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[プレミアリーグEAST]トップ練習参加後の公式戦で奮戦、横浜FMユースが後半3発でFC東京U-18に逆転勝ち!

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[7.2 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 横浜FMユース 3-2 FC東京U-18 保土ヶ谷]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグEASTは2日、第7節1日目の横浜F・マリノスユース(神奈川)対FC東京U-18(東京)戦を行い、横浜FMが3-2で逆転勝ちした。

 昇格1年目の横浜FMは前節まで9位と苦戦。加えて、この日は午前中にトップチームの練習に先発11人中9人(計10名)が参加していたことによる疲労もあってか、前半はどこか動きが重かった。「守備でも攻撃でも両方一歩遅い」(松橋力蔵監督)チームは攻守両面で中途半端になってしまい、FC東京にボールを握られる時間が増えた。距離感良くボールを動かすFC東京が右サイドでのワンツー、クロスからFW松岡瑠夢(3年)がヘディングシュートを放つなど攻めたのに対し、ハイサイドからの崩しを狙う横浜FMだが、MF平川怜(1年)や右SB岡庭愁人(2年)に突破をストップされるなど攻め切れないシーンが続く。カウンターからチャンスも作った横浜FMは35分には左サイドで突破口となっていた1年生MF椿直起が持ち上がり、ラストパスをCB板倉洸(3年)が右足で狙ったが、GK波多野豪(3年)の好守に阻まれるなど前半は1点が遠かった。

 44分、押し気味に試合を進めていたFC東京が先制する。左CKのセカンドボールを引き寄せて放ったシュートが相手のハンドを誘い、PKを獲得。これをMF伊藤純也(3年)が右足で決めてリードを奪った。球際の攻防で優位に立っていたFC東京がゴール前の局面で迫力勝ち。対してリードを奪われた横浜FMだが、沈んではいなかった。FW渡辺力樹(3年)が「(トップの練習による疲労は)関係ない。みんな、その先のトップも大事なんですけど、自分たちのプレミアも大事と、(午前中に)トップに行っていた時から言っていた。(プレミアリーグに)出るやつは頑張ろうぜと」と振り返り、右SB常本佳吾主将(3年)は「(タフな日程だが)ここで何ができるか。個人として試されているところ。個人として、チームとして結果にこだわって挑んだのが3-2という結果に繋がったと思います」。

 前評判が高い中で迎えた今年、ここまで結果はついてきていなかったが、「ゲームの中で何もかもが悪かったわけじゃない」(松橋監督)という横浜FM。攻め込みながら逆に1チャンスで失点してしまうなど歯車が噛み合わなかったが、松橋監督から常々「サッカーは理論であり、戦いでもある」とメッセージを受けているチームはこの日の後半、走力、球際での厳しさでも相手を上回って試合をひっくり返した。横浜FMは後半から4-3-3から4-4-2システムへ変更したことも功を奏す。FW渡辺は「動き出しの面で1人で(CB)2人を相手にしなくていい。前半よりははっきりとした動きができるようになった。FC東京も疲れていてプレスバックが弱くなったところがあると思う」と振り返っていたが、後半開始から投入された179cmFW西田優太(3年)が前線に加わり、ボールを収める回数が増加。前への力をより発揮していた横浜FMは8分、期待の1年生MF椿が左サイドからの鮮やかな突破でゴールを奪う。

 ファーストタッチでDF1人を振り切った椿はカットインから縦への動きでDF1人をさらに置き去りに。そしてGKとの1対1からトゥーキックで同点ゴールを流しこんだ。FC東京は直後に中学3年生のU-17日本代表MF久保建英を投入する。だが、中央が厚くなりセカンドボールを拾う回数を増やした横浜FMは17分に右クロスを椿が折り返し、渡辺が決定的なヘッド。これは波多野にセーブされたが、直後の左CKを交代出場MF山田康太(2年)が蹴りこむと、ファーサイドの常本が頭で合わせて逆転した。

 FC東京は22分に久保が立て続けにシュート。対する横浜FMはミスも少なくなかったが、連動したプレスで相手のパスを足に当てるシーンが増え、CB坂本寛之(3年)がいい形でインターセプトするなど勝負どころで流れを渡さない。そして30分、左サイドの椿がMF川原田湧(3年)とのワンツーを完結。ラストパスを入れるとニアで渡辺が潰れ、背後から飛び込んだ山田が右足で3点目のゴールを奪った。FC東京も34分に久保の中央突破から伊藤のラストパスを左SB生地慶充(3年)が決めて1点差としたが、最後まで押し切った横浜FMが今季2勝目を挙げた。

 2試合連続で逆転負けとなったFC東京の伊藤は「1点目取られた時のショックが少なからずあったと思う。心の緩みが失点につながっていると思う。雰囲気だったりいいものをつくっていかないと」と反省。一方の横浜FMは前節敗れた大宮ユース戦後に選手ミーティングも行ってきたことが、結果に繋がった。常本は「(ミーティングで話したことは)もっと結果に執着すると。自分たちが上手く行かない時にみんなが自分が決めてやるという意識でやる。きょう3人決めたけれど全員いい準備ができていたと思う」。昨年の日本クラブユース選手権とプリンスリーグ関東の優勝メンバーが半数以上残り、国体で神奈川県選抜の全国連覇に貢献した選手も多数。昇格1年目でV候補に挙げられるほど評価の高かった横浜FMだが、渡辺は「名前が知れている選手は多いかもしれないし、期待は大きいですけどそんなに力はない。謙虚にやること」と目の前の試合に勝つことに集中している。

 この日は勝利したが、松橋監督が選手個々の視野の狭さなど指摘し、観衆を驚かすようなプレーも期待する中でまだまだやらなければならないことがある。結果に対しても満足はしていない。常本は「(暫定5位だが)みんな諦めている人はいないですし、1位にこだわるということはずっと言っていたこと。きょうだけにならないように平日の練習から(理想とする形に)近づけるようにしたい」と力を込めた。トップチームへの練習参加していた選手たちは3日のサテライトリーグに出場する可能性も。タフな日程だが、トップ昇格へのチャンスという思いも強く持つ選手たちはこの夏、チームとしての結果と個々のアピールを求め続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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