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世界のボランチを見て、体感して、自信もつけたMF住永翔、高校選抜ラストゲームは「楽しむこと」

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MF住永翔(左)。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.16 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ 日本高校選抜 0-1 ノアシュラン]

 日本高校選抜の主将、MF住永翔(青森山田高→明治大)はノアシュラン戦の前半半ばまでのプレーについて「一番だったですね。守備も良かったですし、今までの4試合で一番いい動きだったりとか、良いプレーというのは個人としても、全体としてもできたと思います」と振り返る。

 ダブルボランチとしてコンビを組んだMF金子大毅(市立船橋高→神奈川大)とともにボールに多く絡み、この日2試合目の相手をより疲れさせるようなテンポの速いパス回しから、両サイドの攻撃を引き出していた。そして中盤からスペースへ飛び出して攻撃を活性化させ、守備面でもセカンドボールの回収に貢献。自身の良い部分を表現していたが、リードされて全体が慌ててしまう中で、相手を上回るだけの勝利への意欲やプレーを引き出すことはできず。0-1での敗戦、そして予選リーグ敗退という結果に悔しさを滲ませていた。

 今回の欧州遠征では、チームリーダーとして第55回デュッセルドルフ国際ユース大会優勝を目指すと同時にプレーヤーとしても「自分がどれだけできるかも試したいのもあった。そして、こっちの(ボランチの)選手の持ち方とか、対戦してみてこういう持ち方したら取りづらいなとか、個人的に嫌だなと思うようなプレーを実際に見たかったというのもあった」という。その中で約10日間の日々は手応えを得て、学ぶことも多い、充実した経験になった。

「(海外の強豪相手でも)実際にできなくはなかったので自信になったし、(国内以上に)もっと中盤の色々なタイプの選手がいて、やってみてこういうところでこういうプレーを選択するんだなと色々なことを吸収できたと思っている。自分にとっては本当にいい経験だったと思います」

 日本では経験できないような球際の迫力。相手を怖がらずに突っ込んで、たとえボールが奪えなくてもファウル覚悟で止めに来る姿勢に驚かせた。攻撃面でもこちらがプレッシャーをかけているのに足技でいなして来るような余裕を感じさせられた。海外で、本気の戦いを経験した中で「自分ももっともっと見つけてやっていきたい」という欲求も高まった。

 青森山田高のアンカー、攻守の柱としてチームをプレミアリーグチャンピオンシップ、全国高校選手権の2冠に導いた住永だが、今回の日本高校選抜ではダブルボランチの一角。明治大でも同様のポジションに挑戦することになることから、アンカー時代よりも前へのプレーを心がけてきた。積極的にゴールを狙うプレー、また、より1本のパスが得点に直結するポジションとなったことで、受け手がどのようなパスが欲しいのか、より考えるようになった。そして、アンカー役とはまた違うポジショニング、ボールを引き出す動きも必要。一度語り出すと次々にアイディア、学ぶべきところが言葉として出て来るMFは、今後も楽しみながら、ボランチとしての自分の進化を目指していく。

 大学サッカー界屈指のタレント軍団、明治大には参考になる選手たちがいる。「柴戸海くんとか攻守に渡ってチームに貢献していると思う。守備のところはガツンと行けるし、攻撃の時はフリーランで嫌なところに入っていったり、ボールに触っていったり。ボランチはボールに多く触る分、ミスも増えるかもしれないですけど、ミスを怖れずにやっていきたいと思っているし、その中でミスしない選手になっていければ上に行けると思う。ミスの少ない選手になりたいなと思っているし、正確性だったり、一本のパスの精度やトラップ、相手に奪われない持ち方もそうだし、ボールの置き所、身体の向き、使い方踏まえて上手くやっていきたい。たくさんのプレーヤー、世界のトッププレーヤーのプレーも参考にしながら明治に帰ってからもやりたいです」と意気込んだ。

 2月に本格的に始動した日本高校選抜の活動は17日の5位決定戦・クルゼイロ戦がラストゲームになる。チームリーダーとして、まとめ役を全うしてきたMFは「今日の試合は失点スタートだったので自分達で勝手に慌てていた部分があったし、25分(ハーフ)のキツさもあったと思う。まずサッカーを楽しむことが本質だと思うし、サッカーを楽しむことを忘れないでやろうと思っています」と宣言した。日に日にまとまりを感じていたチームと最後、楽しんで、勝利して、笑顔で欧州遠征を終える。

(取材・文 吉田太郎)
●日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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