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[プリンスリーグ九州]長崎総附が2点リードも、選手層の厚さと底力示した九国大付が追いつき、暫定2位浮上!

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後半アディショナルタイム、九州国際大付高FW小方燿平(左)が同点ゴール

[9.25 プリンスリーグ九州第14節 九州国際大付高 3-3 長崎総合科学大附高 九州国際大G]

 2位狙う九国大付が2点差追いつき、価値あるドロー! 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2019九州は25日、第14節の暫定3位・九州国際大付高(福岡)対同10位・長崎総合科学大附高(長崎)戦を行い、3-3で引き分け。九国大付はプレミアリーグプレーオフ進出圏内の暫定2位に浮上した。

 ともにプレミアリーグプレーオフ進出、プリンスリーグ残留のためには負けられない平日ゲーム。長崎総科大附がファインショットの連続でリードを奪ったが、上位争いを繰り広げている九国大付が選手層の厚さと底力を示して勝ち点1をもぎ取った。

 先にペースを握ったのは長崎総科大附だった。相手選手へのアプローチが速くて深い長崎総科大附は、相手が少しでも迷ったプレーをすると、一気に前へ。一瞬のスピードと高さを兼ね備えた九国大付CB吉田晃(3年、名古屋内定)やCB花田周勇(3年)に止められるシーンも少なくなかったが、それでも縦への攻撃を連続し、こぼれ球を拾ったFW千葉翼(3年)らが間髪入れずにシュートまで持ち込んでいた。

 一方の九国大付は身長150cm台半ばの技巧派MF森永将斗(3年)を3トップの中央に配置。その森永やMF{高月海}}(3年)を軸に1タッチのパスを多用しながらボールをサイドまで運んでいた。マンマークを受ける森永の作ったスペースも有効活用。高速右SB稗田凌太主将(3年)の攻め上がりも交えてシュートシーンを作り出したが、長崎総科大附はDF陣がシュートブロックを連発して決定打を打たせない。

 先制したのは長崎総科大附だった。前半30分、U-16日本代表候補GK梶原駿哉(2年)のキックを起点とした速攻から、FW国吉シントク(2年)が“ドライブシュート”でGKの頭上を射抜く。

 球際の攻防で後手に回り、不要なミスも出ていた九国大付に対し、セカンドボールへの反応速い長崎総科大附は38分にも国吉が浮き上がるような弾道の右足ミドルを突き刺して2-0とした。国吉のファインショット2発でリードを広げt長崎総科大附は直後にも右サイドからMF岩永空潤(2年)の放った左足シュートがファーポストを直撃。攻守両面に渡って、ゴール前の部分で差をつけた長崎総科大附が、良い流れのまま前半を終えようとしていた。

 だが、42分、九国大付は稗田の左FKがゴール前に流れたところに反応した吉田晃が頭で合わせて1点差。MF阿比留将栄(3年)らがセカンドボールで巻き返した九国大付は後半にも稗田のスピードに乗ったドリブルなどがチャンスになりかけたが、攻め切ることができない。

 逆に18分、長崎総科大附は右SB朴倍漌(3年)のドリブル突破からMF島田隼人(3年)が右足の弾丸ショットを決めて3-1。九国大付は吉田晃が古傷を再発させて交代し、攻撃面では奪った後の1本のパスでミスが出てしまうなど、苦しい展開のように映った。

 それでも、江藤謙一監督が「シンプルな形でボールを入れた方が相手の足が止まるなと思った」と振り返ったように、FW米山漣(3年)とFW杉本光(3年)を前線に入れてプレッシャーを掛け続けた九国大付が長崎総科大附ゴールをこじ開ける。

 38分、杉本が頭でゴール方向にボールをそらすと、これで抜け出したFW吉田直樹(3年)が右足で決めて1点差。さらに連続攻撃で相手を押し込んだ九国大付は46分、左SB宮本武(3年)のクロスを米山が頭で折り返し、最後は交代出場のFW小方燿平(3年)が「練習通り」の形で同点ゴールを決めた。九国大付はさらにもう1点を狙ったが、長崎総科大附も凌ぎきって3-3ドロー。勝ち点1を分け合った。

 小嶺忠敏監督から「甘さ」を指摘されていた長崎総科大附は涙を流す選手も。一方、九国大付の選手たちも勝ち点3を逃したことを悔しがっていたが、稗田は「先制されて2点差とかついていても最後まで諦めずに追っていって、同点まで持っていって最後に追い越す力があると思っているので、(きょうは)良い結果とは言えないんですけれども、追いつけたことは良かったと思います」と及第点の評価をしていた。

 九国大付は強敵居並ぶプリンスリーグ九州で暫定2位。今年のインターハイ予選決勝では福岡で絶対的な存在となっている王者・東福岡高をPK戦まで追い詰めている。江藤監督が「層を厚くしようというテーマ。ずっと色々な選手を使ってきました」と説明していたが、福岡制覇、九州上位に食い込むために目指してきた選手層向上に成功。この日はいずれも交代出場の米山と杉本がゴールに絡み、小方が同点ゴールを叩き出した。また吉田晃に代わって緊急投入されたCB森喜大(2年)も役割を全う。指揮官も「(各ポジションで)ある程度揃ってきた」と頷く選手層が勝ち点1をもぎ取る力になった。

 九国大付は今秋、11月23日と30日にプリンスリーグの第17節と第18節(最終節)。また、勝ち上がれば、11月27日と12月4日に選手権福岡県予選準決勝と決勝が行われる過酷な日程だ。それでも稗田は「今年は全員ハードワークできると思うし、気持ちも一つだと思うので乗り越えていきたい」。個々の技術力の高さとプロ内定CBの存在、そして選手層も強みとする九国大付が、選手権予選制覇を第一に目指しながら、もう一つのチャンスにも挑む。

(取材・文 吉田太郎)
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