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選手権のV候補対決は白熱の好勝負に…PK戦で夏の王者・流経大柏が大阪桐蔭を下す

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PK戦の末に流経大柏が勝ち上がった

[12.15 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 大阪桐蔭高 1-1 (PK4-5)流通経済大柏高 広島一球]

 互角という言葉がふさわしい対決だったが、PK戦の末に勝利を収めたのは夏の王者だった。高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグ参入戦の1回戦が広島県内で行われ、流通経済大柏高(関東2、千葉)はPK戦の末に大阪桐蔭高(関西1、大阪)を下して2回戦に駒を進めた。17日に行われる2回戦で徳島ヴォルティスユース(四国1、徳島)に勝てば、来季のプレミア復帰が決まる。

 試合は、全国高校選手権の上位候補同士が迫力ある攻防を見せた。立ち上がりを制したのは、インターハイ(全国高校総体)王者の流経大柏だった。相手の背後を素早く突き、セカンドボールを拾えばサイドからクロスで襲いかかる得意のスタイルでシュートを打ち続けた。

 しかし、6月以降公式戦で無敗の大阪桐蔭は崩れなかった。CB田中智也赤澤大志、さらに守護神の藤本諒哉が冷静に対応し、前半10分過ぎから試合のペースを奪い返した。すると25分、左サイドで縦パスを通してクロスへとつなげ、2年生FW木村勇大が押し込んで先制に成功した。

 流経大柏は、前半終了間際に左MF鬼京大翔のボレーシュートがポストを叩く場面があったが、1点のビハインドで前半を終えた。攻撃の回数は多かったが、単調なためにペースを奪われた印象だ。ハーフタイムに両サイドMFを一気に交代させた本田裕一郎監督は「もっと堂々と出来るかと思ったが、バタバタしていた。(ロングパスを)蹴り過ぎて、サイドに起点を作れなかった」と課題を指摘した。しかし、指揮官は「よく2点目を取られずに、追いついた。相手の守備も良くて、取れないかと思った」と話を続けた。

 後半、最初にチャンスを得たのは大阪桐蔭だった。6分、左に流れていた右MF今岡陽太がドリブルで突破して中央へパス。前に飛び出したボランチの西矢健人が流してFW菊井悠介が決定機を迎えたが、シュートはクロスバーに嫌われた。すると9分、苦しんでいた流経大柏は、後半から出場したMF宮本泰晟が左CKをヘディングで競り勝ってシュート。GKが弾いたこぼれ球をMF宮本優太が押し込んで同点とした。

 白熱する試合は、球際で激しい争いが続いたが、その中でも大阪桐蔭はクオリティーの高さを見せた。後半16分、菊井からパスを受けた今岡がドリブルで仕掛けてスルーパス。左から飛び出したMF大深拓海がGKとの1対1を迎えたが、相手に防がれた。3分後には菊井が蹴った左CKがファーサイドのポストを叩く惜しい場面もあった。さらに右からのクロスをMF西矢が打点の高いヘディングで合わせる場面もあったが、ゴールまでの距離が遠く、GKに防がれた。

 なかなか決めきれない大阪桐蔭は後半38分、菊井が左サイドを突破。中央で西矢がフリーとなっていたが、中に切り込んだ菊井がそのままシュートを放つ。だが、これは惜しくもゴール右に外れた。今岡が「点に焦り過ぎてシュートやクロスの精度が落ちていたり、打つべきところでパスをしたりしていた」と悔しがったように、2点目を決め切れなかったことが後に響いた。

 試合は1-1のまま延長戦に突入。延長戦では、経験値に勝る流経大柏が猛反撃。DF関川郁万が惜しいヘディングシュートを放ち、試合終了間際に波状攻撃を展開したが、大阪桐蔭はGK藤本の好反応でしのぎ切った。

 試合はPK戦に突入。流経大柏のGK薄井覇斗が最初の2本を止めれば、大阪桐蔭もGK藤本が2、3本目をセーブ。どこまでも互角の勝負は、サドンデスの7本目に大阪桐蔭が失敗し、PK戦5-4でようやく決着がついた。勝った流経大柏は、1年でのプレミア復帰に向けて決勝戦に臨む。敗れた大阪桐蔭も力のあるところを見せつけた一戦で、両チームの高校選手権での活躍も楽しみになる好勝負だった。

(取材・文 平野貴也)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ

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