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[関東大会予選]5発逆転の國學院久我山が堂々の東京制覇!夏、秋も「東京のチャンピオンに相応しいチームに」

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「美しく勝て」の國學院久我山高が東京タイトル奪還

[5.6 関東大会東京都予選決勝 國學院久我山高 5-1 東久留米総合高 赤羽スポーツの森公園競技場]

 國學院久我山が東京タイトル奪還! 2019年度関東高校サッカー大会東京都予選決勝が6日に行われ、國學院久我山高が後半の5ゴールによって都立東久留米総合高に5-1で逆転勝ち。2000年度以来19年ぶり(プリンスリーグ関東所属のため、関東大会予選不参加の年あり)となる優勝を果たした。決勝戦を戦った両校は6月に茨城県で開催される関東大会に出場する。

 國學院久我山が東京タイトルを奪還した。東京都のトーナメント戦で優勝したのは、全国大会で準優勝した2015年度選手権予選以来。現役選手たちにとっては國學院久我山に入学してから初となる東京タイトルだけに、ゲーム主将のFW山本航生(3年)は「やっと取れたという感じなので、凄い気持ち良くて、自分も嬉しい気持ちでいっぱいです」と素直に喜んでいた。

 難しい試合だったことは間違いない。それでも、國學院久我山の強さを示す決勝だった。試合開始直後に左FW山下貴之(3年)のドリブル突破から山本航が決定機を迎えたが、これを逸すると直後に東久留米総合が先制点を奪う。

 東久留米総合は相手の寄せの甘さを突いて左サイドから攻撃。そして、FW佐藤海翔(3年)が縦への仕掛けからクロスを入れると、ファーサイドでフリーのMF原圭佑(3年)が1タッチでゴールへ押し込んだ。優勝すれば2013年以来6年ぶりの東京タイトルとなる東久留米総合スタンドは大盛り上がり。その声にも支えられた都立校が粘り強く勝ち上がってきた力を決勝でも発揮する。

 ボールを握られる時間が増えたものの、中盤、前線に入ってくるボールに狙いを定めて鋭いアプローチ。先発起用されたMF岡田圭太(3年)が好守を連発していたほか、CB五賀駿也(2年)が最終ラインで健闘するなど好守の光る前半だった。

 一方、ボールを支配しながら縦パス、連係での崩しを狙う國學院久我山は、右のFW戸坂隼人(3年)と左の山下の強力ドリブラーコンビを多用。彼らが仕掛けからクロスまで持ち込んでいたが、東久留米総合はCB下田将太郎主将(3年)がラインコントロールしながらボールを跳ね返していく。そして、前半23分には國學院久我山CB保野友裕(3年)の決定的なヘッドをGK酒井真(3年)がビッグセーブ。MF柳田晃陽(3年)や岡田がセカンドボールによく絡んでいた東久留米総合は1-0とリードしたまま前半を終えることに成功した。

 だが、國學院久我山は左SB山本献(3年)が「前半終わった時にまだそんなに焦るほどじゃないって。自分たちは得点力があるから、そこは自信を持って攻撃すれば逆転できるんじゃないかという気持ちでやっていました」と振り返ったように、慌てない。

 そして後半2分、左中間から斜めにボールを運んだMF福井寿俊(3年)がPAのMF大窟陽平(2年)へ斜めのパス。これを大窟が1タッチで中央へ折り返すと、山本航が右足でゴールに流し込んだ。さらに4分には右CKから保野が決定的なヘッド。だが、東久留米総合は柳田がゴールライン上でクリアすると、カウンターなどからシュートチャンスを作り出す。9分には右クロスから岡田が決定的なヘッド。だが、これは國學院久我山GK鈴木哉眞人(2年)がファインセーブで弾き出した。

 互いに持ち味を出し合った好ゲームは、國學院久我山が攻め勝った。16分、福井がPAへ出したループパスに反応したMF田中琢人(2年)が絶妙トラップからシュート。このこぼれ球を山本航が1タッチで押し込んで逆転に成功する。さらに20分には、大窟からのパスを右サイドで受けた戸坂がカットインシュートを逆サイドのネットに沈めて3-1。後半、負傷交代が続いた東久留米総合は3失点後、落胆の色が出てしまった。

 27分に東久留米総合MF柳田の右足FKがポストを直撃。その直後に國學院久我山は山本献が左サイドからのCKを右足で直接決めて3点差とする。セカンドボールを回収し続けた福井や保野、CB加納直樹(3年)を中心に落ち着いた守備を見せていた國學院久我山は試合終了間際にも大窟のスルーパスからFW藤原樹生(3年)がゴールを狙い、最後はこぼれ球を福井が沈めて後半のゴールラッシュを締めた。

 後半に関しては國學院久我山・清水恭孝監督も「らしさも出たと思う」と認める戦いぶり。前半は攻撃の先の流れを読まず、動きを止めてしまう選手がいたが、後半は「3手4手先の人間を活用して、となっていた」(清水監督)。両ワイドの突破力にやや頼りがちになってしまう部分や守備の課題はあるが、それでも現時点で「東京のチャンピオンに相応しい」戦いだったことを評価した。

 期待の世代が堂々の東京制覇。ただし、清水監督はインターハイ予選、選手権予選で「チャンピオンに相応しいチームになれるかどうかはこれから」という。すべては彼らの努力次第。今大会不参加だったプリンスリーグ関東勢の帝京高や、今大会準決勝で延長戦の接戦を演じた関東一高、東久留米総合などのライバルを再び上回らなければならない。

 選手たちにはその覚悟がある。山本航は「これから夏に向けて準備期間がありますし、他のチームも伸びてくると思うので、インターハイ予選でも差を見せて勝って、『やっぱり久我山は強いな』と言われるようにこの1か月半、インターハイまで準備してタイトルを取りたいです」と気を引き締め、山本献も「この大会とインハイの予選は雰囲気もプレッシャーも全然違うと思う。しかも、自分たちはシードでベスト8からで2回勝てば全国に行けるんですけれども、相手も勢いづいてくるし、もっと厳しい戦いになると思う。そこをしっかりと勝ち切ることができるかどうか。色々なところを詰めていきたい」と語った。まずは関東大会で優勝にチャレンジ。そして夏の東京チャンピオンに相応しいチームになってインターハイ予選で2冠を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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