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[クラブユース選手権(U-18)]東京Vユースが浦和ユースに完封勝利で全国行き!! MF大久保ミドルでリベンジ成功

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[5.29 第40回クラブユース選手権(U-18)関東・決勝T2回戦 東京Vユース1-0浦和ユース ヴェルディG]

 第40回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)関東大会決勝トーナメントの2回戦2日目が29日に各地で行われた。関東の全国大会出場枠は11チーム。東京ヴェルディユース浦和レッズユースに1-0で勝利し、8強入りを果たすとともに全国切符を手に入れた。敗れた浦和は6月4日に行われる下位トーナメントで全国行きへ望みをつなぐべく、鹿島アントラーズユースと戦う。

 全国行きをかけた一戦は互いのストロングポイントを全面に押し出し、真っ向からぶつかりあう好ゲームとなった。東京Vユースは4-4-2システムを採用し、丁寧につないではゴールを目指した。4-5-1システムの浦和ユースは、コンパクトな中盤から縦へスピードに乗ったシンプルな攻撃で相手ゴールへ迫った。

 この日の東京Vでは、すでにトップチームでJデビューしているMF渡辺皓太(3年)がボランチで先発。平日の練習ではトップへ帯同している渡辺にとって、5月7日のプリンスリーグ・山梨学院高戦以来、約3週間ぶりのユースでの出場となった。

 開始6分には、DF3枚を引き連れた渡辺が中央からドリブルで持ち込み、右サイドへ展開。FW栗畑玲偉(1年)の折り返しからFW中根玄暉(3年)がシュートを打つも、クロスバー上へ外れる。直後の7分には攻め上がったDF小幡祐稀(3年)のパスから右へ開いたMF藤本寛也(2年)が中へ折り返し、粟畑がシュートを打つもGK山田晃士(3年)に止められた。

 試合後に藤吉信次監督が「どこが空いているか、相手を見ながらやろうと話していた。それがすごく出来ていた。選手たちがよくやってくれました」と称えたように、その後も東京Vは中盤を経由しながら広くボールを動かしては、ここぞの場面で前へ仕掛けて、ゴールを脅かした。

 対する浦和は立ち上がりこそ相手に支配権を取られたが、果敢なプレスでボールを奪い、縦への攻撃を繰り返すなかで、徐々にリズムをつかみ始める。前半18分には相手のミスを突き、中央からのカウンター。FW時里元樹(3年)のドリブルから左サイドへ開いたFW川上エドオジョン智慧(3年)へつなぎ、折り返しに味方が飛び込むも、相手DFにクリアされる。

 前半25分にはドリブルで縦へ仕掛けた川上が倒され、ゴール正面でFKを獲得。時里が直接狙ったボールは枠を捉えるも、GK佐藤久弥(3年)の好セーブに阻まれた。前半を0-0で折り返す。

 後半に入っても互角な戦いは続く。後半8分には浦和に決定機。敵陣内での素早いリスタートから、右サイドのMF高山大智(3年)がファーサイドへ折り返し、PA左の角度ない位置から川上がシュートを狙うも、走りこんでいたMF三浦雅人(1年)にクリアされた。

 じりじりと時間が過ぎる中、後半16分についに試合は動く。敵陣内でボールを失った東京V。カウンターを許してしまうかに思われたが、すかさずMF森田晃樹(1年)が奪い返す。「必死すぎて覚えていません」とこの場面を振り返った1年生MFだったが、「守備のときは予測が得意。そうでないと身体が小さいので負けてしまうので」という通りのボール奪取で、すかさず攻撃に転じた。

 これを受けた渡辺が右サイド藤本とのパス交換からワンフェイク入れて縦へパス。反応したMF大久保智明(3年)がドリブルで持ち込み、PA手前正面で左足を一閃。低い弾道のミドルシュートを決めた。東京Vユースが先制に成功した。

 4月30日に行われたプリンスリーグ第4節で、東京Vユースは浦和ユースに2-3で敗れていた。先制されるなか、一時は逆転したものの、終了間際に二度目のリードを奪われての黒星。この日は先制した東京Vの選手たちだったが、その胸にはプリンスリーグで勝ち越された苦い敗戦の記憶が蘇っていたという。

 しかし逆に、それが“カンフル剤”となり、リードにも気を緩めることなく、全員守備で浦和の攻撃を跳ね返す。あわやピンチの場面では渡辺が身体を張って、ボールを奪取。相手の攻撃の芽を摘んだ。

 1点を追う浦和は後半16分にMF渡辺陽(3年)がミドルシュートを狙うもわずかに枠外。同20分には川上のパスから左サイドのDF鈴木海都(3年)がファーサイドへ折り返し、時里がダイレクトで狙うがクロスバーを叩いた。

 全国行きを手にするために、なんとしてでも追いつきたい浦和。後半31分にはMF大西翔也(2年)に代わり、MF樋口颯太(2年)が入るとロングスローで立て続けにチャンスを演出。出場直後のファーストプレー。樋口が右サイドから投げ入れ、ゴール正面のDF橋岡大樹(2年)が頭で合わせるも大きく外れる。その後もセットプレーや縦への仕掛けで立て続けにチャンスを迎えた。

 後半35分には後方からつなぎ、FWシマブクカズヨシ(2年)の左クロスから最後はゴール前右へ走りこんだ時里が狙うも、ポスト右へ流れた。PA内まで持ち込むがあと一歩のところでDF谷口栄斗(2年)らにクリアされるシーンが続く。

 耐え忍びながらも機を見ては前へ攻め込む東京V。後半アディショナルタイム2分にはカウンターからDF松本幹太(3年)が左クロス。ゴール正面でフリーの大久保が体制を崩しながらもダイレクトで叩いたが、クロスバー上へ外れた。

 浦和は後半アディショナルタイム3分、右サイドで仕掛けたシマブクの折り返しにゴール前へ詰めていた橋岡が左足を伸ばすも、わずかに届かない。ファーに流れたこぼれをMF井澤春輝(2年)が狙ったがGKに阻まれた。そのまま試合は終了。東京Vが浦和の攻撃を凌いで、大久保の先制点を守り切り、1-0で勝利した。

 試合後、リベンジ達成で8強入りした東京Vの藤吉監督は「レッズの速さや裏へのスピードはわかっていた。プリンスリーグで負けていたが、それによって対戦前に準備ができていた」と明かす。

「リベンジしたいという悔しさが選手たちにも、俺の中にもあって。サッカー的にもタイプが違う相手に対しての練習を1週間かけてやってきたなかで手応えがあった。選手たちがしっかりやってくれた、いいゲームだった」

 これで全国大会出場が決まった。先を見据える指揮官は「全国を決められたことが良かった」と安堵の表情を浮かべながらも「ここでレッズさんに勝って。次はレッズさんのためにも上に上がって。関東大会でも優勝できるようにしていきたいと思う」と誓った。

(取材・文 片岡涼)

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