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PK戦でGK中村が1本ストップ!110分間粘り強く守り、走った富山一がJFAアカデミー福島撃破!

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PK戦勝利を喜ぶ富山一高イレブン

[12.13 プレミアPO1回戦 JFAアカデミー福島U-18 0-0(PK2-4)富山一高 コカ広島ス]

 インハイ準優勝校・富一がまた一歩成長する勝利――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2020への出場権を懸けたプレーオフ(参入戦)の1回戦が13日に広島県内で行われ、プリンスリーグ東海優勝のJFAアカデミー福島U-18(静岡)とプリンスリーグ北信越2位の富山一高(富山)が激突。0-0で突入したPK戦の末、富山一が4-2で勝った。富山一は15日のDブロック2回戦(参入決定戦)で横浜FCユース(関東3/神奈川)と戦う。

 0-0で突入したPK戦。先攻・JFAアカデミー福島の1人目・U-18日本代表左SB加藤聖(3年、長崎内定)の左足シュートがクロスバーを叩くと、2人目・FW植中朝日(3年、長崎内定)の右足シュートを富山一GK中村純四郎(3年)が右に跳んでストップする。

 完全に優位に立った富山一はMF高木俊希(3年)、左WB真田滉大(3年)に続き、FW碓井聖生(3年)、DF牧野奏太(3年)も成功。勝利が決まると、殊勲の中村や牧野を中心にピッチ上で喜びを爆発させた。

 この日は選手権初戦で対戦する立正大淞南高(島根)の選手・スタッフが、見つめる中での110分間とPK戦。ただし、選手たちはセットプレー含めて出し惜しみすることなく、全力で勝ちに行った。

 大塚一朗監督とともにチームを率いる加納靖典コーチは「選手が勝つことで学んできた部分が伝統になって積み上がってきていると思う。やっぱり『富一は勝つためにプレーするんだ』というのが僕らのアイデンティティーなんですよね。鹿島なんかはどのタイトルも獲りに行く。そういうメンタリティーが強いチームを作るんじゃないかなって思っているのでどんなゲームでも勝ちに行く、勝つための最善のことをやるというのが大事だと思いますね」と説明していたが、どんな試合でも目の前の試合を全力で勝ちに行く、そして勝ち切るのが“富一流”だ。

 加えて、後輩たちにプレミア昇格をプレゼントするという思いが苦しい時間帯でのあと一歩など粘り強さを生み、計測で16km超えのランをしたというMF矢崎謙介(3年)をはじめ、各選手が普段以上に走る力を引き出した。そして、また一歩成長する勝利。インターハイ準優勝校が強敵を撃破し、新たな自信を得た。

 JFAアカデミー福島がボールに触りながらリズムを作るMF廣岡睦樹(3年、山形内定)を中心にポゼッションしながら試合を進めたのに対し、富山一はインターハイでも対戦相手を苦しめた5バックがDFラインを高く設定。コンパクトな陣形で相手にスペースを与えない。

 それでも、JFAアカデミー福島はU-17日本代表FW三戸舜介(2年)や植中が巧みにラインブレイク。ゴール前やコーナー方向に抜け出し続けていた。富山一はこの修正をなかなかすることができなかったものの、PAで牧野やDF吉藤廉(3年)らDF陣が粘り強く相手に身体を寄せて決定打を打たせなかった。

 守備の時間が長くなった富山一だが、押し返し、カウンターやセットプレーから1点を目指していた。前半から吉藤とDF丸山以祐(3年)が再三ロングスローを投じていたほか、丸山のロングクロスや碓井、FW吉倉昇空(2年)の推進力あるドリブルなども交えてゴール前のシーンを増やそうとする。

 惜しいシーンを幾度か作ったものの、得点することはできなかった。それでも、技術力で上回るJFAアカデミー福島に後半だけで計11本のシュートを打たれながら、吉藤の好カバーリングやGK中村の正確なキャッチング、飛び出しなどで阻止。また、各選手が最後まで諦めずに足を出し続けていたことがJFAアカデミー福島のシュートをわずかに乱し、110分間を無失点で終える原動力となった。

 強敵を無得点に封じての勝利に加納コーチは「身体を張って、声を掛け合って、プレーし続けていたのが良かった」と評価。また、牧野は「こういうギリギリの試合で勝つというのは大事。今年、自分たちはあまり攻撃力があると思っていないので、守備のところでしっかりとゼロに抑えて粘り勝ちすることができたのは、本当に自信になりました」と胸を張った。

 2年ぶりとなるプレミアリーグ昇格を懸けた横浜FC戦も難しい試合になることは間違いないだろう。それでも、中村は「選手権前の最後の公式戦で勝って、勢いに乗って、選手権で夏の借りを返したい」。ここでも粘り強く守り、走って、勝ち切ること。そして、また新たな自信と力を身に着けて、選手権で日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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