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“ネクスト松木”。20年高校サッカーの注目ルーキー、神村学園MF大迫塁「獲っていきたい」

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高校サッカー界のスーパールーキー候補。神村学園高新1年のU-16日本代表MF大迫塁

 第98回全国高校サッカー選手権では青森山田高の1年生レフティー、MF松木玖生が準決勝の決勝ゴールを含む4得点。得点センスの高さや1年生らしからぬ堂々とした立ち振舞いなどが注目された。

 松木とともに日本高校選抜候補に選出されたGK藤井陽登(矢板中央高)ら1年生が活躍した選手権。20年の高校サッカーもルーキーの活躍に注目だ。特に多くの視線を集めそうな新1年生が、鹿児島にいる。神村学園中から神村学園高へ進学するMF大迫塁だ。松木と同じレフティーのMF。昨年のAFC U-16選手権予選にU-15日本代表の中心選手として出場・活躍し、今年2月のU-16日本代表トルコ遠征にも参加している逸材だ。

「(松木)玖生くんは同じポジションで、同じ左利きなので、(中学時代の対戦をきっかけに)お話も何回かさせてもらっているんですけれども、凄い色々なことを教えてもらっています」と語る大迫は、地元・鹿児島で開催された「JENESYS青少年サッカー交流大会」にU-17日本代表の一員として参加した松木のプレーを確認。自身はトルコ遠征で肋骨にヒビが入る負傷をしたために欠場(鹿児島県選抜U-18としてメンバー入り)したが、決勝(U-17日本代表対U-19東ティモール代表)もピッチサイドから松木や同級生のFW福田師王(神村学園中→神村学園高)ら代表選手たちのプレーを見つめ、刺激を受けていた。

 大迫は2月28日の診察で練習復帰のゴーサイン。29日には鹿児島県選抜U-18のウォーミングアップやハーフタイムで他の選手とともにボールを蹴っていた。神村学園高では負傷前からAチームのトレーニングに合流。シャドーのポジションで早くも凄みのあるプレーを見せているという。

 大迫は昨年の国体少年男子の部2回戦で優勝候補の一角、千葉県選抜相手にスルーパス3本で3アシストを記録。1学年、2学年上の選手たち相手に圧巻のパフォーマンスをしてのけ、関係者たちを驚かせた。本人も「(自信があるのは)左足のキックのところでアシストのところや、パスのところです」と語る左足から繰り出すパス、ゲームメーク力は折り紙つき。実際に強みとする部分は高校のトレーニングに入っても通用していると感じている。

 加えて、大迫は高校のルーキーイヤーでゴールにもこだわっていく意気込みだ。神村学園高の有村圭一郎監督は「今年は点を獲れるようにさせてあげたい。(現在よりも)怖い選手に。ゴール前に出ていく回数を増やしたい」と求めていた。

 本人も「中等部の監督からも高校になったら点獲れる選手に、ということでシャドーに置いてもらっている。結果を残せるような選手になりたい。点を獲ったら目に見える結果なので(周囲を)評価しやすいと思う。獲っていきたいです」。もちろん、先輩とのポジション争いを勝ち抜く必要があるが、シャドーの位置で並ぶ可能性のある福田との1年生コンビで「(プリンスリーグ九州は)前半で5点、10点くらい。師王と2人で15点くらい獲れたらと思っています」と高いノルマを設定していた。

 Jアカデミーではなく、神村学園高へ進学したのは多くの選択肢から自身の将来を決めたいという考えがあったから。高校3年間で個人として目指す姿にについて、「2年生までにプロ内定して、特別指定してもらって、2年生から(Jリーグの)試合に出られるようにしたい」と口にした。

 その姿になるためにはまだまだ進化することが必要。「まだ視野が狭い時があったり、自分で行っちゃいすぎるところがあるので、もっと視野を広くできたら近づくと思います。(それだけではなく)アシストとかできるのは分かっているので、結果を残すとか、チームのために走ったりとか、献身性とか持って戦える選手が上まで残っていくと思っています」と力を込めた。

 中学3年時での1年間で成長した部分について、「人間的なところ」とコメント。「キャプテンをしていたんで、全員一緒のクラスだったのをまとめるためにはどうすれば良いかとか、2年の頃は我慢できなくて審判にめっちゃ文句言ったり、相手に無駄に言ったりとか、今はもう自分がコントロールできるようになりました」と微笑む。

 注目される選手だからこそ、ピッチ内外での立ち振舞も見られることになる。「それは父(隆二さん)からもいつも言われている」。松木とはまた異なるタイプのレフティーだが、ピッチ内外で代表選手、注目選手としての振る舞いを忘れず、得点を量産してチームの勝利に貢献していく。

 今年、U-16日本代表としての目標はU-17ワールドカップのアジア最終予選突破。そして神村学園では「選手権とインターハイは優勝目指せるチームだと思う。プリンスもプレミアの参入戦を狙えるチームだと思っている。狙って行きたいです」という目標に本気でチャレンジする。地元・鹿児島開催の国体での日本一も目標。そして、松木のように、全国大会でインパクトのある活躍をしてのけ、先輩たちとともに神村学園にとって初の全国制覇を成し遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

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