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狙うは全国8強のプラスアルファ。潜在能力十分の徳島市立が城東に逆転勝ち

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徳島市立高MF中田舜貴が右足を振り抜く

[7.5 徳島県高校総体代替大会2回戦 徳島市立高 3-1 城東高 徳島市立高G]

 徳島県高校総体代替大会のサッカー競技は5日に2回戦を行った。昨年度のインターハイ、選手権で共に全国ベスト8の徳島市立高は城東高と対戦し、3-1で快勝した。

 終わってみれば徳島市立の快勝となったが、試合後の選手には笑顔が見られない。中止となったインターハイの代替大会で全国行きがかかっていないとはいえ、コロナ禍による活動休止からの再開後初の公式戦とあり、「普段とは違う緊張感のあるゲームの難しさが出た」(徳島市立・河野博幸監督)。

 序盤から、「普通に戦えばやられるので、0-0で長い時間過ごそうと思っていた。ボランチの所は持たせても良いけど、トップにボールが入ったら強く行こうと考えていた」(MF岩佐和磨、3年)と番狂わせを狙い、自陣に人数を割いた城東の守備に苦しんだ。

 徳島市立はMF前川泰聖(3年)と前田俊(3年)の両翼による突破や、ボランチの中田舜貴(3年)がゴール前への侵入を試みたが、関与する選手が少なく、「ゴールを目指さず、ただ繋いでいるだけになっていた」(河野監督)。すると、前半11分にはハーフウェーライン付近でFKを献上。岩佐がゴール前に入れたロングボールが、徳島市立のミスを誘い、城東の先制点となった。

 まさかの展開を強いられた徳島市立だが、23分に左サイドから入れた低いクロスがオウンゴールを誘い、同点に追いつく。ただし、後半も「1対1で最後まで行ければ良い。攻めたらやられるので守備を頑張ろうと思っていた」(岩佐)とPK戦狙いの城東の守備を崩しきれない時間帯が続いた。

 それでも、徳島市立はポジションチェンジや選手交代で攻撃の活性化を狙うと、後半20分には前田の左CKをDF渡邉浩章(3年)が打点の高いヘディングで合わせて逆転に成功。試合終了間際の31分にも途中出場のMF井口智貴(2年)がカットインからのシュートを決めて、逆転勝ちを掴んだ。

「失点場面のようなミスをしていたら、選手権予選で勝てない。自分も含めてまだまだ甘い」(中田)と危機感を募らせた徳島市立とは対照的に、今大会を最後に受験のため引退する選手が多い城東は「選手権ベスト8のチームと対戦できる機会はなかなかない。たまたま当たれて嬉しかった」(岩佐)と満足した表情を浮かべる選手が多かったのが印象的だった。

 昨年の徳島市立は自陣での粘り強い守備を徹底し、インターハイでは3試合連続PK戦での白星を掴んだ。選手権でも我慢強い戦いが目を惹いたが、今年のチームが目指すスタイルは違う。「去年と一緒では同じ成績は残せない。毎年プラスアルファが無ければいけない。昨年のようなゴール前で粘ってカウンターではなく、今年は中盤で粘って相手エリアまでボールを運びたい」(河野監督)と、より高い位置でのプレーを心掛けている。

 戦力で見ても、渡邉や俊足で大型レフティーのDF三倉頼真(3年)、フィジカルが強いFW石井嵩也(3年)などポテンシャルの高い選手は多い。スタメン出場を果たしたFW林秀太(1年)や、後半から出場した185cmのGK藤澤芭琉(1年)ら楽しみなルーキーも多いのも心強い。「可能性はある子たちが多いので、もっと欲を出して欲しい」(河野監督)との期待に応えるため、活動が本格化する今後は更にプラスアルファを積み重ね、より貪欲に昨年以上の成績を狙いに行く。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2020

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