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“激戦区・神奈川”会場の大学トライアル、高校3年生36名がライバルチームの選手と“今できること”に挑戦

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3本目終了間際、FW大河内透哉(三浦学苑高)が左足でゴール

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でアピールの機会を失った高校生たちの進路をサポートするために発足、開催中のプロジェクト「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」は9日、横浜市のかもめパークで神奈川県会場1日目の合同トライアルを行った。

 激戦区・神奈川。昨年のインターハイ日本一・桐光学園高や選手権出場校の日大藤沢高、桐蔭学園高、三浦学苑高、東海大相模高などの有力校が毎年のようにトーナメント戦やリーグ戦で激しい争いを繰り広げているが、今回のトライアルはライバルたちとの個人勝負だ。いかに急造チームをまとめ、その上で自分の強みを発揮していくかが重要となる。

 右SB中島駿乃介(桐蔭学園高)は「こういう機会を頂けて、自分がチャンスを掴み取る可能性があったので、失敗を恐れるというよりはどんどん自分の特長を出そうと思ってプレーしました」と語り、FW櫻井蓮斗(横浜創英高)は「(他校の選手は)K1(神奈川県1部リーグ)、K2(同2部リーグ)とかでも、選手権でも当たる可能性があるところで、ここでインパクトを与えておけば、(自分が)チームとしても武器になれるのかなと思いました」。各選手は、この日来場していたJクラブや大学のスカウトに個の力を認めさせるため、またライバルチームの選手を上回ることを目指してピッチに立った。

 紅白戦開始前から各チーム内での声がけ、盛り上がりのあった茨城会場に比べると、神奈川会場のウォーミングアップは淡々とした印象だった。“受験生”たちのピリピリとした雰囲気。紅白戦(25分×4本)が始まると、球際の強度、個々の技術もハイレベルだったが、互いにチームでの確認が不十分だったためか、全体的に守備面が甘く攻め合いの様相となった。

 1本目開始直後、この日最大級のインパクトを残したFW鈴木琉矢(湘南工科大附高)が左サイドから切れ込み、ラストパスをMF戸澤龍人(東海大相模高)が左足でファーストゴール。攻守でボールにかかわる鈴木琉が自然と目立ち、視野の広さ、テクニックを駆使してゴール前のシーンを作り出す。また、思い切って前に出る189cmCB吉崎太雅(三浦学苑高)や俊足FW秋野ルイ(湘南工科大附高)、空中戦に強いCB鈴木蓮(日大藤沢高)といった選手がアピールしていた。

 2本目はFW櫻井のラストパスからMF内田健太郎(相洋高)がゴール。また、重心の低いドリブルで存在感を放つMF大山蓮(東海大相模高)が、右SB中島のスルーパスからゴールを挙げた。そして、大山のラストパスから櫻井もゴール。櫻井は「攻撃・守備に渡って走ることが自分の武器だと思っています。自分を出そうと思って、走って自分がボールをもらえるように意識した結果、点も取れたので良かったです」と喜んだ。

 2本目以降はCB荒井諒生(三浦学苑高)とCB川口明喜人(平塚学園高)が声を掛け合いながら守備時のスペースを消し、MF榊原爽真(平塚学園高)が正確な技術を発揮。また、中島が切り替えの速さや右足キックの精度を披露し、MF山口奏七(履正社高)が左足でチャンスメークしていた。

 3本目終了間際、吉崎の斜めのフィードを受けたFW大河内透哉(三浦学苑高)が、ターンしながら抑えの効いた左足シュートを打ち込んでゴール。4本目は抜け出し、ドリブル突破からゴールを襲い続けていたFW鈴木心月(三浦学苑高)が、左足のパワーショットで1ゴールをもぎ取った。

 U-17神奈川県選抜歴を持つ鈴木心は「(自分は)みんなから知られている部分があるので、ここで魅せて、周りの人(スカウトや関係者)からも見てもらおうとしていました。最後に1点取れたので良かったです。そこまで無得点で自分的には納得行かなかったけれど、遠くからでもどんどんシュートを打って行こうという気持ちがありました」。選手たちはレベルの高い競争でできたこと、課題となったことも真摯に受け止めて、引き続き個人の挑戦や所属チームでの勝利を目指していく。

 各選手は「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」が開催されたことへの感謝を口にしていた。同じ目標を持つ高校3年生と切磋琢磨し、大学サッカーで活躍するための課題に気付いた選手もいる。鈴木心は「まだ大学も決まっていないので、ここに来れて嬉しいし、もっとやらないといけないことも多いので、これから頑張っていきたいと思っています」と意気込み新たにしていた。

 また、中島は将来について、「自分はサッカーを続けて、大学でも、社会人でもサッカーにかかわって、そういう仕事とかについていければと思っているので、サッカーと一緒に人生を寄り添っていけるように考えています」とコメント。将来を真剣に考え、熱い思いを持ってサッカーと向き合っている高校3年生たちが日本中にいる。

「高校生サッカー・大学合同トライアル-THE CHALLENGE- supported by 森永乳業」の応援団長を務める日本代表DF長友佑都は「自分の力を信じ続けて、夢を諦めず頑張ってください。そして、今回のトライアル含めて今できることに全力でチャレンジしましょう。必ず道は開けます」とメッセージ。この日、神奈川会場にはコロナ禍に屈することなく、自分の将来のためにアピールする選手たちの姿があった。10日も神奈川会場で開催される大学トライアルで、高校3年生が“今できること”に全力でチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
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