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「勝負にこだわりたい」イングランド遠征中の青森山田2冠メンバー、“プロ予備軍”からの白星へ意欲

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青森山田高のMF住永翔主将

 16年度の高円宮杯プレミアリーグと全国高校選手権で2冠を達成した青森山田高(青森)が、16日からプレミアリーグ王者としてイングランド遠征中。現地時間17日はイングランド代表の本拠地であるセント・ジョージズ・パークでトレーニングを行い、同18日午後にはナイキアカデミーとのトレーニングマッチを行う予定となっている。

 歓喜の選手権初優勝からまだ10日弱。気持ちの切り替えが難しいのは確かだが、日本のユース世代最強軍団が将来へ向けて貴重な経験を積んでいる。主将のMF住永翔は「こうやって海外のサイズもあって、フィジカルも、スピードもある選手とやる機会はないので、日本人に足りないような欲というか、『オレに出せ、オレに出せ』というところを吸収したいですし、サッカーに対する熱というものを吸収したいと思います」。

 18日にはナイキアカデミーと対戦。世界規模のスカウトプロジェクト、NIKE MOST WANTED(旧THE CHANCE)を経て加入し、その後オーストラリア代表へと羽ばたいたMFトム・ロジックやガーナ代表FWデビッド・アッカム、そして多くの欧州プロ選手を輩出した“欧州プロ予備軍”との対戦で青森山田の選手たちは日本ではできない経験をし、同時に自分たちの可能性を示すつもりでいる。

 今回、青森山田の指揮を執る上田大貴コーチは「怯まず、相手は日本人だからテクニックやスピードをイメージしてくるのかなと思うんですけれども、ファイトするところだったり、身体のぶつかり合いというところでもやれるという自信をもって帰れれればいいと思います」と期待する。住永や全国高校総体と全国高校選手権得点王のFW鳴海彰人、右MF嵯峨理久、CB橋本恭輔、左SB三国スティビアエブス、右SB小山新、左MF住川鳳章と主軸の半数以上が遠征に参加しているが、一方でGK廣末陸(FC東京)、MF高橋壱晟(千葉)というプロ入りした2人と2年生のMF郷家友太、CB小山内慎一郎は不在。ベストな陣容ではないが、大学でサッカーを続ける3年生たちは「身体も大きくて、厚い」(上田コーチ)というナイキアカデミーの選手相手に何を掴んで帰るか。

 日本から15時間かけての移動、食事面、散歩する午前7時15分でもまだ薄暗く、晴れ間のない気候など、初の海外という選手が半数以上いるチームは慣れない環境に戸惑っているという。だが、上田コーチは「食事面だったり、自分のコンディションを整えるところで全然違う環境ではパワーを要すると思う。それでも今後のサッカー人生のプラスになる、と色々吸収して、もちろん勝負にこだわってやっていきたい」と語った。

 選手たちももちろんその意欲。18日午前に行った約1時間のトレーニングでは選手間で「笑っているなら、帰れよ」という声が飛んでいた。攻守においてのフォーメーション練習、セットプレーの練習もしっかりこなして、“格上”ナイキアカデミーに本気で勝ちに行く。住永は「スタメンがいる、いないとか関係なく、ここに来たからには役目があると思っているので、ナイキアカデミーと試合できるのは貴重な経験ですし、日本のチャンピオンという自覚をもってしっかりと勝負にこだわりたいなと思います」と力を込めた。

 住永自身、将来的に海外でサッカーをしたいという思いがあるのだという。「もちろん来たいので技術的には負けているとは思わないので、下でというかボールが浮いていない状況でのサッカーをどんどん積極的にやっていきたい。ボールに多く絡んでテンポつくっていきたい」。青森山田の組織力で相手に勝つこと。そして、国内2冠のメンバーたちが個人個人においても本場・イングランドでアピールする。

(取材・文 吉田太郎)

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