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“伝統の8番”背負うMF古長谷が決勝点、清水桜が丘が中京学院大中京に競り勝つ

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清水桜が丘高MF古長谷千博は決勝点を決めた

[4.27 プリンスリーグ東海第4節 清水桜が丘高 1-0 中京学院大中京高 草薙球技場]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2019東海は27日に第4節を実施。清水桜が丘高(静岡)と中京学院大中京高(岐阜)の一戦は、後半15分にMF古長谷千博(3年)が決めた決勝点によって清水桜が丘が1-0で勝利した。

 名門・清水商高の伝統を受け継ぐ8番を背負う男がきっちり仕事を果たした。立ち上がりから桜が丘が攻勢を仕掛け、FW黒田瞬矢(3年)が決定機を迎えたが、シュートは水溜まりで勢いを失ったため、ゴール寸前で相手DFがクリア。直後にもFW前田翔茉(3年)のシュートがクロスバーに嫌われた。

 連続で決定機を迎えた清水桜が丘のスタートダッシュは順調だったが、雷雨により試合は開始4分で中断。キックオフから80分後に再開したものの、「子どもたちがやれるぞと思ったタイミングでの中断で難しかった」(片瀬晴城監督)。

 再開後は至る所に出来た水溜まりに苦しむ選手が少なくなかったが、伝統のエース番号を背負った古長谷はモノともしない。「自分と逆サイドが空くと分かっていたので、片瀬監督から言われた『外からのクロスがチャンスになる』という言葉を意識していた」と振り返る通り、左から積極的なドリブルを繰り返し、好機を演出。37分には右サイドからのクロスを相手GKが弾いたボールを古長谷が拾ってゴールを狙ったが、クロスバーに嫌われた。

 対する中京学院大中京も果敢なドリブルを仕掛けたMF田口風真(3年)ら2列目を中心に自分たちの時間を作ったが、相手ゴール前まで持ち込めない。前半終了間際には体調不良でスタメン出場を回避したFW近藤慶一(3年)を投入し、攻勢を強めたが、前半のシュートは0本。福留直人監督は「内容は決して悪くないし、負ける試合ではない。ただ、一言で言えば勝負弱い。自分たちのリズムの時に勝負を仕掛けられなかった」と振り返った。

 エンドが変わった後半も桜が丘ペースで試合が進む。試合が動いたのは15分。桜が丘が右からゴール前に入れたロングボールは中京学院大中京のGKが先に反応したが、対応を誤った隙を逃がさず古長谷が詰めると、慌てたGKが古長谷を倒してしまい、PKに。このプレーで脳震盪となったGKが交代を余儀なくされた。

 相手にとってはピッチに立ったファーストプレーがPKというのは難しいシチュエーション。自らキッカーに名乗りを挙げた古長谷は、「自分の特徴は意外性。入ったGKの気持ちを考えると思い切って飛んでくるだろうなと思った」と力む相手をあざ笑うかのようなチップキックを成功させ、均衡を崩した。この1点を守り切った桜が丘の勝利となり、片瀬監督は 「前半のチャンスを決めていればもっと楽な試合に出来たのは課題だけど、チャンスを作れたことが大切。前半のだらしなさを考えると、後半の締まった感じも悪くない」と口にした。

 決勝点を記録した古長谷だが、勝った喜びよりもチャンスを活かせなかった悔しさの方が強く、試合後は「今の課題は決定力。今日の出来は自分としては全然。もっとできるし、もっとやっていかないと大学やプロで通用しない」と振り返った。ただし、この日見せた動きはチームの核として今後の活躍に期待を抱かせるモノで、サイドからのクロスとカットインはチームの大きな武器だ。

 片瀬監督は「今の子たちはそこまで気にしていないと思う」と話すが、8番を授かっているのも期待の表れ。古長谷は「(現順天堂大の白井)海斗クンがつけていたので、自分もつけたいと思っていた。清水商時代も小野伸二選手とかがつけていて伝統の重みは感じるので、恥じないプレーがしたい。チームを勝たせる仕事だったり、大事な局面で試合を決められる選手になりたい」と更なる飛躍を誓った。

(取材・文 森田将義)
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