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[関東大会予選]柏と本格提携3年目、日体大柏が中央学院との注目1回戦制す!:千葉

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前半4分、日体大柏高はFW高橋航太(9番)が先制ゴール

[5.3 関東大会千葉県予選1回戦 日体大柏高 3-1 中央学院高 日体大柏高G]
 
 平成29年度関東高校サッカー大会千葉県予選は3日に1回戦16試合を行い、1回戦屈指の好カードとなった日体大柏高(旧柏日体高)対中央学院高戦は3-1で日体大柏が快勝した。13年以来4年ぶりの優勝を狙う日体大柏は、5日の2回戦(ベスト16)で佐原高と戦う。

 15年2月に柏レイソルと相互支援契約を結び、“レイソルアカデミー”の一つとして強化をスタートしてから今年で3年目。片野慶輝総監督が「土台となるベースができてきている」と説明する日体大柏は、柏から派遣されている酒井直樹監督(元日本代表MF)の指導の下、柏U-15やレイソルTORなど柏のアカデミー出身の選手たちを中心に着実に力を積み重ねてきている。

 この日の対戦相手は千葉の技巧派軍団・中央学院。注目の名手、10番MF永井颯太(3年)やFW清野英国(3年)、期待の2年生MF伊藤拓巳を中心に立ち上がりから徹底したショートパスとドリブルで攻めてきたが、日体大柏は幸先よく先制点を奪った。

 3分、日体大柏は敵陣でのインターセプトからレフティーFW上妻楓季(3年)が強烈な左足シュート。GK福与拓武(3年)の好守に阻まれたものの、このシュートによって獲得した右CKからゴールが生まれる。4分、日体大柏は右CKをファーサイドのCB岡崎優斗(3年)が折り返すと、FW高橋航太(3年)の放った右足シュートがDFに当たってコースが変わり、そのままゴールイン。この後、厳しいプレッシャーと、個々の高いキープ力を見せる中央学院がボールを握る時間を増やした。だが、非常にコンパクトな陣形を組んで守る日体大柏は高い位置から相手にプレッシャーをかけてボールを奪い、ショートカウンターのチャンスを掴む。

 一方でハイサイドまでボールを運ばれた際などにはゴール前でブロックをつくって対応。酒井監督が「みんな対応してくれていましたね」と賞賛していたように、日体大柏はこの使い分けが上手く行っていた。中央学院は永井と清野のコンビネーションによって相手のブロックの中に割って入るシーンもあったが、日体大柏は実力派GK森川拓海(3年)やCB矢倉直樹(3年)中心に落ち着いた対応を見せる。ボールを奪うと逆にポゼッションしてゲームをコントロールする日体大柏は、司令塔のMF有坂翔耶(3年)の配球などから抜群のスピードを見せていたFW松田一紗(3年)や高橋がスペースへ抜け出す“嫌らしさ”も発揮。1-0のまま前半を終えた。

 後半、有坂や松田中心に相手ゴールへ迫る日体大柏は14分、前線からの連動したディフェンスによって敵陣PA付近でインターセプト。松田がDFの股間を通すドリブルで左サイドを破ると、最後は上妻が左足で決めて2-0とした。

 中央学院は後半に存在感を増した永井がドリブルで日体大柏守備網を切り裂いてチャンスメーク。18分には自ら持ち込んで決定的な右足シュートも放つなど、相手を押し込む時間帯を増やした。だが、日体大柏は30分、左CKからPAでセカンドボールを拾ったMF石原優(3年)が緩急をつけたドリブルでPKを獲得。これを自ら右足で決めて3点差とした。中央学院も終盤に守備がルーズになった日体大柏から決定機を作る。そしてアディショナルタイムにはMF石澤光希(3年)が左足ミドルを叩き込んだが反撃はこの1点のみ。注目対決は日体大柏が制した。

 柏のアカデミーのひとつとして強化されてきた日体大柏は今年、千葉県1部リーグで開幕4連勝を飾るなど力を示している。その中で就任2年目の酒井監督が重視しているのが、対応力の部分だ。試合の中で起こりうる様々な状況を想定して準備しているが、試合の中では想定していないことも起こってしまう。「そうなっちった時にどうするか。コツコツやるのか、投げ出しちゃうのか。(私生活でも)非日常が来た時にブレない。サッカー中心にいかに考えられるか」(酒監督)。この日は準備していた2段階の守備に加えて、メンバー交代によって連係面で上手く行かない時間帯も我慢強く戦っていた。そのチームの対応面について酒井監督は「とても良かったと思います」と評価。個性ある選手たち一人ひとりが、できることを増やして選手としての幅を広げている印象だ。

 チームは柏U-15出身の有坂らが「みんなに教えていかないといけない、と。試合、練習でどうする、こうしてほしいってみんなで声かけあってきた」と中学時代まで経験してきた柏アカデミーのスタイルと言えるポゼッションを全体で共有。「まだまだ全然剥がす部分も甘い」(有坂)というようにやるべきことは多いが、努力してよりチームの対応力やポゼッションを高めていく。7月には柏U-18と合同のセレクションを行う予定もあるというように、今後へ向けた強化も着々。だが、選手たちは今年、市立船橋高や流通経済大柏高を倒して千葉を突破し、全国舞台で活躍することを目指している。関東大会予選の目標は「今大会は関東大会出たいんでまず優勝」(松田)。優勝して、自信をつけて、全国出場を懸けた総体予選に臨む。

(取材・文 吉田太郎)

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