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U-17日本代表で「覚醒したな」。短期間で吸収、成長続ける尚志CBチェイス・アンリが次の挑戦へ

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アメリカ系の注目CB、尚志高DFチェイス・アンリは努力を続けてより上を目指す

 注目の大器が“覚醒”して来ている。福島の強豪、尚志高のCBチェイス・アンリ(1年)は2月下旬、U-17日本代表に初選出されて「JENESYS青少年サッカー交流大会」に出場。素材感大のDFだが、大会前半は周囲とのレベル差を感じ、悔しさを募らせていた。それでも、尚志の仲村浩二監督が謙虚に取り組む姿勢を評価するDFは、短い期間で急成長。「(短期間で)上手くなって、自分もビックリしている。自信を凄く掴めました」という進化を遂げて、尚志に復帰している。

 自分にはまだまだ大きな伸びしろがある。それをU-17日本代表で実感することができた。合宿当初はチームメートたちやアジアの年代別代表選手の判断力の速さに戸惑ったという。1対1では止めることができても、相手の判断速い動きに遅れを取ってしまっていた。

 また、攻撃面でも苦戦していたが、「(大会の)3日間やられっぱなしで、最後全部吸収してできるようになりました。ポゼッションとかビルドアップが下手だったので、あそこで上手くなったと思います」とアンリ。特に「JENESYS青少年サッカー交流大会」最終日に行われたU-19東ティモール代表との決勝のパフォーマンスは手応えがあったようだ。

 CKから得意のヘディングシュートを決めたほか、好フィードやリーチの長さを活かした守備など存在感あるプレーで優勝に貢献。相手の俊足FWに一度背後を取られたシーンがあったものの、「足元の部分とか縦パスの精度とかあと、ヘディングも合わせられたので良かった。ちょっと嬉しいです。(ゴールは)キッカーも良かったけれど、自分もジャンプすれば(外国人相手でも)行けるなと。スタッフにも『覚醒したな』と言われました」と静かに笑った。

 初の代表活動を経て意識が変わった。新型コロナウィルスの影響下、尚志サッカー部は生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。寮生で自主練に参加中のアンリは、これまで簡単にクリアしていたボールを今後はパスに変える考え。また、自主練習1時間前からストレッチを行ったり、食事面も改善したりするなど、代表活動を経てより成長するために何をしなければいけないのか考え、実行に移している。

 新たな目標へ向かって、全力で取り組んでいく姿勢は評価されている部分。「昔から 周りが上手いと自分も上手くなりたい、努力しないといけないとやってきました。努力すれば、もっと上に行けると思っています」と力を込めた。もちろん、背後の対応や技術面でもまだまだ課題はある。それを意識高く改善して、「もっと上に行く」。

 04年3月24日生まれのアンリは現在15歳。だが、すでにJクラブから練習参加の打診があり、シーズン開幕前にもJリーガー相手にプレーする機会を得る模様だ。U-17代表での活動同様、最初の練習で悔しい思いをするかもしれない。それでも、「次の練習でどんどん吸収して慣れます」と力を込めた。

「自分がプロになるのは当たり前に見えてきて、プロになったら活躍して海外に行きたいですね」とアンリ。この1年で日本一、高校2年生でのプロ入りという2つの大きな目標にチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)

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