beacon

[新人戦]選手権出場校・和歌山北は「反省点が山盛り」の内容、MF尾崎主将中心に意識面から改善目指す

このエントリーをはてなブックマークに追加

和歌山北高は主将のMF尾崎僚中心に成長を目指す

[2.5 和歌山県高校新人大会準々決勝 那賀高 0-0(PK3-5)和歌山北高 田辺スポーツパーク]

 平成28年度和歌山県高校サッカー新人大会の準々決勝が5日に行われ、那賀高と今冬の選手権に出場した和歌山北高が対戦。35分ハーフの前後半で決着がつかずPK戦までもつれた試合は和歌山北が5-3で勝利し、11日に行われる準決勝へと駒を進めた。

 4年ぶりの出場となった選手権で初戦敗退となったものの、のちにベスト4まで進んだ佐野日大高と接戦を演じた和歌山北。その勢いのまま、新人戦に挑みたいところだったが、中村大吾監督が「新チームになって1か月経っていない。やっぱり難しい」とこぼしたように、昨年からスタメンが大きかった代わった影響は大きく、この日は立ち上がりから連係不足を感じさせる場面が目についた。

 また、守護神候補のGK栗本優二郎が怪我で戦列を離れている上に、試合開始直後にはDF鈴木玲弥が頭部を負傷し、交代を余儀なくされた。アクシデントの連続が選手のパフォーマンスをより悪化させ、「選手の距離が悪くて、パスが出せる状態ではなかった。守備もマークを外し過ぎて、連動した守りができなかった」(中村監督)と攻守ともに消化不良のまま、時計の針が進んでいった。それでも、前半27分には中盤でのこぼれ球を拾ったMF島暁斗が左前方にパスを展開し、MF尾崎僚がゴール前にクロスを入れたが、味方と合わず無得点で前半を終えた。

 後半に入ってからもギアが上がらず、決定機を作れないまま試合終盤を迎えると、31分には肝を冷やす場面も見られた。那賀GK松平悠のロングキックから左サイドを崩されると、FW山本修豊にDF裏へのパスを通されたが、FW貝野尚真とわずかに合わず、スコアレスのまま前後半が終了。勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。ここでは3番手のキックがクロスバーに阻まれた那賀に対し、和歌山北は5人全員が成功。5-3で白星を掴んだものの、中村監督は「ここ数年、ずっと負けていたPKで勝ち、流れを断ち切れただけ。内容も結果も自分たちが求めているものではないから、反省点が山盛り」と苦い表情を隠さなかった。

 反省点を口にするのは選手も同じだ。特に悔しさを滲ませるのは昨年、唯一下級生でレギュラーを務め、今季は主将を託された尾崎。「もっと(チームとして)できるはず。意識が高かった昨年に比べて、練習から気持ちが入っていなくて、気の緩みを感じる。改善できなかった部分が試合にも出てしまった」と口にする。自身のプレーも先輩たちに囲まれ、ノビノビとできた昨年までとは訳が違う。この日は、苦しい流れを変えようとチームメイトに声をかける場面や、持ち味である組み立てで良さも垣間見せたが、「もっとやってもらわないと困る」と中村監督が口にしたように、本領発揮とまでは言えなかった。

「自分が引っ張っていかないと、周りがついてこない。今年は攻撃で引っ張れる選手がいないので、ボランチでも守備や組み立てだけでなく、苦しい時に得点を決められる選手になりたい」と意気込むようにチームを背負う気持ちは人一倍強い。攻撃と守備、そして精神面。チームの全てを担う難しさはあるが、それだけのポテンシャルを秘めた選手であることは確か。尾崎の成長と共に今季の和歌山北の行方がかかっている。

(取材・文 森田将義)

TOP