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“入った”という一撃も「止めていかなければいけない」。GK松原颯汰が攻守で違い示し、流経大柏に白星もたらす

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流通経済大柏高の日本高校選抜GK松原颯汰は抜群の存在感

[7.19 練習試合 流通経済大柏高 4-0 明秀日立高 流通経済大柏高G]

スコア差こそ開いたものの、流通経済大柏高は“松原で勝ったような”試合だった。明秀日立高は2本目開始直後にDFの背後を取られて迎えたピンチをはじめ、1本目12分のゴール至近距離からのシュート、コースを捉えたFK、ショートカウンターからの決定機など3点、4点奪っていてもおかしくない攻撃。だが、それらは流経大柏の日本高校選抜GK松原颯汰(3年)にシャットアウトされてしまった。

 流経大柏のコーチ陣もさすがに失点を覚悟したというが、松原は堂々の無失点。本人はシュートが全て想定内だったことを説明し、「もっと上のレベルでやろうと思ったら、周りが『入った』と思うようなシュートも止めていかなければいけないので。そういう部分は今年こだわってやっていきたいと思っています」と力を込めた。

 勝負強さは選手権で全国決勝を経験した1年生の頃から評価されていた部分。当時に比べてミスも全体的に減少している。加えて、新たな武器と言えるものになってきているのがビルドアップだ。

 この日は相手の鋭い寄せの前にチームが後退し、パスコースを切られ、松原がドリブルで1人をかわさざるを得ないシーンもあった。だが、全体的に攻撃面での貢献度は高かった印象だ。ストレスなくビルドアップにかかわり、中盤の選手が空いていれば、そこへ難なく浮き球のパスをつけてしまう。チームが行き詰まりかけた際に、それを解消するようなキックを何本も見せていた。

 本人は長短のパスの質・判断力をもっともっと上げて行く考え。近年ではGK廣末陸(現町田)が相手をひっくり返すようなロングキックやビルドアップ力で異彩を放ったが、「廣末陸選手のようになりたいですけれども、それ以上も目指していきたいと思っています」という松原は長短のキック精度、狙い所の部分も含めて攻撃面でもチームを勝たせるGKを目指す。

 榎本雅大監督は、今春にJクラブへ練習参加した松原が人間的にも変化したことを認める。松原は千葉で自分を気遣ってくれたGK新井章太のように、「どうやったら長く続けて行けるんやろうと考えた」という。今の自分との違いは、人間性の部分や取り組む姿勢だという答えに。その後、味方の緩いプレーを許さず、ピッチ外では食事を摂る量や睡眠時間も改善するなど、先を見据えて自分自身に変化を求めている。以前はどこかフワッとした印象があったことは確か。だが、この日対戦した明秀日立高の2年生GK谷口璃成も大いに刺激を受けていたように、意識の変わった松原から流経大柏GK陣や他のGKが学ぶ点は多いはずだ。

 身長は181cmまで伸びたが、同年代の代表GK鈴木彩艶(浦和ユース)、GK野澤大志ブランドン(FC東京)と比べると約10cm小柄だ。それだけに、「ステップや一個一個のキャッチの質、一個一個のキックの質を他の選手に負けないように頑張って、一緒のレベルにして、じきに超えて行けるようにしていきたいですね」。昨年、自身のミスや失点でチームに迷惑をかけたと感じている松原は、まずチームを助けるプレー、選手権での勝利を誓う。どの試合でも結果を出し続け、プロからの評価を勝ち取ること。そして、先を行くライバルに追いつき、追い越す。

(取材・文 吉田太郎)
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