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[プレミアリーグEAST]残留争い直接対決は新潟U-18が1-0勝利!流経大柏の初降格が決定

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[11.27 高円宮杯プレミアリーグEAST第16節 流通経済大柏高 0-1 新潟U-18 流通経済大柏高G]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグEASTは27日、第16節を行った。10位・流通経済大柏高(千葉)と9位・アルビレックス新潟U-18(新潟)のともに降格圏に位置する両チームの戦いはFW堀航輝主将(3年)の決勝点によって新潟が1-0で勝利。流経大柏は残り2試合で、この日勝利した残留圏8位の鹿島ユースとの勝ち点差が9となり、初のプリンスリーグ関東降格が決まった。

 敗者の降格が決まる可能性があった残留争いの大一番。試合の主導権を握ったのは流経大柏の方だった。堀が「相手が勢い持ってくるのは分かっていたんですけど、それに引いちゃって自分たちが攻められなかった」と振り返る新潟を立ち上がりから押し込んだ流経大柏は、存在感を示していた右MF本田憲弥(3年)を中心に1タッチのパスが2本、3本と繋がり、PA付近でアタックする回数を増やしていく。8分にはFW古谷三国(3年)の右クロスからMF菊地泰智(2年)が決定的な左足シュート。これを新潟GK藤田和輝(2年)に止められた後も右SB河内渉真(3年)や古谷がシュートにチャレンジしていた。

 前半、相手に満足な攻撃機会を与えず、敵陣でFKを獲得するなど攻め続けていた流経大柏だが、負けたら降格するという危機感、いつも以上に必要だった迫力がどこか欠けているように映った、昨年、流経大柏は残り3試合を2勝1分で乗り越えて逆転残留。この日、かなり優勢に進めていた前半の展開もあったか、全国総体王者・市立船橋高への雪辱と全国出場への思いを表現し、相手を飲み込みかけていた20日の選手権千葉県予選決勝のような迫力ある攻守は見られず。アウェーチームの脅威となっていた大応援も、どこか力強さを欠いたまま時間が進んでいく。菊地は「去年のこともあったので。何とかなるとか、好きじゃないですけど、どこかでチーム全体的にこのくらいでというのがあったのかなと思います。市船戦の前半の戦い方ができれば絶対に勝てると自分もチームも思ってしまっていて、オレらはそれができるから大丈夫ってなって、『やろう』とするよりも『できるから大丈夫』となっていた」。前半、流経大柏が新潟に許したシュート数は左SB山賀和輝(2年)にミドルレンジから放たれた1本だけ。それでも流経大柏は押しきれずに前半を無得点で終えてしまう。主将のMF関大和(3年)は選手権予選で市立船橋に敗れたことで精神的なダメージが影響していた可能性も指摘する。

「学校の授業中もそうなんですけど、自分とか松浦(駿平)とか練習から声出してくれるメンバーで残留できなかったら自分たちで流経の伝統を壊すことになると話していた。でも、授業とかで普段ならばうるさいような人たちが静かで、ずっとノート書いているような状況があった。それを変えようというのがあって、少しずつ盛り上げていこう、アルビに勝たなければ次に繋がらないのは分かっていたんでやろうとしていたんですけど、変えきれなかったというか、立て直せなかったのは自分の力不足だったと思う」。

 一方、新潟はこの日、トップチームへ昇格するDF長谷川巧(3年)が累積警告のために出場停止。それでも内容的に良くなかった前半を0-0で終えた新潟は後半、ボールサイドに寄って来る流経大柏の逆を取る形で逆サイドへ展開し、鋭いドリブルを繰り返す右のMF中野優也(3年)や左の堀、運動量と高い技術を活かして攻め上がってくるMF山下廉(3年)が起点となってシュートシーンを増やした。11分には中野のパスをFW藤原十和(3年)が落として山下が右足でフィニッシュ。19分にはカウンターから1人で持ち上がった中野がDFを鮮やかにかわして右足シュートを打ち込む。22分にも中野のラストパスに右SB稲川碧希(2年)が飛び込んだ。

「きょうの試合は自分たちが勝つしか無いという状況の中でスタートしている」(入江徹監督)「全部勝たないと残留は厳しいと思うので絶対に勝つという気持ちで試合に臨みました。(後半は)相手を待つんじゃなくて、自分たちから行くことを心掛けて入りました」(堀)という中で後半にギアを上げた新潟。一方、流経大柏も菊地のスルーパスに交代出場のFW時岡寛拓(2年)が走り込むシーンがあったが、先制することができない。逆に33分、新潟はMF吉原秀祐(2年)のシュートで獲得した左CKをMF本間至恩(1年)が蹴り込むと、交代出場の195cmFW小枇ランディ(2年)がヘディングシュート。これは流経大柏GK西村紘一(3年)が何とか触ったが、こぼれ球を堀が頭でゴールへ押し込んだ。ゴールの裏側を通ってベンチ方向へ走り出した堀に大興奮のサブ組の選手が駆け寄ってエンドラインの外側で歓喜を爆発。新潟が勝利へ大きく前進した。

 流経大柏はパワーを持って1点を奪い返しに行ったが。新潟は復帰してきたCB板木蓮(3年)が周囲を動かしながら守りを統率。CB吉田光希(2年)やMF丸山壮大(2年)とともに流経大柏の攻撃を跳ね返して見せる。冷静さを欠いて単調な攻撃となった流経大柏に対し、新潟は入江監督が「量的には負けない自負がある。走りきるというところはメンタル的なものがついてきていれば越えられる。それをきょうは表現してくれた」と評したように、選手たちは鍛えられてきた力を大一番で示した。終始空中戦で流経大柏を上回り、逆に走力を活かして小枇や吉原が2点目のゴールを目指した。流経大柏はシュート数を増やせないまま試合終了。同時刻に行われていた試合で鹿島が青森山田高に勝利したため、流経大柏の降格が決まった。

 敗れた流経大柏のエース本田は「ずっと一年間、勝てた試合も結構あったと思うんですけど、最後のところで身体張れなかったり、シュート決められなかったりしているのでそこが(降格の)原因だと思います」と語り、本田裕一郎監督は「ついに来たね。男の意地見せろよと言って、みんなワイワイワイワイとやって相当暴れるのかと思ったら逆になってしまった……。(逆境に強い)メンタリティがあれば(今年)惜しい試合落とさなかったと思いますね」と残念がり、「ショックはショックだけど、我々にとってはいい薬ですよ。大丈夫ですよ、また頑張ります。目標は1年で復帰。巻き返すしか無い」と1年でのプレミアリーグ復帰を目標に掲げた。一方、大一番を乗り越えた新潟も残り2試合で8位・鹿島との勝ち点差は5と依然厳しい状況。残り2試合、目の前の試合で勝利することに集中する。

(取材・文 吉田太郎)
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