beacon

[プレミアリーグ参入戦]重圧の中でも継続した新潟スタイル、終了2分前の決勝点で新潟U-18がプレミア昇格!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.13 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 新潟U-18 1-0 徳島市立高 Eスタ]

 何とも劇的な幕切れだった。高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグ参入戦2回戦。アルビレックス新潟U-18(北信越1、新潟)と徳島市立高(四国、徳島)の試合は拮抗状態のまま、試合時間は残り2分という状況にまで追い込まれていた。だが、ここで新潟のエースが魅せた。MF鎌田啓義は右サイドでボールを受けると、そのまま得意のドリブルで前進。クロスボールを入れる動きに惑わされた相手の動きを見て、鋭く切り返してカットイン。そこから左足を「ぶち込むだけ」と振り抜くと、あれほど遠かったゴールネットがついに揺れた。

「正直、鎌田のゴールが決まった時点で(涙腺が)ヤバかった」

 新潟・入江徹監督がそう振り返る、しかしその感想も納得の劇的な一発だった。

 決して簡単な試合ではなかった。「(徳島市立は)すごく中盤でつなげるチームだし、サイド(の攻撃)もあれば真ん中もあって、2列目からの飛び出しもある。今日やってみて、あらためて『力のあるチームだ』と思った」と入江監督も言う。両チームとも慎重に試合へ入る中で、我慢比べのような展開になっていったのは半ば必然だった。全体として新潟が押し気味ではあったものの、ハイレベルなCB奥田雄大を中心とした組織的な守りに加え、右SBの吉川航平など“個”の対応で勝負できる選手もおり、容易に崩すことができない。後半6分には徳島市立MF岸田大世に単独突破からのシュートを打たれて、GK阿部航斗が足での際どいセーブを余儀なくされるシーンもあった。

 ボールは支配しながらも決定的シュートはそれほど打てていない。最終的なシュート数も11対11で互角だったが、新潟が押していても押しきれない状態にあったのは間違いない。「負けたら終わりのプレッシャー。独特の雰囲気がある」(DF長谷川巧)中で、新潟により強いストレスの掛かる試合だったかもしれない。それでも継続したのは、丁寧につないでサイドハーフを起点にしながら攻める新潟のスタイル。新潟MF宮崎幾笑は「どこかで点は取れると思っていた」と断言する。最後の時間帯で一瞬のスキをついたのは鎌田の決断と個人能力による部分が大きかったが、乱れることなく攻撃を継続してきた姿勢が徳島市立守備陣を消耗させた結果でもあった。

 先制後は徳島市立もガムシャラな攻勢に出たが、新潟もDF佐久間理央を中心に懸命の防戦。割り切って守るという意思統一がされており、最後までその壁がほころぶことはなかった。そして迎えた試合終了のホイッスル。「3年生最後の試合を後輩のために」(阿部)と戦い抜いた最上級生たちが勝利の雄叫びをあげると、下級生たちの歓声がそれに続いた。

「歴史を変えようとやってきて、見事に応えてくれた。これまでの大会では悔しい思いをしたし、私自身、選手に申し訳ないという気持ちだった」と入江監督。それだけに、「この大会だけは最後に勝ちたかった」(宮崎)という心でチームが一つになっていたことが大きな勝因だろう。

 もちろん、プレミアリーグに昇格したということは、来年そのステージでの戦いが待っているということでもある。「3年生にずっと助けてもらってここまできた。絶対に1年で落とすわけにはいかない」と、来年の中心選手と見込まれる長谷川は言う。同時に「ワクワクしている」とも付け加えた。卒業する先輩たちから大きな置き土産を残された新潟U-18の後輩たちがこのオフをどう過ごし、来季どんな姿を見せてくれるのか。いまから楽しみにしておきたい。

(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
2015プレミアリーグ

TOP