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Bチームのためにも「プレミアに上がるのが使命」。前橋育英が5発快勝で悲願達成まであと1勝

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前橋育英FW宮崎鴻のゴールをチームメイトが祝福

[12.15 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 前橋育英高 5-0 京都橘高 東広島]

 15日、高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグ参入を懸けた高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグ参入戦の1回戦8試合が広島県内で行われた。プリンスリーグ関東王者の前橋育英高(群馬)とプリンスリーグ関西2位の京都橘高(京都)が対峙した一戦は、MF高橋尚紀(2年)の先制点を皮切りに5点を奪った前橋育英が5-0で大勝。前橋育英は初のプレミアリーグ参入を懸けて17日の決勝戦でジュビロ磐田U-18(東海2、静岡)と対戦する。

 前橋育英がプレミア参入戦に挑むのは、今回が4回目。悲願を達成するため、「試合の入りを重視していたので、フルパワーで行こうと考えていた」と、主将MF田部井涼(3年)が語ったように序盤から攻勢を仕掛けた。前半のポイントとなったのは、DF角田涼太郎(3年)らDF陣が見せた自陣からのロングフィードだ。

 前橋育英は京都橘の選手権予選決勝の映像のチェック。弱点と睨んだDFの背後を目がけて、自陣からロングフィードを配給すると、FW飯島陸(3年)とMF田部井悠(3年)、MF高橋が鋭い飛び出しを連発。彼らの動きを警戒し、京都橘のDFがラインを下げると、今度は田部井涼と塩澤隼人(3年)のダブルボランチが前に出て、セカンドボールを回収し、二次攻撃を仕掛けた。

 田部井涼が「球際の強さやセカンドボールが今年の育英のポイント。そこで勝てていたから、入りが良かった」と胸を張ったように、前橋育英は京都橘を圧倒して試合を進める。すると、前半13分に角田のロングフィードからPA左をフリーで抜け出した高橋がGKの頭上を突くループシュートを決めて先制に成功。20分には、相手DFのクリアが短くなった瞬間を逃がさず、飯島が加点した。

 以降も前橋育英の勢いは止まらず、前半28分には田部井涼がDF後藤田亘輝(3年)とのコンビで右サイドを攻略。バイタルエリアに入ったタイミングで、FW榎本樹(2年)とのワンツーからPAへの進入を狙い、相手に倒されてPKを獲得。このチャンスを田部井涼自らが決めて、3-0で前半を折り返した。

 前半はMF梅津凌岳(3年)と篠永雄大(2年)のダブルボランチにボールが入らず、攻撃のリズムが作れなかった京都橘だが、試合が進むにつれて動きが改善。前半38分から投入されたMF相馬唯人(3年)とFW輪木豪太(3年)の働きも相まって、後半は前橋育英のゴールに迫る回数が増えた。だが、「やられたと思った所で、スッと身体を入れてくれた」と前橋育英の山田耕介監督が称えるDF松田陸(3年)らに阻まれ、シュートまで持ち込めなかった。

 試合中盤を過ぎると、我慢の時間を耐えた前橋育英に再びチャンスが訪れ、後半25分にはロングボールを競り合ったこぼれ球をFW宮崎鴻(3年)が押し込み、4点目をマーク。34分にも、途中出場のMF五十嵐理人(3年)が決めて、5-0で試合を終えた。

 これまでプレミア参入戦まで進みながらも、持ち味を発揮できないまま敗れてきたが、今年はいつもの前橋育英とは違う。過去3回は、プリンス関東の出場枠争いが最終節までもつれたため、「選手権予選を含めて、約2か月間、絶対に負けられない戦いが続き、疲れていた」(山田監督)が、早々と優勝を確定させた今年は、最終節の川崎F U-18戦で主力を休ませため、「コンディションは最高に良い」(山田監督)。加えて、これまでは前日入りだったスケジュールを改め、今回は試合2日前の水曜日に広島入りし、入念な準備を進めたという。

 そこまでするのは理由がある。今季、Bチームが県1部リーグで優勝し、今月23日と25日に行われるプリンス関東参入戦への出場権を手にしているが、Aチームがプレミアへと昇格できないと権利を失うからだ。

「僕らはプレミアに上がるのが使命。Aチームが負けてしまうと、プリンス参入戦に向けて長い間トレーニングをしているBチームの選手が可哀そう」と山田監督は口にする。「過去3回敗れているので、プレミアリーグに上がるのが長年の目標。今年一年、ずっと意識してきた」(田部井涼)こともプラス材料。次の磐田U-18戦でも持ち味を出し切り、悲願を手にする。

(取材・文 森田将義)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ

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