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個々のアピールに加えてチームとしても進化。日本高校選抜候補が終盤2発で流通経済大に逆転勝ち!

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3本目26分、日本高校選抜候補はFW田中翔太(青森山田高3年)がジャンピングボレーで決めて先制

[1.26 練習試合 日本高校選抜候補 3-2 流通経済大 時之栖裾野G]

 日本高校選抜候補が流経大を撃破! 日本高校選抜候補は静岡合宿3日目の26日、強豪・流通経済大と練習試合(30分×4本)を行い、3-2で逆転勝ちした。日本高校選抜候補は27日で選考合宿を終了。この後メンバーを絞りながら、2月にFUJI XEROX SUPER CUP 2020 「NEXT GENERATION MATCH」(埼玉)、3月にヤングサッカーフェスティバル(草薙球)に臨み、4月には最終18名で欧州遠征を行う。

 試合直後、日本高校選抜の蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「進んできている。どんどん良くなってきていると感じています」と感想を口にしていた。相手の背後の取り方をミーティング、トレーニングで共通理解して臨んだ前日は専修大に6-4で勝利。そして、守備のポジショニングやフィジカル能力に長けた大学生への対応の確認をして迎えたこの日は3本目まで流経大に得点を許さなかった。

 選考合宿で大学生相手に個々が何をできるかを見られている状況だが、彼らは自分の特長を出しながら、また意見を出し合いながらチームとしてもレベルアップ。そして、結果を残して、選考する側のコーチングスタッフを大いに悩ませている。

 この日も2チームを編成し、1本目と3本目、2本目と4本目に分かれてプレー。右SBとして起用されている神田悠成(3年)やMF松木玖生(1年)ら青森山田高の5選手にMF浅倉廉(静岡学園高3年)、MF須藤直輝(昌平高2年)らを加えて戦った1本目は、前日に比べて相手のプレッシャーが速く、シャドーの選手が自由なプレーをすることができていなかった。

 それでも、徐々にボールを握る時間を増やした高校選抜候補は、左SB大竹琉生(昌平高3年)が攻撃参加から決定的なクロスをGKとDFの間に入れるなど、相手ゴールを脅かす。21分には、右サイドを崩して最後はMF後藤健太(青森山田高3年)の折り返しから松木がフィニッシュ。浅倉やMF柴圭汰(昌平高2年)、松木が狭い距離感の中でボールを動かして中盤を突破していたほか、守備面では空中戦の強さを見せる神田や、この日クロスへの対応やヘディングで存在感を放っていたCB長江皓亮(矢板中央高3年)らが相手をゴールに近づけずに0-0で1本目を終えた。

 2本目は前日欠場したMF井堀二昭(静岡学園高3年)やMF丸山喬大(帝京長岡高3年)、左SB阿部稜汰(日章学園高3年)らが出場。1本目に比べると、攻撃時の長いボールが増えていたが、それでも大学生相手にガツガツしたプレーを見せていたFW田海寧生(丸岡高3年)が前線で競り勝ち、選手権得点王のFW岩本悠輝(静岡学園高3年)が鋭く抜け出すなどチャンスを作る。また、井堀が中盤で前向きな状況を作って仕掛けに繋げ、守備でも阿部が対人守備の強さを見せるなど得点を許さない。

 そして、0-0のまま迎えた3本目に高校選抜候補がゴールを奪う。流経大は3本目から主力組を投入。攻守にギアの上った相手にピンチを作られるシーンもあった高校選抜候補だが、柴とMF藤田悠介(静岡学園高3年)のダブルボランチを中心にリズムを作り出す。

 藤田のギャップを突くスルーパスから神田が抜け出し、GKとの1対1からシュート。そして26分、右サイドでボールを持った後藤が中央へのドリブルでDFを引きつけて、左ハイサイドへ展開する。これに走り込んだ大竹がダイレクトでクロスを入れると、FW田中翔太(青森山田高3年)が右足ダイレクトで合わせて先制点。見事な崩しから奪ったゴールでリードを得た。

 4本目はセットプレーのこぼれ球から追いつかれ、不用意なボールロストからのカウンターで失点して1-2。それでも、「前向きな選手が多い」(蒲原監督)という高校選抜候補は、CB奈良坂巧(桐光学園高2年)らが声を張り上げる中で高い士気を持ち続ける。そして、佐藤陽の攻め上がりから決定機も作ると、残り10分を切ってから2点を奪い返す。
 
 22分、佐藤陽の右FKをファーサイドからゴール前に飛び込んだMF濱屋悠哉(神村学園高3年)が対角のヘディングシュートを決めて2-2とする。また、がむしゃらにボールを追い続けたことが功を奏した部分もあったか、流経大が失速。アグレッシブにゴールを目指した高校選抜は終了1分前の29分、前線からのプレッシングで濱屋が相手DFからボールを奪い取る。そして、相手DF,GKを引きつけながら左サイドへ流れた濱屋がクロスを上げると、ファーサイドでフリーのFW田海寧生(丸岡高3年)が「濱屋がめっちゃ良いボールをくれたので、決めるだけでした」と頭で決勝点を叩き込んだ。

 この日の午前は気温2度で冷たい雨。疲労も考慮されて、トレーニングは行われなかった。その中でゲームに集中して良いところを出そうと選手たちが奮闘。選考合宿最終日もそれぞれがメンバー生き残りへの思いをぶつけて、成長して4日間の競争を終える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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