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堅守、サブ組活躍の矢板中央が選手権へ弾み!2戦連続2-0勝利でプリンスリーグ関東昇格!!

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前半8分、MF山下純平(14番)の先制点を喜ぶ矢板中央高イレブン

[12.25 高円宮杯プリンスリーグ関東参入戦決勝戦 矢板中央高 2-0 日本航空高 埼玉第3G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2018 プリンスリーグ関東へ参入する2チームを決める「プリンスリーグ関東・参入決定戦」の決勝戦が25日に行われ、矢板中央高(栃木)と日本航空高(山梨)が対戦。矢板中央が2-0で勝ち、11年以来のプリンスリーグ関東参入を決めた。

 矢板中央が12月30日開幕の全国高校選手権に弾みをつける勝利だ。劣勢も覚悟して戦った強敵・昌平高(埼玉)との初戦を堅守と交代出場選手の活躍で会心の勝利。そして日本航空戦では前半8分、FW望月謙(2年)が競ったこぼれを拾ったMF山下純平(2年)が、素晴らしい弾道の左足ミドルを決めて先制点を奪う。

 初戦で水戸ユース(茨城)を下して決勝戦へ勝ち上がってきた日本航空も後方からボールを繋いで反撃。だが、守備意識の非常に高い矢板中央は、前線までボールを運ばせない。U-17日本代表MF松井蓮之(3年)やMF稲見哲行主将(3年)らが相手のトラップ際を狙ってボールを奪ったほか、グラウンダーの縦パスを幾度も引っ掛けて速攻に繋げていた。

 日本航空は選手同士の距離が開いてしまい、思うようにボールを動かすことができず。前半はシュート1本に終わってしまう。一方、要所を締めながら試合を進めていたように映った矢板中央も、2試合連続となったポゼッション型チームとの対戦で走らされて疲労が蓄積。稲見が「昌平戦での疲労が溜まっていた。体力との戦いでもありました」と振り返ったように、後半は我慢の展開となってしまう。

 後半3分、抜け出した矢板中央MF江口隼人(3年)のシュートが左ポストを叩くと、その後はDF飛田大輝主将(3年)を中心とした球際強い守備から攻撃を繰り出す日本航空のペース。判断良くボールを動かしながら、局面ではMF中尾大我(3年)やMF遠藤拓人(3年)が思い切り良く仕掛けてシュートシーンも作り出していた。

 だが、高橋健二監督が「後半勝負できるチームにしたいと思っていた」と説明するように、特に夏以降、競争を繰り返し、選手層に厚みを加えてきた矢板中央はいずれも交代出場のMF山下育海(3年)やFW板橋幸大(2年)がドリブルで相手を押し下げる。

 また、松井が「ゴール前でブロックを敷いて守りきれるところは自分たちの強み。空中戦も強い。DFラインとGKが良く頑張ってくれた」と賞賛したCB高島祐樹(3年)やCB白井陽貴(2年)、GK山梨卯月(3年)らの粘り強い守備と、鋭いカウンター攻撃によって矢板中央は1点リードのまま終盤へ。そして両校ともに体力面で苦しい時間帯となった後半44分、矢板中央はドリブルで長い距離を持ち上がった山下育が、PAでDFの股間にボールを通す突破から、左足シュートをゴールへ叩き込み、熱戦に決着をつけた。

 矢板中央は今年、新人戦、関東大会予選、インターハイ予選と優勝を逃したが、高橋監督が「競争させて、チャンスも与えて、結果出した選手たちがピッチに立つと伝えていた。特にキャプテンの稲見と松井中心に我々がやって欲しいプレーを、彼らがひたむきにやってくれた」というように、チームは日常の競争からレベルアップ。松井は「練習を120パーセントでやる意識でやってきた。そうすれば試合は全然キツくなくて、栃木県予選も全然キツくなかった。チーム内の紅白戦が一番厳しかった。そのくらいレベルが上がった」と胸を張るチームに成長した。

 以前は得点した直後に失点するなど隙があったチームは、結果が出ない中で守備意識が向上。伝統の堅守は、参入戦2試合をいずれも無失点で終えて自信を深めている。また、山下育の2試合連続ゴールなど、今回の参入戦2試合の全4得点中3得点がサブ組によるものだ。大目標である選手権の初戦(三重高との2回戦)まで約一週間しかなく、タイトな日程となるが、守りきれるチーム、また「後半勝負できる」チームとなった矢板中央が勢いをつけたことは確か。稲見は「自信はついたけれど油断しないでやりたい。プリンスはプリンスで切り替えて行く。ここで満足しないで、選手権は上位進出、日本一目指していきたい」。堅守と選手層の厚さを武器に、矢板中央が選手権の上位進出、日本一に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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