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「凄かった」“死闘”から3年、大津が組織守備と高速カウンターで再び静岡学園を沈める!

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前半40分、大津高FW奥原零偉(11番)がアシストのMF水野雄太とゴールを喜ぶ

[12.14 プレミアリーグプレーオフ1回戦 静岡学園高 1-3 大津高 呉市総合スポーツセンター陸上競技場]

 高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグの19年度参入を懸けた高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2018プレーオフの1回戦が、14日に広島県内各地で行われた。プリンスリーグ東海優勝の静岡学園高(静岡)と、プリンスリーグ九州2位の大津高(熊本)の注目対決は、3-1で大津が勝利。大津は16日の2回戦(昇格決定戦)で矢板中央高(関東1/栃木)と戦う。

 両校は3年前のプレーオフ(当時はプレミアリーグ参入戦)2回戦で延長戦を含む110分間の“死闘”を演じ、延長後半終了間際の決勝点によって大津が勝利。プレミアリーグ昇格を果たしている。この日、ダメ押しの左足FK弾を決めたMF松原亘紀(3年)は「(3年前の)あの代に憧れて大津に入ってきました。youtubeに映像があるので、あの試合は何度も見ました。今日の試合よりも凄かったです。見ているだけでも楽しかったです」と微笑む。その好勝負以来、3年ぶりに広島で相まみえた“公立の雄”大津と技巧派軍団・静学。その戦いは組織守備と高速カウンターの大津が、3年前同様に勝利した。

 試合は前半3分に早くも動く。大津はU-18日本代表MF水野雄太(3年)が右サイド後方からFKを蹴り込むと、飛び込んだU-18日本代表CB吉村仁志(3年)がファウルを受けてPKを獲得。このPKをMF大竹悠聖(3年)が右足で左隅に決め、大津が先制した。

 セカンドボールの攻防で優位に立った大津はFW大崎舜(3年)を起点に、コンビネーションによる崩しから2点目を奪おうとする。だが、静岡学園は19分、相手セットプレー後のカウンターからU-17日本代表FW松村優太(2年)が鋭く左サイドを突破。さらに中央へ切れ込みながらもう一人を強引に剥がし、最後は右足シュートをゴール左隅にねじ込んだ。

 エースFW塩浜遼(3年)が欠場した静岡学園だったが、個で奪い取ったゴールによって1-1。注目MF神田凜星(3年)が多くボールに絡み、攻撃時間を増やしていた。だが、大津は湘南内定CB福島隼斗主将(3年)と吉村の2人を中心とした組織守備で対抗。縦パスやシュートコースを開けずに、PAでは相手に前を向かせずに外へと押し出していく。

 そして40分、堅い守備を続けた大津のカウンター攻撃が炸裂。中盤中央で大崎がボールを収めてから左サイドへはたくと、水野がスピードに乗って一気に抜け出す。そのラストパスをFW奥原零偉(3年)が左足ダイレクトでゴールに沈めて再び勝ち越した。

 今回も好勝負となった一戦。後半、静岡学園は2ボランチからMF清水綾馬主将(3年)の1ボランチへ変更し、より攻撃的な陣容で大津にプレッシャーをかけようとする。立ち上がりに3、4人が絡んだ崩しでチャンス。だが、その後はポゼッションをより高めたものの、攻撃のスピードが上がらず横パスが増加。仕掛けのパスの精度も欠いた。

 一方、ベンチの平岡和徳総監督から「良い守備の練習だよ」と声がかかっていた大津は守備に重心を置いて時間を進める。後半はセカンドボールを回収され、連続攻撃を受けることになったが、それでも得点を許さない。逆に後半半ば以降は前線4人のスピードを活かしたカウンターに持ち込んでいた。

 静岡学園は41分、左サイドからゴール方向に出されたスルーパスに交代出場FW小澤晴彦(3年)が反応。ただし、シュートは大津GK松村龍之介(3年)の手を弾いてポストを叩いてしまう。

 逆に大津は42分、再びカウンターから水野の出したパスで松原が抜け出す。「(静岡学園の)ビデオとかも見て、『一発カウンターで点を取れる』、(ワールドカップで高速カウンターを見せた)『ベルギーやるぞ』とみんなで話していました」という松原がGKヘッペル舞恵瑠(3年)との1対1からファウルを誘い、ヘッペルは一発退場。大津はこれで得たFKを松原が左足で直接決め、3-1で勝利した。

 大津の平岡総監督は「この一週間、ショートカウンターをやってきた。彼らが(守備から)コンセプトを丁寧にやってくれた」と評価する。パスワーク、サイド攻撃を特長とする大津が「(映像を見て)これがプリンスか、と思ったくらいビビっていました」(福島)という相手に示した守備の堅さ。平岡総監督はこの日、「(選手権へ向けて)ここで成長しよう」と言って選手たちを送り出したというが、ここでまた一つ成長したチームは、もう1試合真剣勝負を経験して選手権に臨む。

 まずは目の前の試合。福島は2年ぶりのプレミア復帰をかけた矢板中央戦へ向けて「プレミアリーグは(昨年、)自分たちもいい経験になったので、上げて自分たちの結果も欲しいですし、後輩につなげたい」と意気込んだ。勝って、後輩たちが成長する場をもたらし、自分たちは選手権への弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)
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