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[新人戦]選手権予選ベスト4に続く、躍進。野洲を下した古豪・水口が滋賀決勝進出

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前半32分、MF竹添光瑛(14番)のゴールを水口高のチームメイトが祝福

[1.19 第72回滋賀県県民大会準決勝 野洲高 1-2 水口高 ビッグレイク]

 第72回滋賀県県民大会(新人戦)の準決勝が19日に行われ、野洲高水口高が対戦。前半に奪った2ゴールによって、水口が2-1で勝利した。水口は25日の決勝で綾羽高と対戦する。

 県勢最多となる15回の選手権出場を誇る水口だが、前回の選手権出場は1996年度の第75回大会まで遡る。近年は学校所在地である甲賀市の少子化の影響を受け、部員数が減少。草津東高や野洲高などに後れをとってきたが、昨年度の選手権予選4強入りに続き、新人戦でも決勝切符を手にした。

 躍進の原動力は、昨年の国体選抜にも選ばれたドリブラーのFW澤田忠和(2年)だ。野洲に挑んだ準決勝は、体調不良で主力FWを欠き、苦しいメンバー構成を強いられたが、澤田は西森勇樹監督が「どこが相手でも止まらない」と評するほど推進力に長けた突破で攻撃を牽引。本人も、「ドリブルやパスで前に出て攻撃的に行こうと思っていた。最初は元気よくプレーできた」と胸を張るように、左サイドのMF岡蓮大(1年)と共に序盤から切れ味鋭いドリブルでチャンスを生み出した。前半12分には左からのスローインを受けた澤田が相手に倒され、PKを獲得。キッカーがゴール左隅を狙ったが、野洲GK田島勝(2年)のセーブに阻まれた。

 先制点のチャンスは逃したが、水口に気落ちした様子は見られない。「相手にボールを回されるのは予想していたので、ショートカウンターを狙おうと思っていた」(DF大谷一真、2年)と言うように、水口は野洲がMF向田新(2年)や今村流星(2年)を中心に繰り出すショートパスやドリブルを中盤で奪い、速攻を繰り出した。

 23分には野洲DFのボール回しを奪った澤田がそのままGKとの1対1に持ち込み、ゴール左隅に決めると、32分にはMF竹添光瑛(1年)が右CKのこぼれ球を右足ボレーで叩き込み、2点リードで試合を折り返した。

 後半は運動量が低下した水口を尻目に、向田が「新チームが立ち上がってから試合の入りがずっと悪くて、今日も2失点した。後半は残り35分しかないので点を取るために前でサッカーをしようと意識した」と説明する野洲が試合の主導権を握った。後半12分には、今村のパスからFW長谷琉緯(2年)がシュートを決めて1点を返したが、以降はブロックを固めた水口の守備を崩せなかった。

 水口は野洲に押し込まれても、「普段なら失点すると焦るけど、今日は『失点しても焦るな』と言われていたので、皆で声を掛け合って集中力を保てた」(大谷)と粘り強い守備を継続。そのまま2-1で水口が逃げ切り、決勝進出を果たした。

 水口は「決勝に進出したのは、いつぶりかも分からない」と西森監督が笑うほど、県のタイトルから見放されている。新人戦で優勝と共に、古豪復活の期待も高まるが、西森監督は「勝ちよりも、人生のステップになる3年間を過ごして欲しい」と成長に重きを置く。チームのテーマは、「自分で自分を伸ばすことを諦めない」。発言や行動で自らの価値を下げずに、貪欲に追い求めるのが水口の考え方だ。

 勝利が最優先ではないが、西森監督が「大会で勝っていけば、良い練習ができるし、良い練習ができれば上手になっていく。昨年の選手権なんかまさにそうで、1週間おきに上手くなり、始まった時と終わった時ではまったく違った。大会で勝つって物凄く大事なんだって改めて気付かされた。また来週の決勝に向けて、良い練習ができるので自分で自分を伸ばすチャンスが生まれた」と話す通り、躍進によって選手たちは著しく成長している。決勝も、準決勝よりも逞しくなった姿を披露し、更なる成長材料を手にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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