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[関西U-16~Groeien~2015]1年生にとって「最高の経験ができた」“公式戦”、興國が10チームの頂点に立つ!

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[8.28 関西U-16~Groeien~2015第9節 奈良育英高 1-8 興國高 伊勢ヴィレッジA]

 関西地域の強豪10校の1年生たちが長期にわたるリーグ戦を通して成長を目指す「関西U-16~Groeien(育てる)~2015」は28日、伊勢フットボールヴィレッジで最終節を行い、首位の興國高(大阪)は奈良育英高(奈良)に8-1で快勝。勝ち点で並んでいた神戸弘陵高がこの後行われた四日市中央工高戦で引き分けたため、興國が新設された大会の初代王者に輝いた。

 勝ち点で並ぶ神戸弘陵にプレッシャーをかけるため、大量得点を狙った首位・興國。前半6分に右サイドを突いたFW西口智大の折り返しをMF小倉明斗が決めて先制。その後も雨中で高い技術を発揮するMF景山豪やMF村岡正梧、小倉を中心にボールを支配して攻める興國は右の西口が突破力を示し、左FW福森大樹がクロスバー直撃の右足シュートを放つなど攻め続ける。
 
 主力のけがなどによってフィールドプレーヤーは13人だけという陣容でこの2連戦に臨んだ奈良育英はボールを奪うとすぐに前線へボールを入れるが、興國CB高垣海来のインターセプトにあうなど攻撃の形をつくることができない。それでも素晴らしいセーブを連発するGK古橋和馬に支えられた奈良育英はMF向井悠人の抜け出しなどで反撃。35分に景山の左CKから高垣に頭で決められたが、直後の37分、MF城戸智希がDFラインの背後へボールを入れると、「後ろ、GKも頑張ってくれていたし、自分の仕事は点取ること。あれは気持ちです。(川本)コーチに『勝つ気持ちあるところにボールは転がってくる』と言われていた」というFW稲本旭がGKとの接触を怖れずに飛び込んでゴールへ押し込み、1点を返す。

 だが、興國は40分に右SB岡田寛也のクロスをFW西村恭史が技ありボレーで決めて3-1で前半を折り返すと、後半は3分にMF久保匠以が決めたゴールを皮切りに、西村の連続ゴールとMF角脇世文のゴールで7-1。42分にもFW菅野琉巳が決めて8-1で快勝した。神戸弘陵に得失点差で8点差をつけて優勝をほぼ手中にした興國は、その後隣接する会場で行われたトレーニングマッチ中に優勝が決定。ライバルの引き分けを確認した数人の選手たちが静かに優勝を喜んでいた。
 
 興國の風巻和生スーパーバイザー(C大阪アカデミーコーチ)は「いろいろな選手が出て、経験をすることができた。90分の試合では15分ごとに波がある。耐えないといけない時間帯もある。90分間の体内時計を養うためには最高の相手と、最高の経験ができた。(チームの戦いにも波もある中)4か月のリーグ戦で選手が成長できた」。今年発足した「関西U-16~Groeien(育てる)~2015」に参加した10チームは、風巻コーチが「選手が公式戦モードになるようなシステム。(コーチたちも)公式戦という言い方をしていました。モチベーションを高めて、お互いが切磋琢磨できるように」と説明したように、この大会を「公式戦」と捉えて臨んでいた。

 人工芝グラウンドを準備して45分間ハーフのゲーム。試合記録もつけて報道することで選手たちの意識を高めた。1年生選手、若手指導者だけでなく、またユース審判を活用して彼らも育てることが「関西U-16~Groeien(育てる)~2015」の目指しているところ。その中で特に強い思いで成長の場にしようとしていたのが興國だった。この大会のために公式戦ユニフォームを準備して選手たちのモチベーション向上。村岡は「みんなの集中力であったり、ひとつのプレーの激しさであったりははじめの試合に比べたら段々良くなってきてパスの成功率とか上がってきて、自分たちの思うようなサッカーができてきた」と語り、景山は「(公式戦用のユニフォームで)いつもより気持ちも昂ぶって。45分ハーフですし、この経験はなかなかできないこと。本当にプラスになることが多いです。優勝できたことは凄く良かった」と「関西U-16~Groeien(育てる)~2015」で経験を積むことができたこと、そして優勝を喜んだ。

 今大会の発起人である興國の内野智章監督は「大垣と塩崎はここで育った。ジュニアユース時代に有名じゃなかった選手もここで評価されるようになっている」。すでに1年生チームから飛び出してAチームに帯同しているCB塩崎悠司(U-16日本代表)やFW大垣勇樹(U-15日本代表候補)は「関西U-16~Groeien(育てる)~2015」でチャンスを掴んだ選手だ。真剣勝負を経て、新たに台頭する選手は現れるか。奈良育英の稲本が「自分も引っ張っていって全国に出て通用するチームにしたいと思っています」と語り、興國・景山が「個人的にはもっと技術を磨いてチームの柱になれるような選手になりたい。今年は難しいと思いますけれど、来年からインハイ選手権に絡んで全国出られるようにしたい」と語ったように、U-16の“公式戦”9試合を経て成長した選手たちがここから、目標とするステージへと羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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