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先輩の大学生2人が名古屋でJデビュー。“千葉のドリブル軍団”中央学院は新たな武器加えて先輩超え、選手権へ

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前半39分、中央学院高はCB喜田拓夢が40m強のロングシュートを決めて逆転

[8.25 千葉県1部L第10節 日体大柏高 2-3 中央学院高 日体大柏高G]

 25日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 2018 千葉1部リーグ第10節で3位・日体大柏高と7位・中央学院高が対戦。中央学院が3-2で競り勝った。

 “千葉のドリブル軍団”中央学院は2年前の主将、MF児玉駿斗が東海学園大2年生ながら21年の名古屋入り内定を勝ち取り、特別指定選手として名古屋での公式戦出場を重ねている。また、同じくOBで東海学園大4年のFW榎本大輝も19年の名古屋加入を決め、特別指定された名古屋から5月にJ1デビューした。

 今年の10番・MF伊藤拓巳(3年)が「目指すのは(2学年上の児玉)駿斗くん。追いつきたいです」と語り、MF濱口大輝(3年)は「1対1めっちゃ強かった。(高校時代に)自分も1対1とかやらせてもらったことがあるんですけれども、タイミング全然掴めなくて飛び込めない」と児玉の巧さについて説明する。また、MF古山颯雅(2年)が「(児玉のプレーは)上手いなと思ってDAZNとか見ています」と語っていたが、児玉ら先輩から刺激を受けているチームは今年、新たな武器を備えて全国初出場を達成する意気込みだ。

 この日は前半12分に日体大柏が1年生MF石川善仁のゴールで先制。だが、中央学院は21分にMF木田拓海(3年)の左FKのこぼれにFW志波佑哉(3年)が飛び込んで追いつくと、33分には持ち上がったCB喜田拓夢(3年)がハーフウェーライン付近からGKの頭上を越すロングシュートを決めて逆転した。

 中央学院の浜田寛之監督は「今年はハーフウェーラインからのキックでバーに当てる練習をしたり、ロングキックにもこだわっている」と説明していたが、その成果を証明するスーパーゴール。加えて、この日の中央学院はともに個人技で何度もマークを外していた伊藤と古山や、MF東出脩椰(3年)がドリブルでボールを運んだり、木田やCB柏木蓮(3年)が起点となってショートパスを繋ぐ一方、ドリブルを警戒する日体大柏の裏をかく形でロングボールをハイサイドに入れて相手に的を絞らせなかった。

 その中央学院は39分、古山、伊藤がドリブルで相手の守りに穴を開けると、最後はこぼれ球を左SB道願温斗(3年)が左足ボレーで豪快に決めて3-1とする。後半も伊藤が1人で持ち込んでシュートを放つなど攻める中央学院に対し、日体大柏も反撃。後半13分には注目1年生MF小林智輝の突破を起点にMF芥川和志(3年)が絡んで、最後はPAへ侵入した左WB佐藤建太郎(3年)が左足シュートを決める。

 このゴールで士気の上がった日体大柏は31分、DFラインの背後へ抜け出した小林が決定的な右足シュート。これをPA外側で手を使って止めた中央学院GKが退場となった。数的優位を得た日体大柏はスペースへ上手くボールを運びながら連続攻撃。だが中央学院は勝負どころで身体を張った守りを連発して得点を許さない。日体大柏は諦めずに繰り返しPAまでボールを運んでいたが、泥臭く戦い抜いた中央学院が3-2で勝利した。

 中央学院はこれまで、技巧派のタレントを育てながら個性的なサッカーを続けてきたが、相手にドリブルが警戒され、スペースを埋められて攻めきれずに敗れることも。伊藤が「(周りも中央学院が)もう、上手いというのは分かっていると思うので、あとは結果で」と語る今年はドリブル、ショートパスで崩す部分にこだわりながら、相手に隙あればロングボールも活用しながらどんどんシュートを打ち込んで、勝ち上がる考えだ。浜田監督の言う「新しい中央学院」への変化。伝統の巧さに加え、新たな武器を磨いてきた後輩たちが今年、児玉や榎本でも突破できなかった激戦区・千葉制覇、選手権初出場を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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