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5度目の挑戦でついに参入戦突破!磐田U-18が前橋育英をPK戦で破り、プレミアリーグ初昇格!!

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ジュビロ磐田U-18が5度目の挑戦でプレミアリーグ初昇格!

[12.17 高円宮杯プレミアリーグ参入戦決勝戦 前橋育英高 1-1(PK3-4)磐田U-18 広島一球]

 17日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ参入戦のブロック決勝4試合が行われ、Aブロックはジュビロ磐田U-18(東海2、静岡)が1-1で突入したPK戦の末、前橋育英高(関東1、群馬)に4-3で勝利。5度目の参入戦挑戦で初のプレミアリーグ昇格を決めた。

 磐田は過去4度、前橋育英も過去3度敗れている参入戦の戦い。互いに悲願となっていたプレミアリーグへのチケットを勝ち取ったのは磐田の方だった。1-1で突入したPK戦は先攻・磐田の3人目が枠を外したが、直後に前橋育英3人目のシュートを磐田GK牧野恋音主将(3年)がストップ。そして3-3で迎えた5人目、磐田のFW伊禮祐作(3年)が左足シュートを右隅にねじ込んだのに対し、前橋育英10番FW飯島陸(3年)の右足シュートを磐田GK牧野が足で止めて決着をつける。

 プレミアリーグ初年度の11年から参入戦を経験している磐田がついに破った壁。殊勲の牧野目掛けてサックスブルーのユニフォームが一斉に走り出す。目標を達成した会心の笑み、また歓喜の涙を流す選手たちの姿。そして選手たちは110分間、芝生席で声を張り上げ続けた控え選手たちの下へ駆け寄って、また喜びを弾けさせていた。

 雪が舞う中で行われた試合は序盤、前橋育英が良い形の守備からサイド攻撃。新潟内定の左SB渡邊泰基(3年)が突破力を示して左サイドからチャンスメークしたほか、FW宮崎鴻(3年)の強引な仕掛けからのシュートや飯島、MF高橋尚紀(2年)の鋭い抜け出しからゴールに迫る。

 立ち上がりのピンチを凌いだ磐田は、CB速水修平(2年)とCB平松航(2年)が前橋育英の185cmFW宮崎相手に空中戦の強さを遺憾なく発揮した。そして、攻撃面でもMF中岡駿汰(3年)やMF金原颯(3年)を中心に正確なショートパスを繋ぐなど、相手のプレッシャーを回避しながら前進。徐々にペースを掴んでいくと、23分にはカウンターから伊禮のスルーパスで金原が抜け出す。だが、シュートは左ポスト直撃。対する前橋育英も28分、飯島がDF裏へ抜け出して角度の無い位置から右足シュートを振り抜いたが、磐田GK牧野がわずかに触ったボールはクロスバーをヒットし、スコアは動かない。

 先制したのは磐田だった。前半40分、インターセプトした勢いで攻め上がった前橋育英CB松田陸(3年、G大阪内定)から中盤でボールを奪い返して速攻。金原のスルーパスで伊禮が左サイドを抜け出すと、GKとDFを引きつけてラストパスを送る。最後は逆サイドでフリーの新里が1タッチでゴールへ押し込んだ。
 
 ヴィクサーレ沖縄FCジュニア時代からチームメートの新里と伊禮の“琉球2トップ”で決めた貴重な1点。対する前橋育英は磐田の連動した攻撃を食い止めるものの、なかなか良い形でボールを奪えず。攻撃面でもリズムを欠いてしまい、ミスから金原や伊禮に決定機を作られてしまう。

 それでも、焦れずにボールを動かし続けた前橋育英は後半35分に追いつく。左サイドでボールを受けたMF五十嵐理人(3年)がクロスを中央へ入れると、インターハイ得点王のFW榎本樹(2年)が豪快なヘディングシュートをゴールに突き刺した。後半10分から出場の榎本、同29分から出場の五十嵐の連係から生み出したゴールで1-1。この後、磐田MF金原、前橋育英FW榎本が個でDFを破って決定打を放ったが、決めきれず、試合は延長戦にもつれ込んだ。

 延長戦でも互いにシュートシーンを作り合うも、それぞれの集中した守りが上回って1-1のまま終了。そして、緊迫のPK戦を磐田が制した。磐田の世登泰二監督は今年のチームについて、「個で突出したものはなかった。守備も攻撃もコンビネーション。個を上手く消せて上回るというところで力をつけていった」という。強烈な個性の持ち主であるU-20日本代表MF伊藤洋輝(3年)がシーズン半ばからトップチームに合流。この日も不在だったが、牧野が「最初は攻撃の回数とか減りました。でも、洋輝が抜けた分、みんなでやろうというのが増えて、一人ひとりが守備の部分とか絶対に負けないとか責任持てるようになりました」と説明したように、個人個人の自覚の向上がチームの成長に繋がった。

 また、磐田にとって大きかったのは8月の「第5回和倉ユース(U18)サッカー大会」で優勝したことだという。磐田はインターハイ優勝の流通経済大柏高や後にプレミアリーグで頂点に立つFC東京U-18、青森山田高、浦和ユースなどの強敵相手に7戦全勝、失点わずか2という戦いで優勝。世登監督が「強豪校とやってもビビらないというか、選手たちは『あの時勝ったから普通にできるんじゃね?』と。今年は和倉の経験が生きていると思います」と振り返る優勝がチームに自信をもたらした。

 この日も相手のスピードに動じず、個々の技術の高さや球際厳しい守備を印象づけるなど内容も伴った勝利。県内のライバル・清水ユースが11年から参戦している高校年代最高峰のリーグ戦への出場権をついに獲得した。新里は後輩たちに向けて「自分たちが頑張って上げたので、1年で落とすのは無しにしてもらいたいし、できればプレミアでも上位を狙ってもらって1位決定戦(チャンピオンシップ)を応援に行けるようなチームになってもらいたいと思っています」と期待。5度目の挑戦でついに昇格を果たした磐田が来年、念願の舞台で大暴れする。

(取材・文 吉田太郎)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ特集

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