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地元の後輩、小中学生に勇気を。そして皆で戦う。市立船橋が部員作成の動画「市船の誇り」を公開中

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画像は「市船の誇り」のスクリーンショット

 全国高校サッカー選手権優勝5回、インターハイ優勝9回の名門、市立船橋高(千葉)のサッカー部員たちが、出身クラブの後輩や地元・船橋市の小中学生へ向けて動画「市船の誇り」(facebook「市船サッカー部」)を発信している。動画は実際に市立船橋で行われているストレッチメニューやテクニカルなリフティングを選手たちが実演しているほか、丁寧に手洗いすることや“密”を避けてボールを蹴ることなど、新型コロナウイルス感染拡大防止への啓蒙も織り交ぜた内容。そして、選手たちがコロナ禍によって思い切りサッカーをすることのできない小中学生へエールを送っている。

 新型コロナウイルスの影響によって、市立船橋は長期の休校が続いている状況だ。その間、選手たちは与えられた自主トレーニングメニューなどを実施していたが、インターハイが中止になるなど目標も見えない中で効率が上がらない部分もあったという。波多秀吾監督は選手たちへ向けて「ふさぎ込んでいる場合ではない。『市船は何かを与えないといけない』」とメッセージ。行動についての特別な指示が出された訳ではなかったが、選手は自分たちで話し合い、自宅学習や自主トレーニングの合間を縫って動画を作成した。

 DF石田侑資主将(3年)は「今、こういう状況で自分たち市船サッカー部に何か出来ることはないかと考えていた時に、SNSの力を使って少しでも誰かのプラスの力になれればと思い、このような動画を作成しました。市船サッカー部として船橋市を始め、他の地域の小中学生たちに少しでも元気を与えたいと思いました」と意図について説明する。動画は2、3年生が積極的に参加して「チーム」で作成。また動画内ではコメントや実演した選手の名前と中学時の所属チームを掲載し、千葉県内中心に各地から「市船」に挑戦してきている彼らの後輩や近隣のチームが、刺激を受けてくれれば良いという思いも込めている。

 8分を越える動画は、文字入れなどの編集も自分たちで行ったもので、さすがに大変だったようだ。石田は「編集はチームメイトがやってくれて、色々話しながらやりました。(映像を)どう繋げるかや、テロップも入れたりして自分たちなりに色々工夫しながらやりました」。この活動によって、自分たちの自主トレーニング、休校期間の活動を見つめ直すきっかけに。動画の最後に入れられている「私たちが私たちの未来を変える“今日”は始まっています。一人一人の力が合わさって終息への追い風となります。皆で一緒に戦っていきましょう」というメッセージを自分たちにも向けて、仲間たちと戦っていく。

 動画を見た市立船橋の同級生からの反響があり、「頑張れ」という声もあったという。他の部活動の3年生はインターハイや夏の甲子園、またコンクールがなくなったことで夢を失い、悔しい思いをしている。一方で自分たちは、まだ選手権やリーグ戦を戦うチャンス、目標があるなど恵まれた立場。だからこそ、石田は「(残りの半年間)他の部活動の選手たちの思いも背負ってやっていきます」と宣言した。

 現役のサッカー部員は先輩たちの活躍によって、勇気を得たり、夢を見て入部してきた選手たちばかりだ。次は自分たちがコロナ禍で苦しんだ千葉県や船橋市、そして小中学生を始めとした多くの人々に勇気や刺激を与える番。石田は「まずはサッカー選手、人として目標としてもらえる、応援される選手、そしてチームでありたいと思っています。そして、市船の試合を楽しみにしてもらえるようチーム一丸となって頑張ります」。学校は6月1日から再開予定。それでも、公式戦の再開はまだまだ先であり、我慢の時期は続くだろう。だが、絶対に諦めない。次はプレーで市船ができることを示す。




(※市立船橋高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

(取材・文 吉田太郎)

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