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“香川を抜いた男”“宇佐美タイプ”高校選抜MF牧野に注目、古巣G大阪応援席から声援飛ぶ

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[2.20 NEXT GENERATION MATCH U-18Jリーグ選抜 1-1 日本高校選抜 日産ス]

 13時35分キックオフの富士ゼロックススーパー杯の前座試合。10時20分のゲームということで、スタンドの観客はまばらだった。しかし、ゼロックス杯に出場するガンバ大阪の応援席から発せられた声が、日産スタジアムに響き渡る。「まきの~!」。日本高校サッカー選抜のMF牧野寛太(履正社高)を応援する声だった。

 G大阪の応援席から声が飛んだのは、高校入学までG大阪ジュニアユースで過ごしていたからだった。牧野は史上初のジュニアユース3冠(JFAプレミア杯、高円宮杯全日本選手権、日本クラブユース選手権)を成し遂げた世代の一員で、ユースに進んだ同期のMF市丸瑞希、MF高木彰人、DF初瀬亮、一学年下のMF堂安律は今季よりトップチームに昇格する。

 試合後にはトップチームですでにベンチ入りを果たしている初瀬と話す機会があった。「今日先発するの?」「いや、ベンチやで」というやり取りだったというが、互いに刺激し合った。

 牧野にはもう一つの“伝説”がある。関西地方で2012年まで放送されていたバラエティ番組「冒険チュートリアル」(関西)の中で、『セレッソ大阪vs小学生100人サッカー対決』という企画が2010年2月に放送された。小学生は関西トレセンに選ばれていたメンバーで構成されたが、当時小学6年生の牧野も参加した。

 そこで牧野はプロを相手に2人を抜く圧巻のパフォーマンスを見せて出演者を驚かせた。その2人のうち、最初に抜いたのが、当時エースとして在籍していたMF香川真司だった。対戦を振り返った香川は、印象的な選手として牧野の名前を挙げたという。牧野も「42番が良かったと言ってました」と嬉しそうに思い出話を話してくれた。

 憧れる存在が常にいる。「ずっと宇佐美(貴史)選手が好き」。直接的な面識は、JY時代に「ロッカールームで会ってあいさつしたくらい」というが、当時の監督からは「貴史に似ている」とよくプレースタイルを褒められていたのだという。「シュートもドリブルも日本人離れしている」と今でも憧れる思いは変わらない。

 高校卒業後は関西大に進学するが、「1回(生)か2回(生)で特別指定を貰いたい」と、プロの舞台で勝負したい思いは強い。そのプロを意識させるのは、やはりG大阪JY時代の同期の存在。もちろん彼らに活躍してほしいという思いはあるが、「悔しい気持ちはある」と本音を隠そうとはしない。

 身近な目標として、3月に高校選抜で行うドイツ遠征を楽しみにしている。「ドイツで自分のプレーが通用するか試したい。将来、海外でやるのが目標なので」。2020年の東京五輪代表にもつながると信じている。「結果にこだわって、もっとどん欲にプレーしたい」。理想と語る「僕らの世代のG大阪JYの選手でメンバーを埋める」ことに一歩でも近づけるように、牧野はどん欲に成長を続ける。

(取材・文 児玉幸洋)

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