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[和倉ユース]謙虚さ持って成長続ける青森山田が2連勝。履正社振り切り、決勝Tへ

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青森山田高は2連勝で予選リーグ突破。昨年からレギュラーの右SB内田陽介は「改善していきたい」と引き締めていた

[8.2 和倉ユース大会予選リーグ 青森山田高 2-1 履正社高 和倉多目的G(Aコート)]

 青森山田高(青森)が第8回和倉ユースサッカー大会2020予選リーグ突破を決めた。履正社高(大阪)とのグループA第2節は2-1で勝利。2連勝としてグループAの2位以内と、決勝トーナメント進出を決めている。

 昨年度のプレミアリーグチャンピオンで選手権準優勝校でもある青森山田と、プリンスリーグ関西(20年はスーパープリンスリーグ関西所属)の強豪・履正社との実力派対決。青森山田のCB藤原優大主将(3年、浦和内定)と履正社MF平岡大陽(3年、湘南内定)というJ1クラブ内定選手同士の戦いにも注目が集まった好カードは、青森山田が制した。

 青森山田は序盤に履正社を飲み込んだ。前半5分、左サイドで相手DF前に潜り込んだU-17日本代表MF松木玖生(2年)がFKを獲得。これをMF安斎颯馬(3年)が右足で中央へ入れると、186cmの左SBタビナス・ポール(3年)が圧倒的な高さからヘディングシュートを叩き込み、先制点を奪う。

 さらに6分、青森山田はFW名須川真光(2年)が空中戦で競り勝って前方へボールを落とす。これに走り込んだ安斎が左足ダイレクトでシュート。ドライブ回転のかかった一撃がGKの頭上を超えてゴールへ突き刺さった。

 個々が技術力の高さも見せる青森山田は前半、DFラインやMF宇野禅斗(2年)、松木を中心にボール支配の部分でも優位に。加えて名須川、安斎が前線から強烈なプレッシャーをかけるなど、相手に流れを渡さない。

 履正社は警戒していたセットプレーも含めて痛い連続失点。その中で平岡がボールを奪い取る部分や攻撃の起点となる部分で良さを見せていたが、チーム全体も徐々に落ち着きを取り戻していく。15分にはFW李晃輝(3年)の右クロスからCB舩田陸人(3年)がヘディングシュート。これは青森山田GK韮澤廉(3年)に横っ飛びで阻まれたが、サイド攻撃の回数を増やし、李晃輝が右足シュートを狙うシーンもあった。

 履正社は藤原とMF赤井瞭太主将(3年)を中心にボールを動かし、攻める時間帯を増やすものの、青森山田は藤原とCB三輪椋平(2年)を中心に堅い守りを見せ続ける。青森山田は右SB内田陽介(3年)、タビナスの攻撃参加が一つのストロングポイントだが、この日は守備に重きを置いた戦いに。昨年からレギュラーの内田は「自分としては攻守両方貢献したいと思っていて、自分の武器も運動量なので、オーバーラップやクロスを積極的にこの和倉の試合でもやっていきたい。(7月の青森県総体代替大会では攻撃に重きを置いていたが)和倉に来てから相手の攻撃力も上がって守備の時間帯もある中で、まず知恵を絞ってサイドで良い守備ができたら良いのかなと思っています」。その内田、タビナスを含めた4バックが要所を締めて決定打を打たせない。

 履正社は後半13分、敵陣での奪い返しから平岡が左サイドへ展開。そして、ドリブルで仕掛けたMF井谷洸一郎(3年)がPKを獲得する。これを井谷が右足で左に決めて1点差とする。

 だが、同点に追いつくことはできなかった。履正社の平岡は青森山田の松木の一球や勝利に懸ける執念の強さや迫力などに刺激を受けていたが、青森山田の各選手の集中力の高さや貪欲に勝利を求める姿勢はさすが。履正社は1点差のまま食い下がり、28分、右FKに李晃輝が飛び込んだ。だが、GK韮崎が身体を投げ出してセーブし、2-1で青森山田が勝った。

 青森山田は6月の練習試合で強豪・尚志高を6-0で破り、青森県の総体代替大会(7月)は4試合を67得点無失点で優勝。周囲からは「昨年以上に強い」という評価を受けているが、選手たちに油断は全く見られない。内田は「『慢心すると成長はない』と言われているので、謙虚にやっていきたい。まだチームとしてできていない部分が見えるので改善していきたい」と引き締め、チームとして失点をゼロにすること、また個人としてより突破やアシスト数を増やすことを誓っていた。決勝までの残り3日間でも成長を続け、優勝して和倉ユース大会を終える。

青森山田高の大型左SBタビナス・ポールは先制ゴールを決めた


(取材・文 吉田太郎)
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