[2.15 九州高校(U-17)大会決勝 東福岡高 1-0 大津高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場C]

　15日に発表された日本高校サッカー選抜メンバーに選出された東福岡高MF藤川虎太朗(2年)が、同日に開催された九州新人大会決勝戦でも抜群の存在感を放った。非常に強い風の影響で思うようにパスが繋がらず、ともに高い技術レベルにある東福岡、大津高の両校の選手たちでもボールタッチが乱れ、タッチラインやゴールラインを割るようなシーンの連続。だが新生・東福岡の10番はその中でも高いスキルを見せ続けた。

　昨年は全国高校総体で5得点を挙げて得点王(他3人)を獲得。怪我明けだった全国高校選手権でも準決勝、決勝でゴールを決めてチームの夏冬連続日本一に大きく貢献した。主力のひとりだった昨年から、今年はチームの柱にならなければならない。特に藤川はエースとして突き抜けた存在になる意気込みでいるが、自身は攻撃だけ頑張ればいいとは毛頭考えていない。

　この日、抜群のボールコントロールや、スルーパス、攻撃の起点となるパスでも目立ったが、同時に印象的だったのは守備の姿勢だった。「(きょうは)自分が攻撃していて仲間が取られたりした時に自分がボールを奪うことを意識していました。狭いスペースのうちに潰していくということを要求されている。それができたので良かった。エースだから走らなくていいとかではなくて、エースだからこそ走り切らなくてはいけないと思うので、もっともっと走り切ってチームに貢献していきたい」

　森重潤也監督は昨年から先発を担ってきた2年生たちについて、「最上級生というか、(対戦相手が)同じ学年になった時にちょっと強くなっていたんだなとこの大会に入って感じました。今まで3年生がしっかり軸になってやっていたところを、彼らがしっかり軸になって、周りに経験したことを伝えながら周りのレベルをしっかり上げて行ってほしいなと思います」と期待していたが、藤川は軸になるひとりとして東福岡で先発する選手がどうあるべきか、プレーで表現していた。

　新人戦九州制覇と好発進した東福岡だが、全国3冠を掲げているチームはその目標を達成するためによりレベルを引き上げていかなければならない。藤川自身にとっても、今年はプロに駆け上がるため、より成長を果たさなければならない一年となる。「しっかり自分もプロになれるようにアピールしていかないといけない。チームのために走ることや、個人技を磨いていきたいなと思います」。昨年のチームでも十分に存在感光っていた藤川が今年、より大きな輝きを放って、チームとして、個人としての目標を達成する。

(取材・文　吉田太郎)