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アグレッシブな攻撃が空回り…日本高校選抜、年下の静岡県ユース選抜とドロー

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前半39分、日本高校選抜MF井上怜(市立船橋高)が左足で同点ゴール

[3.11 静岡県ヤングサッカーフェスティバルU-18の部 静岡県ユース選抜 1-1 日本高校選抜 草薙陸]

 3月末に開幕するデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)へ向けて準備とメンバー選考を行っている日本高校選抜が11日、第33回静岡県ヤングサッカーフェスティバルU-18の部で静岡県ユース選抜と対戦。1-1で引き分けた。

 4-4-2システムの日本高校選抜はGKが湯沢拓也(前橋育英高)で、4バックは右SB 後藤田亘輝(前橋育英高)、CB蓑田広大(青森山田高)、CB角田涼太朗(前橋育英高)、左SB佐藤拓海(青森山田高)。中盤はキャプテンのMF田部井涼(前橋育英高)とMF宮本優太(流通経済大柏高)のダブルボランチで右MF井上怜(市立船橋高)、左MF菊地泰智(流通経済大柏高)、2トップは選手権得点王の飯島陸(前橋育英高)と荒木駿太(長崎総科大附高)がコンビを組んだ。

 対戦した静岡県ユース選抜は年下の1、2年生メンバーで構成。だが、いずれも17年U-17W杯日本代表メンバーのGK梅田透吾とCB監物拓歩(ともに清水ユース)らが先発した相手を日本高校選抜は攻めあぐねてしまう。

 日本高校選抜の平野直樹監督(履正社高)は「子どもたちには攻撃に、守備に超アグレッシブにと言っていた」。立ち上がりこそ、前への勢いのあった静岡に攻め込まれ、FW塩浜遼(静岡学園高)のドリブル突破などを許していた日本高校選抜だが、すぐに流れを引き寄せると攻守においてアグレッシブなプレーを見せていた。

 ただし、アグレッシブに攻めようとしすぎたが、相手の背後を狙った縦パスを多用した日本高校選抜は、守備能力の高さを見せる監物やCB山田梨功(浜松開誠館高)、落ち着いた対応光るGK梅田に跳ね返されてしまう。

 後藤田の右クロスを菊地が合わせたほか、田部井や宮本がミドルシュートにチャレンジ。菊地の背後を突くパスなどで攻めたものの、攻撃が単調になった部分もあって1点を奪えない。逆に29分、PA方向へ抜け出した静岡MF齊藤聖七(清水ユース)に縦パスを通されてPKを献上。これを齊藤に決められて先制されてしまった。

 それでもCB角田や左SB佐藤拓がグイグイと前に出て来る日本高校選抜は、33分に田部井の左足FKが枠を捉え、37分には佐藤拓の左クロスから荒木がダイビングヘッド。いずれもGK梅田にセーブされたものの、効果的なサイドチェンジも含めて攻めた日本高校選抜は39分、佐藤拓のパスでPAへ潜り込んだ飯島が切り返しでDFを外し、体勢を崩しながらも右足シュートを打ち切る。最後はクロスバーを叩いた跳ね返りを井上が左足でゴールへ押し込み、同点に追いついた。

 日本高校選抜は後半開始から井上に代えてMF田中雄大(桐光学園高)を投入。静岡も3選手を入れ替えて後半に臨んだ。後半の日本高校選抜は横パスを数本入れてから縦パスにチャレンジ。相手が構えている状況でボールを入れて跳ね返されていた前半に比べると攻撃の変化が見られるようになった。

 12分にJ3北九州のFW佐藤颯汰(日章学園高)、23分にMF青木真生都(東福岡高)、30分にはMF梅津凌岳(京都橘高)とフレッシュな選手を投入した日本高校選抜は逆転を狙ってゴールへ迫った。

 それでも、渡邊勝己監督(清水東高)が「後ろの子たちが良く頑張ってくれた」と評したように、静岡はDFラインやこぼれ球を良く拾っていたMF清水綾馬(静岡学園高)ら後方の選手たちが集中力を切らさない。また「前半1-1で終わったので行けるかなと思っていました」(渡邊監督)という静岡は攻撃面でも幾度か良さを発揮。153cmMF神田凜星(静岡学園高)のスルーパスからDFを外した塩浜があわやのシュートを放って日本高校選抜に冷や汗をかかせる。

 終盤は攻め合いに。日本高校選抜は33分、右サイドでDFをかわした後藤田が右足シュート。38分にはワンツーで青木がPAへ潜り込んでラストパスを通したが、飯島のシュートはブロックされた。静岡も40分に齊藤の右FKを交代出場のFW松永颯太(清水桜が丘高)が頭で合わせたが、日本高校選抜GK湯沢がビッグセーブで得点を許さない。

 アディショナルタイム、日本高校選抜はGK濱田太郎(初芝橋本高)と左SB嶋中春児(長崎総合科学大附高)を投入。相手に勝ち越し点を与えなかったものの、2点目を奪うことはできず、1-1で引き分けた。

 試合後、日本高校選抜の平野監督は「不完全燃焼感はありますね」と第一声。この後、チームは現在の23名から18名にメンバーを絞って欧州遠征に臨む。この日は攻撃が単調になってしまった部分もあって1得点に終わったが、指揮官は「(ゴールを奪うという)目的を失わずに効果的な攻撃をできる子たちがいる」と期待。大学生やJユース選抜からの勝利したこともあったか、油断が出てしまっていた部分を選手たちも反省していた。次に彼らが集まるのは、本番。各選手がやるべきことを整理して、コンディションを高めて、デュッセルドルフ国際ユース大会で優勝を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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