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[adidas Cup福岡]4-1-4-1に再挑戦のインハイ出場校・東海大熊本星翔、中盤で圧倒して勝つ

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この日4得点の東海大熊本星翔高MF吉岡涼斗(右)とMF中川大暉

[8.17 adidas Cup2017福岡GL 東海大熊本星翔高 6-2 豊国学園高 グローバルアリーナ]

 強豪校同士の戦いを通して秋冬へ向けたチーム強化を目指す「adidas Cup2017福岡大会」は17日にグループリーグ2日目を行い、インターハイ出場の東海大熊本星翔高(熊本)は第3節で豊国学園高(福岡)と対戦。6-2で快勝した東海大熊本星翔だが、1勝1分1敗でCグループ2位に終わり、準決勝進出を逃している。

 今大会途中から東海大星翔は4-4-2からシステムを本来の4-1-4-1へ戻した。1トップでは全国大会に出場してくる強力な2CB相手に封じ込まれてしまうだろうという考えから、インターハイ前に4-4-2へ変更。だが、「選手権の80分間の戦いでは支配する時間をより増やさないとキツくなる」(吉岡宏樹監督)という理由によって、自分たちの特長である判断力と技術力の高さをより発揮できるシステムで選手権に臨もうとしている。

 豊国学園戦では相手FW山下琉(2年)やFW萩原翔太(2年)のパワフルな突破、MF長池歩夢(2年)のロングスローなどに苦戦し、2失点。ボールの失い方の悪さ、やや安定感に欠けていたDF陣など課題も出る結果となったが、それでも多彩な攻撃から6ゴールをもぎ取った。

 チームの生命線であるMF花田駿(3年)とMF吉岡涼斗(2年)の2シャドーのコンビネーションや左MF中川大暉(3年)のダイレクトのラストパスでFW渡辺力斗(3年)が抜け出したり、MF末永幹(2年)がインターセプトした勢いで攻め上がったりするなど、相手の守りを崩して決定機を作り出す東海大星翔は前半27分、右サイド後方から花田がスルーパス。2列目から飛び出した吉岡が絶妙なターンでDFを振り切り、右足で先制ゴールを叩き出した。

 渡辺がGKとの1対1のチャンスをストップされるなどなかなか2点目を奪えなかった東海大星翔だが、ボールを保持して攻め続けると後半9分、PAで粘った花田がPKを獲得。これを花田が自ら左足で決め、15分には中川のヒールパスから吉岡が豪快な左足シュートを突き刺して3-0とする。

 26分に豊国学園MF田中宏典(3年)の左足ミドルによって1点を返されたものの、東海大星翔は直後にコンビネーションから抜け出した吉岡が右足で決めてハットトリック達成。さらに28分にも相手の連係ミスを突いた中川が5点目を決め、30分には渡辺、花田による崩しから吉岡がこの日4点目のゴールを決めた。

 アディショナルタイムに豊国学園MF三嶋雄大(3年)に抜け出されて2点目を失ったものの、東海大星翔は6-2で勝利。「4-1-4-1が一番フィットするし、自分たちのサッカーができると思います。中盤で圧倒すれば試合でも勝てると思うのでそこは譲れないです」と花田が語るように、中盤を厚くして、圧倒を目指すことがチームのサッカーを好転させるか。

 インターハイでは近江高を2-0で破って全国大会初勝利。だが、前回王者の市立船橋高戦では前半に対等以上の戦いを見せながらも後半に3点を奪われて0-3で敗れた。ボールを繋いで攻めることを目指したが、4-4-2では選手の距離感が遠く、前線への苦しいロングボールが増加。後半は運動量も落ちてボールを失う回数が増え、市立船橋に圧倒される結果となった。

 今回のadidas cupでは1日2試合を実施。普段の遠征では1日1試合に集中しているという東海大星翔だが、連戦による疲労の溜まった状況でどれだけ正確な攻撃ができるかに取り組んでいる。まだまだ「キツくなった時にタイミングが合わなかったり、アクションがなくなったりしている」(吉岡監督)。課題を改善し、全国でも自分たちのサッカーを貫けるだけの力を身につけること。そして「全国大会行ってまた市船とやれたら倒したい」(MF吉岡)など、それぞれが持つ選手権での目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)

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