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[プレミアリーグWEST]“衝撃”のプレミアデビュー!「人生懸けた」神戸弘陵がJユース杯準Vの名古屋U18に3-0快勝!

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[4.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 神戸弘陵高 3-0 名古屋U18 万博]

 神戸弘陵、“衝撃”のプレミアデビュー――。高校年代最高峰のリーグ戦、「高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグWEST」は10日、第1節2日目を行い、プレミアリーグ初参戦の神戸弘陵高(兵庫)が3-0で昨年のJユースカップ準優勝チームである名古屋グランパスU18(愛知)に快勝。プレミアリーグ初陣を白星で飾った。

「『この試合のために人生懸けろ』『点決めたら人生変わるかもしれへんぞ』と言われて。モチベーション高かったですね。応援も最後まで声切れずに、みんなで走り切れましたね」。神戸弘陵のMF谷後滉人主将(3年)は充実した表情で振り返った。「勝とうと思ったのはボクらくらいしかないと思う」と谷純一監督が微笑んだように、対戦した名古屋はU-18日本代表MF梶山幹太主将(3年)をはじめ、いずれもU-17日本代表のCB青山夕祐(2年)やMF菅原由勢(1年)ら今年に入って年代別日本代表を経験している選手が5人おり、それ以外にもJユースカップ得点王のFW深堀隼平(3年)らを擁している強豪。それでも神戸弘陵は名古屋の山崎真監督が「すごく大事なことを教わったと思います。そういうプレーを神戸弘陵さんは90分通してやってこられたと思います」と評したほどに熱い戦い。球際の激しさで相手を上回り、また身体を張った守りでシュート、クロスを打たせず、そして神戸弘陵の特長でもあるテクニカルな部分も発揮して勝ち切った。

 立ち上がりから名古屋がボールを握り、時に梶山がドリブルでボールを大きく運ぶシーンもあったが、むしろ球際での勢い、攻撃時の迫力で上回っていたのは神戸弘陵の方。昨年のプレミアリーグ参入戦でジュビロ磐田U-18からの勝利を経験している谷後は「(相手の)ユニフォーム見てビビんなよ」と声がけしていたというが、神戸弘陵は全く臆することなく、名古屋に立ち向かっていた。その神戸弘陵が17分にスコアを動かす。DFの背後を突いたMF安達敬祐(3年)が決定的な右足シュート。クリアボールを拾ったMF木野剛基(3年)が素晴らしい弾道の右足ミドルを枠へ飛ばすと、GKが弾いたボールにいち早く反応したMF竹村史明(2年)が右足で先制点を叩き込んだ。

 名古屋は23分にMF田中彰馬(3年)が放った右足FKがゴール右下隅を捉えるが、神戸弘陵GK鈴木悠太(3年)がファインセーブ。この後も神戸弘陵の守備が光る。谷監督は「ブロック作って追い込む守備もあるんですけど、(個人が)奪えるのに行かないというのが多くて、(リスクもあるが)でも突っ込んで取れる場面もある。強く行くのか、行かずに遅らせるのかチームで判断するというところを春からずっとやってきた」と説明したが、各選手が思い切り良くボールホルダーにチェイシングしていた神戸弘陵は1対1の局面で優位に立つ。加えて、この日チームで光ったのは、シュートを簡単には打たせない守備。谷監督は「ゴール前でシュート打たれるとき、DFには前に立てと言っているんですけど、腰が引けたり、顔そむけたりする。でも、選手権で(優勝した)東福岡の子とか顔面当ててもボール止めに行くという場面の話をしたり、チームのためにどんだけ力発揮できるか、顔当たるのが嫌やから顔守るのか、チームのために守るのかの違いになってくると思うんで、そういう部分は強く話はしています」。前半にはCB木村俊文(3年)が接触を怖れずにルーズボールに頭から飛び込んでクリアするシーンがあった。指揮官も「ああいうプレーは最高。ボクは好きです」とほくそ笑んだナイスプレー。またCB中垣智博(2年)がスライディングで足を伸ばしてクリアしたり、右SB渡辺玲斗(3年)、左SB野中歩真(3年)もゴール前の局面で必ず相手より先にボールを触って得点させなかった。

 そして神戸弘陵は前半30分、右ショートコーナーから竹村がクロス。これをニアサイドの谷後が右足ダイレクトで合わせて2-0と突き放す。名古屋は後半、深堀や田中が繰り返しスペースを突いてPAを強襲。23分には田中との連係で右サイドを破ったSB宮島裕(2年)の決定的なラストパスがゴール前に入り、25分には田中のクロスが深堀に届いたが決め切ることができない。逆に神戸弘陵はよくボールをキープしていたFW村山健(3年)と谷後、またFW住田翔(2年)や竹村がカウンターやコンビネーションを駆使して決定機もつくる。そして27分、竹村がファインショットを突き刺して3-0。終盤にビッグチャンスを作られたものの、GK鈴木の好守で阻止した神戸弘陵は5つの交代枠も積極的に使ってハードワークを継続し、初陣で見事に快勝を収めた。

 昨年のプリンスリーグ関西を制し、選手権でも16強入りを果たしているとは言え、世代が入れ替わり不安視される面が大きかった。「正直、世間のみなさんも弘陵が“ドル箱”というイメージがあったと思う」(谷監督)。それでも初挑戦するプレミアリーグで周囲も驚く勝利を果たしてみせた。今春、プレミアリーグへ向けて大学生との5試合を含む18連戦を行ってきたという神戸弘陵。特長でもある選手間の距離、技術、コンビネーションの部分に加えて、全国トップレベルのチームや海外のチームが試合で表現する部分を強化してきたという。ゴール前でシュートを打たせない守備、また先制点に繋がった木野のミドルシュートや竹村が決めた3点目などは取り組んできたことの成果だ。谷監督は「何のためにみんなで身体張って守って、ボール運ぶかといったらシュート打って決めるためやから、(シュートを打てるシーンで)わざわざパスすることはない。練習の残り10分、15分は抑えてミートして強いシュートを打とうとやってきた。(最近全国クラスのチームに勝てなかったために)根本的に見なおそうと。前にやったことは継続しつつ、体張った守備、シュートレンジで撃ち切るというところを春ずっとやってきました」。それがまず1勝に繋がった。

 谷後が「谷先生は『これでオレらが3-0、4-0で倒したら全国驚くぞ』と言っていて。ボクも全国驚かせようと思っていましたし、世間では『弘陵、すぐ落ちるやろう』というのがあるんですけど、それをしっかり覆せるようにしたい」と語り、次節の前年王者・G大阪ユース戦へ向けては「前回チャンピオンっていうのは去年のチームの話だけであって、今年はやってみないと分からない。名古屋グランパスもボク、ビデオで見た時『めっちゃ強いな』と思っていたので。この勢いを大事にしながら、またいつもどおりにやっていきたい」。全国トップレベルの対戦相手も同じ高校生。自分たちがやるべきことを貫けば、戦えることは証明した。だが、まだ1勝。快勝の裏で課題もあった。気を緩めることができるほど、甘くないリーグであることも理解している。全国を驚かせた1勝を弾みと自信に、また課題を突き詰めて、より戦うチームとなって、強豪たちとの全18試合に挑む。

[写真]前半16分、神戸弘陵はMF竹村が右足で先制点

(取材・文 吉田太郎)
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