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[MOM2729]横浜FMユースMF椿直起(3年)_指揮官も感嘆、大一番で示したトップ昇格内定の実力

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MF椿直起が決勝点を奪った

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.9 プリンスリーグ関東第18節 横浜FMユース1-0大宮ユース ニッパツ]

 頼もしくなった主将が、大一番で試合を決めた。自力でプレミア参入戦進出を決めるには勝利が必要だった横浜F・マリノスユースは前半31分、MF岩澤桐人(3年)とのワンツーでエリア内に侵入した主将MF椿直起(3年/横浜F・マリノス内定)がDFを外して左足を一閃。自分でも「打った瞬間に入った」と好感触を得るほどの完璧なシュートをゴール右隅に突き刺した。

「前半はいまいち、(自分の)左サイドが機能していなかった。裏を警戒されていたので、足元で受けようと思った。ちょうどいい感じで足元に入った。ドリブルは自分の特長。相手を一枚はがせたのも大きかったですし、あとはGKがずれていたのも見えていた。でもドリブルで決まっていたかなと思います」

 今季は新チーム立ち上げとともにキャプテンに指名された。同世代は「みんながキャプテンになれるくらいのリーダーシップを持っている」という意識の高い集団だが、西谷冬樹監督は椿の精神的な成長を期待。当初は「自分はキャプテンキャラではない」という椿だが、監督の想いをくみ取って、任命されたことを理解した。

 責任感を持たせた効果は、プレー面でも好影響を与えた。これまで攻撃面、特にドリブルで存在感を示していた椿だが、守備の面が疎かになりがちだった。言葉で引っ張るタイプではないため、プレーで示すしかない。そう考えた椿は自らのプレースタイルを見直し、「チームのみんなを俺もやらなきゃと思わせるくらい、攻撃も守備も貢献しよう」と気持ちを入れ替えた。

 期待込みでキャプテンに指名したという指揮官も、ここまでの成長には目を見張る。「全体を意識しながら、行動を取れるようにさせようと思っていたが、彼の成長はいろんな意味で周囲を驚かせたと思う。凄いですね。あいつは。勝負所で決めるのは大したもんです。ただ彼にはもっと進化していってくれと言っている。まだまだ伸びしろはある。トップで10番をつけるような選手になってほしい」。

 責任感の強さは怪我の回復も早めた。椿は9月の練習中に右足内側靭帯を部分断裂。当初は全治3か月と診断された。しかしチームスタッフとの懸命のリハビリに励むと、10月13日のJユースカップ1回戦で復帰。チームの勢いを加速させた。 

「最近は自分たちでも『こんな強いチームだったっけ?』みたいな感じなんです。前期は苦しくて勝ち切れない試合が続いて悔しかったんですけど、その悔しさが今になって繋がっている。自分たちもビックリするくらいのチームになってきたと思います」

 チームは今月14日と16日に広島県で開催されるプレミアリーグプレーオフへの進出を決めた。組み合わせは10日に発表になるが、2連勝すれば、来季のプレミアリーグ昇格が決まる。「参入戦も自分が活躍して、恩返しがしたい」。プロ入り前の一仕事。ここ一年の進化を、感謝を、結果で見せつける。

(取材・文 児玉幸洋)
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