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タフに、力強く戦った名古屋U-18が2年ぶりプレミア復帰!指揮官のラスト試合に花を添える

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名古屋グランパスU-18がプレミアリーグ復帰を決めた

[12.17 高円宮杯プレミアリーグ参入戦決勝戦 名古屋U-18 2-0 札幌U-18 コカ広島ス]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ参入戦の決勝戦が17日、広島県内で行われた。名古屋グランパスU-18(東海1、愛知)と北海道コンサドーレ札幌U-18(北海道)の一戦は、名古屋U-18が2-0で勝利し、2年ぶりのプレミア復帰を決めた。

「上手い子が多いけど、戦える子がいないと言われてきた」(高田哲也監督)。これまでの名古屋U-18の姿はどこにもない。激しくタフに、力強い戦いぶりで、目標だったプレミア復帰をもぎ取った。

 ただ、名古屋U-18は「ちょっと堅かった。ボランチ二人がボールに触れていなくて、意図した攻撃ができなかった」と高田監督が振り返ったように、序盤は狙っていたボールと人が動くダイナミックな攻撃が披露できなかった。

 守備もFW藤村怜(3年)とFW佐藤大樹(3年)へのロングボールを多用した札幌U-18に押し込まれる場面が続いたが、「相手はタフなチームなので、こっちは走り負けないぞと思っていた」(FW杉田将宏、3年)、「死ぬまで走ってやろうと思っていた」(DF菅原由勢、2年)と声を揃えたように、名古屋U-18は全員がハードワークで対抗。ゴール前まで持ち込まれても、DF青山夕祐(3年)と藤井陽也(2年)のCBコンビを中心に身体を張った守りで、決定機を与えない。

 我慢の時間が続く中、試合が動いたのは前半34分。名古屋U-18は、右サイドの低い位置でFKを獲得すると、キッカーの菅原がゴール前に浮き球を展開する。「あそこに入ってくると思っていた」という菅原の読み通り、PA内で藤井が競り勝つと、打点の高いヘディング弾を叩き込み、名古屋U-18が均衡を崩した。

 高田監督が「見たことがない。ラッキーなヘディングシュート」と笑う形での先制点となったが、「コンサは一人ひとりがうまいし、やられてもおかしくない場面はあったけど、我慢した結果が出たと思う。勝つ時は、そういうのがある」と続けたように、必然的な1点で悪い流れを断ち切った名古屋U-18が、1点リードで試合を折り返した。

 後半も名古屋U-18は、札幌U-18にボールを持たれる時間が続く。後半11分、1回戦で2ゴールを奪ったFWマツオカ・ジョナタン(2年)が負傷するアクシデントもあったが、代わって入ったMF石田凌太郎(1年)が力強い突破で右から見せ場を演出。守備も前半同様に粘り強い対応で無失点を続けながら、クリアボールを効果的にバイタルエリアまで運び、2点目を狙った。

 試合終盤には、パワープレーに出た札幌U-18の攻撃に手を焼いた名古屋U-18だが、後半アディショナルタイム4分にはGK櫻庭立樹(3年)を前線に上げて、最後のチャンスにかけた札幌U-18の攻撃をクリア。相手エリアの右でボールを受けた杉田が無人のゴールに決めて、2-0で勝利した。

 創設初年度からプレミアリーグに居続けた名古屋U-18だったが、昨年は思うように勝ち点を伸ばせず、9位で降格。1年での復帰を目標に掲げる今年は、「ハードワークと攻守の切り替え、球際を意識してやってきた」(高田監督)。それでも、ここまでは甘さが見られる場面もあったというが、「この2試合は違った。勝たなければいけないというプレッシャーの中でよくやってくれた」と指揮官が称えたように、参入戦の2試合は戦う姿勢を存分に見せつけたことが昇格へと繋がった。

 名古屋U-18の主将としてチームを支えた杉田は、「3年生の目標は、後輩たちにプレミアの舞台を残すことだった。クラブユース選手権やJユース杯で悔しい思いをしてきたので、最後に結果が出て良かった」とうれし涙を見せた。

 U-15監督時代を含め、9年間名古屋の育成を支えた高田監督は、この試合を最後に退任する。「志半ばで去るのは残念」と無念を口にするが、指揮官として、アカデミーダイレクターとして、時間をかけながら育んできた自主性と攻撃意欲はチームに着実に浸透しているのは確か。この1年で経験を積んだ下級生も多く、来年の飛躍も可能性は十分ある。

「力はあると思う。ただ、広島(参入戦)じゃなくて、埼玉(チャンピオンシップ)に行くためには、今日のままだと上位には行けない。もっともっとレベルアップして欲しいし、上がったことに満足せず仲間同士で競争し、来年の準備して欲しい」と教え子たちにエールを送った。

(取材・文 森田将義)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ

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