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「悔しい思いはもうしたくない」勝利への執念と一体感見せた仙台ユースが後半44分の劇的弾で阪南大高突破!

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試合後、勝利を喜ぶベガルタ仙台ユースの選手たち

[12.13 プレミアPO1回戦 仙台ユース 1-0 阪南大高 広域補助]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2020への出場権を懸けたプレーオフ(参入戦)の1回戦が13日に広島県内で行われた。広島広域公園補助競技場第2試合ではプリンスリーグ東北3位のベガルタ仙台ユース(宮城)とプリンスリーグ関西優勝の阪南大高(大阪)が対戦。仙台が1-0で勝った。仙台は15日の2回戦でサガン鳥栖U-18と対戦する。

 試合は序盤から阪南大高がMF窪田伊吹(3年)や、MF富岡汰地(3年)の縦への仕掛けで決定機をつくるが、仙台もDF佐藤潤(3年)とDF高橋拓(3年)を中心とするDFラインや、U-18日本代表GK小畑裕馬(3年、トップチーム昇格内定)が冷静に対応。小畑は「DFラインの選手がゴール前で体を張ってくれました。相手のシュートが枠に飛んでこなかったので、ゴールを守る仕事は今回そんなに無かったです」と比較的余裕を持って対応したという。

 そんな小畑が心掛けたのは「チームをどう盛り上げるか」だった。「ずっとこの1年間、昨年のプレーオフ(昨年プレーオフで東海大仰星高にPK負け)のような悔しい思いはもうしたくないと思ってやってきました。きつい練習もみんなで乗り越えてきましたし、みんなを鼓舞しながら試合ができて良かったと思います」という小畑は「勝つんだろ!勝つためにやっているんだろ!」と勝利を強く意識させながらチームメイトを鼓舞した。

 壱岐友輔監督は「こういう一発勝負の試合になるとお互い見合ってしまうこともあるのですが、それは僕らの集団には似合わない、どんどん前から行って走力・球際・切り替えの部分を出そうと送り出しました」と語った通り、仙台の選手たちは球際勝負でも体を張り続け、粘り強くチャンスを待った。

 0-0のまま迎えた後半44分、DF鈴木史哉(2年)の突破から得たCK。DF佐々木勇輔(3年)のキックをゴール正面でフリーとなってヘディングで合わせたのは、MF工藤真人(3年)だった。

「自分はPKマークにボールが来るのを信じて走って、そこにちょうど(佐々木)勇輔が良いボールを上げてくれたので、決めるだけでした」と語る見事なヘディングシュートがゴールに突き刺さった。「普段はコーナーキックからゴールを決めたことのない(工藤)真人の気持ちのこもったゴール」と壱岐監督は驚きながらも工藤真のゴールを称えた。その後の阪南大高の反撃を退けた仙台が、5年ぶりに今大会で勝利を挙げた。

「(自分たちの代は)ジュニアユースから勝負強さがあった代で、それをしっかり発揮できたので、勝ちたいという気持ちで一つになれたかなと思います」と小畑は、この日の仙台の一体感を振り返った。対して、阪南大高主将のDF高木践(3年)は「選手権で負けてからチームで一つになれなかった。チームを引っ張れなかった」と一体感の欠如を悔やんだ。濱田豪監督も「チームは簡単に壊れてしまう」と選手権敗退後のチームマネジメントの難しさを感じていた。

 また、濱田監督は「仙台の子は体ができていましたし、サッカーをする上でのベースをしっかり持っていました。(1~2年生には)この結果をどう感じているのか、これを普段の生活とどうリンクさせて成長しようとしているのか、まず確認したい」とこの敗戦を糧に新チームづくりに取りかかろうとしていた。

 仙台は2013年以降、4回プレーオフに出場しながら、あと一歩でプレミアリーグに手が届かない悔しさを味わい続けてきた。壱岐監督は「今までずっと積み上げたものを全てぶつけることです。積極的に走力・球際・切り替えで相手より勝ることができれば必ず良い結果が出ると信じています」と強豪・鳥栖U-18相手にも、勝ちたい気持ちを前面に出し、チーム一丸となって全力勝負を挑む構えだ。

(取材・文 小林健志)
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