beacon

ピッチ内外で高川学園を牽引中。MF新山大地が求める「あと一歩」と“パレホのような”パス

このエントリーをはてなブックマークに追加

山口の名門・高川学園高の新主将、MF新山大地(新3年)

 江本孝監督が「ゲームを作るバランスに長けている」と評するMFは、昨夏に左SBからボランチへコンバートされてからわずかな期間で名門・高川学園高(山口)の柱へ成長。選手権全国大会でも2試合にフル出場した。そのMF新山大地(新3年)は今年、主将としての自覚を持って、ピッチ内外でチームを引っ張っている。

 インターハイと選手権でいずれも2度の4強入りをした実績を持つ高川学園は17年8月、筑波大のパフォーマンス局を参考にして選手を主体とした部署制を導入。各選手は分析部、広報部、生活部、おもてなし部などに属し、サッカー部員として個人の技術や判断力を向上させるだけでなく、ピッチ以外の部分でもやりがいを見つけ、自律心の向上を図っている。

 この活動を通して、各部長を中心に目配り・気配り・心配りする力を身に着けているが、総務部として他のリーダーたちとともに全体を統括する立場にいるのも新山。指揮官は彼について、「もっと非情になっても良いかもしれない」と語る一方で「非常にチーム、人に対して気を配れる」と人間性の部分も高く評価している。

 取材日はピッチで一際多くの声を出し、ゲーム形式のトレーニングではスプリントを繰り返して相手ゴールに迫った。新山が大事にしているのは、「あと一歩」だ。選手権2回戦で仙台育英高(宮城)に0-1、紙一重の差で敗れたことによってその重要性を再確認し、その一歩を意識しながらトレーニングしている。

「その一歩のところが大事。その一歩で当てとけば、入らなかったんじゃないかなとか、決めれたんじゃないかなと。自分としても、去年の夏負けてボランチに変わってそこから成長したと思うんですけれども、全国で戦ってみると、上には上がいるし、いつも意識しているセカンドボールのところでも全然優れなかったと思います。自分が引っ張らないといけないし、誰よりも頑張っている姿勢は出さないといけないし、仲間がプレーしやすい、やりやすい感じで試合も進めていけないといけない」

 前主将のMF内田裕也(→福岡大)は攻守でチームを牽引し、選手権1回戦で決勝点。「キャプテンがチームのために頑張ってくれたからあそこまで行けたんじゃないかと思います」と分析する新山は、CB田中誠太郎(新3年)やGK古屋潤一(新3年)、MF末永章太郎(新3年)、FW福地優雅(新3年)といった全国経験者や、FW中山桂吾(新2年)、MF林晴己(新2年)、MF村上一颯(新2年)ら期待の新2年生たちを擁す高川学園を背中で引っ張っていく覚悟だ。

 憧れはバレンシア(スペイン)で異質のパスセンスを見せている10番、MFダニ・パレホだ。「あの選手のように、ここにパス出すんかみたいな、相手の隙を突く選手になりたい」。新人戦は怪我人の穴を埋めることができずにまさかの3回戦敗退。インターハイ、選手権で同じ轍を踏む訳にはいかない。「今年は全国ベスト8以上が目標」。昨年足りなかった「あと一歩」や“パレホのようなパス”を求めるリーダーが自身もより成長させて、名門を全国ベスト8以上、プリンスリーグ中国昇格へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

TOP