサルコートで、使用するボールは4号。頭より上へのパスは禁止され、交代は自由、10分1本の総当たり2回戦で予選を行い、上位2チームで決勝を戦うレギュレーションでの大会となった。

 日本の初戦は、2日前のテストマッチを3-0で一蹴したアメリカ。ところが、本番のスイッチが入ったアメリカが、牙を剥く。慣れないフットサル、観衆を入れた特設ステージ、大会の初戦……。さまざまな要因で浮き足立った日本は、先制点を許すと、2-5で黒星を喫した。「引いてブロックをつくり、カウンターから少ないチャンスで1点、2点とものにしていこう」という藤森大介監督(滝川二)のプランどおりに試合は運べず、ミスからカウンターを受ける場面を重ねてしまう。テストマッチで面白いように攻撃がはまって得点を重ねたが、アメリカのプレスに苦しめられ、さらに、ことごとく枠を外していたアメリカのシュートは、的確にゴールマウスをとらえた。「体の部分では負けていなかったけど、シュートを決めきれなかった」。チームで唯一緊張はなかったというDF梅澤崚(佐野日大)は、黒星スタートを回想する。

 DF綿引悠太(水戸桜ノ牧)を負傷で欠き、交代なしの戦いを強いられるなか、5分のインターバルを経て、すぐさまドイツ戦を迎える。試合に入っても固さが残ったままの日本は、2-7と大差をつけられて連敗。2試合分の休憩をはさんだ後のブラジル戦では先制したが、その後5ゴールを許し、1回戦は3連敗でのスタートとなった。

 ボックス型の布陣からダイヤモンド型の布陣に変更したり、前からプレスをかける守り方に変えたりと打開をはかると、先制する試合もあったが、各国のカウンターの脅威にさらされた。数的不利で守らざるを得ない場面が多かったDF鱧谷太亮(興國)は「「失点して焦って前がかりになって、僕との距離が開いてしまった。前でボールを失ったときに、すぐに1対2の場面をつくられて、どっちを切ればいいのか難しかった」。

 2回戦も黒星を重ね、6戦6敗、9得点30失点で大会を終えた。「キャプテンらしいことができなかった」とMF大矢啓太(滝川二)は肩を落とし、GK小林朋生(横浜創英)は「優勝を狙っていたので、本当に悔しいです」と唇をかんだ。ベンチから見守った綿引は「出られなかったのに、言うのもなんですけど」と前置きしつつ、「絶対に勝てた。本当にもったいない」とくやしさをつのらせる。

「課題は全部です。すべてが足らなかった」とMF福田崚太(横浜創英)が言うように、世界と実際に戦うことで、大きな宿題が見えた大会となった。

(取材・文 奥山典幸)

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