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[MOM1611]青森山田MF神谷優太(3年)_「俺がやらなきゃ」発奮した10番が決勝ゴール!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.6 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 F東京U-18 1-2 青森山田高 東京ガス武蔵野苑多目的グラウンド(人工芝)]

 エースの宿命か。彼には毎試合のように厳しいマークが付く。この試合においても、青森山田高FW神谷優太は要注意人物として警戒されていた。前節の鹿島ユース戦は、相手のマンマークにも苦しみ、ツーシャドーの一角としてのスタートだったが、ボールを受けに下がってしまい、攻撃力という持ち味をなかなか出せずに終った。

「鹿島戦の後にいろいろ考えた。いかにマークを外して、前に出て行くか。考えた結果、もっと運動量を上げるしかないと」。こう語ったように、この試合では後ろに下がりながらも、サイドやアンカーの波塚勇平にボールが入ると、一気にスプリントしてバイタルエリアに顔を出し続けた。

 前半は神谷のチャレンジも、相手の勢いに消される形だったが、後半になると一気に効力を発揮し始める。2分、左サイドを破った三上孝太に対し、バイタルエリアのスペースにタイミングよく走り込むと、三上からマイナスのパスが届く。完全にフリーだったが、放ったシュートはコースに飛び込んで来た相手DFの後ろ足に弾かれ、ゴールを外れていった。さらに15分には波塚から右サイドのMF豊島祐希にボールが届くと、ファーサイドで相手の死角に入ってから、一気にペナルティーエリア内にダッシュ。サイドをえぐった豊島のマイナスの折り返しを、ニアでFW鳴海彰人がスルー。ボールはフリーの神谷の下へ。しかし、決定的なシュートは相手GKのファインセーブにあった。

「2本とも決めないといけないシュートだった。青森山田の10番として、このままでは絶対に終われないと思った」。ハーフタイムでの出来事だった。控え室からピッチに出る時、大久保コーチから「優太、お前は10番だぞ」と檄を飛ばされた。「言われて、自分の胸の番号をもう一度見たんです。『俺がやらなきゃ』と奮い立ちました」(神谷)。

 ノーゴールでは終われない。迎えた22分、中央でMF高橋壱晟がボールを受けた瞬間、「左にスペースがあるのが見えた」と、中央から左にポジションを移しながら、ボールを呼び込む。高橋のパスを受けると、持ち出して左足を一閃。ボールはGKを弾いて、ゴール右隅に突き刺さった。

 このゴールが決勝点となり、青森山田が2-1で勝利を掴むが、優勝には届かなかった。「終わって、ベンチを見たら、×のマークが出ていた。正直、やりきれない気持ちにはなった。でも、僕らにはまだ選手権がある。気持ちを切り替えて、選手権に臨みたい」。悔しさはある。だが、それを昇華する場所がまだある。「まだまだ運動量が足りない。もっと上げて、選手権ではより怖い存在になりたい」。彼の眼はまっすぐに前を見つめていた。苦しみながらも、青森山田の10番としての自覚をより大きくさせたエースが、新たなる決意を固めた。

(取材・文 安藤隆人)
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