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予測、反応発揮した全国で課題も実感。昌平の小さなMF柴圭汰はもう1ランク上のボランチへ

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昌平高の小さな好選手、日本高校選抜候補MF柴圭汰(右)

[2020シーズンへ向けて](※昌平高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 昨シーズン後半以降、そして日本高校選抜候補合宿でも存在感のある動きを続けていた。昌平高(埼玉)の162cmボランチMF柴圭汰(3年)は自信を持っているセカンドボールの予測と反応、回収力を選手権全国大会や1学年上の世代のタレントたちの中でも発揮。幾度も相手の攻撃の芽を摘み、攻撃面でもプレッシャーを受ける中でキープしたり、ボールを運んだり、パスを通して自分の役割を高いレベルで実行していた。

 本人はこの1年での変化を実感している。「この1年で自分は大きく変われたと思います。もちろん技術の面もそうですが、1番大きく変われたのはメンタルの部分だと思います。2年生に進級した当初は自分のプレーに自信がなく、迷いながら常に受動的にサッカーをしていましたが、試合を通して経験を重ねていくうちに能動的に物事を考えるようになりプレーにも迷いが少なくなりました」。1年時のニューバランスチャンピオンシップU-16で大会MVPを獲得するなど実力は周囲も認めるところ。強豪でボランチのポジションを掴んだ中体連出身の2年生は、迷わずに自分のプレーを表現している。

 一方、全国で突きつけられた課題もある。「まだまだ、足りないと思うものはフィジカルで、これは選手権の青森山田戦で感じた大きな差だと思います。なので、これからは技術面もそうですが、フィジカル面でもさらに一皮剥けられるようにしていきたいです」。球際の攻防で倒れない強さや一瞬の加速力。青森山田高(青森)や流通経済大柏高(千葉)にはプレミアリーグを戦う中で培ったものがある。全国でその差を実感したボランチは、後回しにすることなく課題改善にチャレンジするつもりだ。

 柴が目標とする選手は、U-23日本代表のMF齊藤未月(湘南)とフランス代表MFエンゴロ・カンテ(チェルシー)だ。いずれも柴と同じ身長160cm台と小柄なボランチ。柴は「運動量と予測、フィジカルでも大きな選手に負けない強さ、前への推進力など参考にするプレーが沢山ある」という。両選手を見習い、自分もより高いレベルのステージで戦える選手を目指していく。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響によって、チームトレーニングは2月から中止。普段対戦できないチームと対戦する春のフェスティバルや、4月開幕のプリンスリーグ関東で成長する機会を得られなかったことを残念がる。だが、その中でできる取り組みをスタート。「(休校中)自宅では、ライフキネティックというものに挑戦しています。これは脳と体の連動性で視覚を主に使うトレーニングです。普段時間がなくてチャレンジ出来なかったことに取り組んでいます」。できることを積み重ねてシーズン開幕を迎える。

 個人の目標は、落選して悔しい思いもしている日本高校選抜入り、またより成長してプロになることだ。そして、「チームとしては、インターハイ、選手権で全国優勝する。プリンスではプレミアリーグに上がることが目標です」。この1年でメンタル面、技術面で大きく成長を遂げたMFは、これからの1年でチームの歴史を変えるためにさらなる進化を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2020

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