beacon

アクション続けて青森山田の攻撃を牽引。MF安斎颯馬は昨年の怪我乗り越えて躍動のシーズンに

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF安斎颯馬は運動量と技術を駆使して青森山田高の攻撃を牽引

[7.26 青森県高校夏季競技大会決勝 青森山田高 4-0 八戸学院野辺地西高 青森山田高G]

 この日、青森山田高の攻撃を牽引していたのは、最後の一年に懸ける背番号7だった。MF安斎颯馬(3年)は2シャドーの一角として先発フル出場。1-0の後半15分、相手CBの背後を突く動きでMF松木玖生(2年)のスルーパスを引き出すと、DFと競りながら強引に前に出てPKを獲得する。2点目のゴールを演出した安斎はさらに後半30分、左SBタビナス・ポール(3年)のクロスを合わせてダメ押しのゴールを奪った。

 2シャドーでコンビを組む松木との距離感を意識しながら攻撃を組み立て、アイディアのあるパス、プレースキックなどでチャンスを演出。同時に、スペースへの抜け出し、ゴール前へ飛び込む動きを繰り返していた。

「自分は普段から正木(昌宣)コーチにも(ゴール前へ)侵入して行くことを言われていますし、自分のアクションを攻撃に加えたいなと常に思っています」という安斎の運動量は、チームにとってプラスアルファに。前後半に決定的なシュートを外してしまい、本人は「もっと決めるべきところで決めないといけない」と反省していたが、それでも献身的な守備含めて存在感のある70分間だった。

 安斎は昨年6月のプレミアリーグEAST試合中に右腕を骨折。調子を上げていた8月には左第五中足骨を骨折してしまう。昨年のチームにとっても貴重な戦力だった安斎は選手権で4試合に途中出場したものの、思うような一年を過ごせた訳ではない。

 その悔しさも持ってスタートした今年。新型コロナウイルス感染拡大によって、公式戦が中止となり、また悔しい思いをしてきた。だが、「最高学年になったので、自分が引っ張っていくという思いでやっています」という安斎は、準備を重ねてこの県決勝ではタレント揃う青森山田の中でも目立つ動き。松木、安斎の2シャドーを「新たな武器」とする黒田剛監督の期待にも応えるようなプレーだった。

 勝負の一年はそのプレースタイルにも変化が見える。もちろん、ゴールに近いポジションにいることもあるが、「去年は守備とかで貢献する場面が多かったんですけれども、今年はより攻撃で結果を。攻撃、守備でも一番自分が走ってやらないといけない」という決意。それが守備だけでなく、攻撃面での活躍にも繋がっている。

 目標とする選手は“魔法使い”ことMFサンティ・カソルラ(ビジャレアル→アルサッド)だ。「(身長160cm台で)小さいんですけれども、本当大怪我して復帰した選手。自分も怪我がありました。カソルラ選手のように怪我を乗り越えて、小柄な選手ですけれども何でもできる選手になりたい」と宣言。今年の青森山田は浦和内定CB藤原優大主将(3年)とU-17日本代表の松木に注目が集まるが、実力派のMF安斎は怪我を乗り越えて彼らに負けない活躍を目指す。

 FC東京U-15深川出身。新型コロナウイルス感染拡大の影響で地元の友人たちは、2か月、3か月間もサッカーができなかったという話を聞いた。総体の代替大会が行われていない地域もある中、公式戦でプレーできたことに感謝。今後も感謝の気持ちを持って、日々成長していくだけだ。そして、チームの勝利を第一に、自分も結果にこだわり続けて上のステージへの道を切り開く。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP