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[船橋招待U-18大会]プレミア、トップに昇格するチーム、個に。心も重視する仙台ユースが矢板中央に1-0勝利

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ベガルタ仙台ユースの選手たちは仲間の健闘を讃えたあと、整列前に対戦相手の選手たちと丁寧に握手を交わしていた

[3.30 船橋招待U-18大会 矢板中央高 0-1 仙台ユース グラスポ]

 上で戦うチーム、個になるため、心の部分から進化を目指している。悲願のプレミアリーグ昇格を狙うベガルタ仙台ユース(宮城)が、第24回船橋招待U-18サッカー大会2日目に、18年プリンスリーグ関東優勝の矢板中央高(栃木)と対戦。MF工藤真人(新3年)の決勝点によって1-0で勝利した。

 前半5分、仙台はMF高瀬太一(新3年)からのパスをDF間で受けた工藤がターンからの一撃を決めて先制。仙台はその後もボールを正確に繋ぎ、支配し続けた。そして、コンビネーションで相手の守りをずらしてシュートに持ち込むシーンも。一方の矢板中央も前線へボールを入れ、そこを起点にシュートまで持ち込もうとする。17分にはCチームの左SBからAチームのFWに抜擢されたという人見太陽(新3年)が抜け出して決定機を迎えたが、仙台GK小畑裕馬(新3年)のビッグセーブに阻まれてしまう。

 後半はよりゴールを意識した配球、戦い方へスイッチした仙台は、一段階上のレベルのプレーをしていた工藤の大きな展開やMF鈴木史哉(新2年)の抜け出しなどから決定機を作った。GK溝口陽日(新3年)のファインセーブなどで失点を回避した矢板中央も人見が前線で競り勝ち、FW坂本龍汰(新2年)がチャンスを迎えるシーンもあったが、好機をモノにすることができず。試合を通して球際激しい相手に引かない戦いも見せていた仙台が1-0で勝利した。

 仙台はプレミアリーグが発足した11年度以降、これまでプリンスリーグ東北で3度優勝。だが、プレミアリーグへの昇格は一度もない。育成組織としてトップチームに選手を送り出すという目標とともに全国上位のチームと常に戦い、より大勢の観衆の前でプレーする機会となるプレミアリーグへの昇格はもう一つの大目標だ。

 壱岐友輔ヘッドオブコーチング兼ユース監督も「最大の目標はプレミア昇格とトップに昇格させること」と明言。そのために重視しているのは、心の部分だ。壱岐監督は「トップチームからも心のところ、取り組む姿勢は指摘されます。常に、がむしゃらにやってほしいと」。例えプロの世界ですぐに結果が出なくても我慢強く成長し、花を開かせる、リバウンドメンタリティを持ち合わせた選手の育成を目指している。

 礼儀、挨拶など、ピッチ外の部分からより当たり前のことの徹底を求め、昨年から取り入れたという週1日の朝練も「新鮮です」(工藤)と好評だ。選手たちの変化に壱岐監督も「グラウンド以外の取り組みが大事だと思いました」と語る。

「粗さもあるけれど、面白みのある代。より、特長があります」(壱岐監督)という今年の代は、心の部分も磨いて厳しい試合でもコンスタントにその技術、判断力を発揮する選手、チームになる。そしてトップ、プレミアリーグへ。昨年、プレミアリーグプレーオフでの敗戦を経験している新3年生たちの思いは熱い。工藤は「悔しい思いを知っている選手もいるので、1、2年生をプレミアで戦わせられるように、プリンスリーグ優勝して、プレミアに行けば、見に来る人の数も全然違う。1、2年生にやらせてあげたいですね」。今年はプレーオフを勝ち抜く個人、チームになって冬を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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