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総体代替の岩手県U-18大会、伝統校・盛岡商が創部7年目の盛岡誠桜下して「今後に繋がる」優勝!

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選手権日本一の歴史も持つ伝統校・盛岡商高が頂点に

[7.5 岩手県U-18大会決勝 盛岡商高 3-0 盛岡誠桜高 いわぎんスタジアムA]

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった「令和2年度全国高校総体(インターハイ)「魅せろ躍動 北関東総体2020」。この大会の予選を兼ねていた都道府県高校総体の代替大会が一部地域で行われているが、岩手県では6月27日から7月5日に「2020岩手県U-18サッカー大会」が開催された。「2020岩手県U-18サッカー大会」には岩手県の高体連チームに、いわてグルージャ盛岡ユースを加えた40チームが参加。異例の参加となった盛岡ユースはベスト8と躍進した。

 7月5日の午前10時30分からいわぎんスタジアムA・B各グラウンドで準決勝2試合が行われ、盛岡誠桜高専修大北上高戦は盛岡誠桜が3-1で快勝。2013年に盛岡女子高から男女共学化と共に校名を改めた盛岡誠桜が、昨季のインターハイと選手権全国大会でも勝利を挙げた専修大北上を破り、創部7年目(サッカー部の創部は2014年)にして初の県大会決勝へと勝ち上がった。もう1試合の盛岡商高盛岡中央高戦は1-1でPK戦までもつれたが、4-2で盛岡商が決勝進出を果たした。

 そして、5日午後1時30分からいわぎんスタジアムAグラウンドにて行われた決勝は、立ち上がりから盛岡商が自慢の攻撃力を見せた。前半2分、右サイドからゴール前へとドリブルで駆け上がったキャプテンFW村上絢太(3年)が「入りから圧倒できるようにと思った」とまず豪快にシュート。GKに弾かれたが、こぼれ球をこの日2トップの一角に入ったMF戸來匠(2年)が押し込み、あっという間に先制した。

 その後も盛岡商が主導権を握る展開だったが、盛岡誠桜も17分、FW島田珠羽(2年)のクロスからFW坂本魁良(3年)がシュート。惜しくもシュートは右にそれ、「ああいうチャンスを決めていれば」と盛岡誠桜・秋濱克弥監督も悔やんだが、決定的な場面をつくった。

 前半は1-0と盛岡商リードで終了。迎えた後半、その盛岡商がセットプレーで効果的に得点を挙げる。10分、MF欠畑魁星(3年)のコーナーキックをDF中村涼(3年)がヘディングシュート。これがクロスバーに当たり、こぼれ球を村上がヘディングで押し込み追加点を奪う。さらに18分にも欠畑のコーナーキックのこぼれ球を盛岡商・中村がゴールに押し込み3点目。その後は両チームが多くの選手を交代させる中、盛岡誠桜は最後までカウンター攻撃などでゴールを目指すも得点ならず、試合終了。3-0で盛岡商が完勝し、優勝を決めた。

 盛岡商・中田洋介監督は「昨年は県内で一つもタイトルを獲れなかったので、やるからには優勝、県内では一つも負けないという気持ちで臨みました。優勝できたのは今後に繋がると思います」と県内タイトルを一つ勝ち取ったことで、今後への手応えを得ていた。2ゴールに絡んだ村上も「この大会は全国に繋がりませんが、良い経験をプリンスリーグや選手権に必ずつなげていきたい」と意欲を見せていた。

 一方、今大会準優勝と健闘した盛岡誠桜・秋濱監督は「優勝を取りに行きましたが、力を出し切れませんでした。しかし、創部7年目で、新人大会は準決勝で専修大北上に敗れ、今回は(専修大北上に勝って)ファイナリストになったので、階段を登ってきているとは思います」と悔しさの中にも、充実感を見せていた。ゲームキャプテンのDF佐々木颯太(3年)も「準決勝で専修大北上に勝てたのは大きいです。新人大会で負けていたのでリベンジできました。自分たちの目標である『点を取られても下を向かず、笛が鳴るまでやりきるサッカー』はできました」と手応えを語る。

 指導者、選手、皆が口にしたのは、この大会が行われたことへの感謝の気持ちだ。盛岡商・村上は「まだ関東には練習することができていないチームもあります。そうしたチームの人達の分も頑張り、勇気づけようと思って試合をしていました」と語る。新型コロナウイルス陽性者0(2020年7月4日時点)の岩手県で、高校生たちが熱く激しい戦いを見せた意義は大きい。一日も早く、日本全国で高校生年代のサッカー大会が無事行われるようになることを願いたい。
   
(取材・文 小林健志)
●【特設】高校総体2020

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