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日本各地の精鋭たちが集結…ナイキ「ファントムキャンプ」に密着取材!! #ファントムを探せ

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全国から集まった9人のファントムプレーヤー候補生

 ナイキフットボールから、新たなスパイク「ファントム ビジョン」が登場した。「ファントム」とは決められた役割で動くのではなく、ゲームを掌握し、決定的な仕事をこなすプレーヤーのことだ。相対した選手は、まるでファントム(ゴースト)に襲われたかのように感服するしかなくなってしまう。そんな得体の知れない「ファントムプレーヤー」は日本に存在するのか。全国各地の高校生から逸材を発掘するスペシャルイベント「ファントムキャンプ」に密着した。

 2018年9月29日、茨城県内の合宿所に集められたのは9人の高校生プレーヤー。ナイキフットボールによって全国各地から集められた精鋭たちだ。彼らはこれから1泊2日のトレーニングキャンプに参加。優秀選手1人は「ファントム」として発掘され、その先にはトッププレイヤーとのトレーニング参加権や、ヨーロッパ遠征への招待が待っている。

 初日はそれぞれの地元を出発し、JR東京駅に集合。「最初は不安しかなかったです。東京駅からバスに乗ってきたんですが、誰も知っている選手がいなくて。正直『ヤバいかな』とも思いました」。そう振り返ったのは宇都宮短大附高からやってきたDF・FW佐藤優悟(3年)。北は青森県、西は兵庫県から挑んできたプレーヤーは多くが初対面なのだ。

 初日のトレーニングは緊張感が張り詰める中でスタート。小島直人ヘッドコーチの指導のもと、約1時間半にわたってパス&ゴーやシュート練習を行った。夕食後にはナイトミーティング。欧州でのトレーナー経験を持つ鈴木友規フィジカルコーチが合流し、「ファントムプレーヤー」のMFケビン・デ・ブライネを例に“目指す場所”を確かめた。ロシアワールドカップ準々決勝・日本対ベルギー戦も振り返り、選手たちは着実にモチベーションを高めていった。

 合宿2日目は共に朝食を摂った後、コーディネーショントレーニングとパス練習からスタート。前日に確認したデ・ブルイネのプレー姿勢を参考にしつつ、鈴木コーチからは「目的地を意識しよう!」という声が頻繁に飛ぶ。自分の足元やパスを出す相手を見るのではなく、パスの“目的地”に意識を向けるように心がけた選手たちは、自然と顔が上がった好姿勢でプレーするようになっていた。

 続いてはサポートメンバーを加えた11人でフォーメーションを組み、攻撃のスタイルを確認。相手選手を置かないため自由に攻めることができる一方、選択肢があり過ぎることで逆に戸惑う姿が目立つ。だが、ここで存在感を見せたのが大阪産業大附高のDF笠原恵夢(2年)。ピッチ外でも持ち前の明るさでムードメーカーを担ったが、率先して声を出すことでチームメートに共通理解を促していた。

「みんな全国から集まっているし、レベルが高くて刺激になっています。一緒にやっていて楽しいし、普段はなかなかこんな経験ができないですから」(笠原)。ピッチ上のリーダーを中心にまとまった9人は一体感の重要性を確認。「一つのチームになってやりきろう!選考どうこうじゃなく、自分たちの力を出し切ろう!」という小島コーチの叱咤も受け、最終選考の場となる地元高校生とのトレーニングマッチに備えた。

 ここでスペシャルゲストの岩政大樹(東京ユナイテッド)が登場。常勝軍団・鹿島アントラーズの最終ラインを支え、日本代表として南アフリカW杯にも参加した経験を持つ国内屈指の名ディフェンダーだ。「僕から言えることはありません。自分の力をしっかり出してください」。重みのある言葉を受け取った選手たちは真剣な表情でうなずくと、力強く円陣を組んでピッチに飛び出していった。

 トレーニングマッチは30分、30分、20分の3本で実施。立ち上がりこそ固さの見られた9人だったが、5分にMF武田英寿(青森山田高2年)のゴールが決まると、ピッチ内に活気が出てきて次々と相手ゴール前に攻め込む場面をつくる。その後はFW植中朝日(JFAアカデミー福島U-18、2年)、FW清水琉佑(共愛学園3年)の2トップが加点し、2本目を4-0で終えた。

 3本目はMF高木一史(JFAアカデミー福島U-18、2年)が左サイドハーフにポジションを移し、攻撃がさらに活性化する。左サイドバックのDF仲林哲平(報徳学園高2年)との連携も上々で、センターバックのDF荒井ジュリアン海都(桐光学園高1年)の縦パスも存在感を発揮。ボランチに入ったMF佐藤陽太(京都橘高2年)のゲームメークも光り、さらに3点を追加して試合を締めた。

「なんだか名残惜しいですね」。小島コーチのそんな挨拶で始まった最終ミーティングでは、いよいよ「ファントム」が選ばれる。「ファントムはギリギリで判断を変えられる選手。ボールがある位置で、いろんなプレーができる選手。一人を選ぶのは大変だった。みんなで遠征に行ったりしたいけど、ここで発表します」。

 名前が呼ばれたのは、JFAアカデミー福島U-18から参戦したMF高木一史。「ギリギリのところで『そっちじゃない』と判断を変えられて、目の前の相手を動かしたり、時には縦パスを出したり、プレーとプレーがぶつ切りになっていない。全てにおいてフィニッシュにつながるプレーができる」と評価された。

 高木は今秋以降、トッププレーヤーとの合同練習に招待されることが決まり、ヨーロッパ遠征への参加権も獲得。「最終的に試合に勝てたし、みんなのおかげで選ばれた。2日間みんなと一緒にできて本当に良かった」(高木)。落選したプレーヤーは悔しさもあっただろうが、2日間を共にしたライバルに大きな拍手が送られた。

 だが、ファントムキャンプはこれで終わりではない。「もっと得点に絡めていれば良かったが、プレミアリーグがあるのでそれに向けて頑張っていく」(青森山田・武田)。「もっとみんなから信頼されるFWになりたい」(JFAアカデミー・植中)。ファントム候補生の挑戦はこれからも続いていくはずだ。

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