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[スーパープリンスリーグ中国]意図した攻守、内容・結果で圧倒するような試合を。”格上”広島ユースが5-0発進

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サンフレッチェ広島ユースの19年U-16日本代表MF棚田遼がシュートを打ち込む

[9.5 スーパープリンスリーグ中国第1節 広島ユース 5-0 玉野光南高 吉田サッカー公園]

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、高円宮杯プレミアリーグと同プリンスリーグが合同で、今年度限定のリーグ戦を展開する『高円宮杯 JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ中国2020』が9月5日に開幕した。中国地区から唯一プレミアリーグWESTに参加しているサンフレッチェ広島ユース(広島)と、プリンスリーグ中国の10チーム、計11チームが12月12日の最終節まで1回戦総当たりのリーグ戦を戦い、順位を決定する。

 2年前のプレミアリーグファイナルで優勝し、高校年代日本一に輝いている広島ユースと、今年度プリンスリーグ中国に昇格した玉野光南高(岡山)が激突した第1節。ソーシャルディスタンスを確保するために両チームのベンチは通常より大きく作られ、観客もいないという新様式で行われた一戦は、異例のシーズンを象徴するような幕開けとなった。

 15時の試合開始20分前から会場が激しい風雨に見舞われたため、いったん試合開始を延期。ほどなく天候は回復し、水はけの良い人工芝グラウンドのため、ピッチへの影響もほとんどない状態で20分遅れのキックオフを迎えた。

 試合は立ち上がりから、広島ユースが多くのチャンスを作り、玉野光南が耐えてカウンターを狙う構図で進んだ。前半5分に広島ユースFW菅野翔斗(3年)がゴール前のこぼれ球をヘッドで押し込もうとするが、玉野光南GK有元将騎(3年)ら守備陣が懸命にかき出す。7分には広島ユースMF棚田遼(2年)が左サイドからカットインして右足で狙ったが、惜しくも右に外れた。

 トップチームと同じ3-4-2-1の布陣で戦う広島ユースは、その後も両サイドへの展開や中央でのコンビネーションを織り交ぜて再三ゴールに迫る。4-4-2の布陣でしっかり守る玉野光南は懸命にはね返し、FW岩佐啓吾(3年)がカウンターからスピードを生かしてゴールに迫る場面を作ったものの、決定機には至らない。

 広島ユースは26分、ゴール前でフリーとなったFW菅野が左からのセンタリングをヘッドで合わせるも、クロスバーの上に外してしまう。なかなか均衡を破れなかったが、それでも攻め続けて36分に先制点。MF城水晃太(3年)のパスから、抜け出したキャプテンのMF竹内崇人(3年)が左足で蹴り込んだ。

 その後は玉野光南もCKを得て同点の機会をうかがったが実らず、逆に広島ユースが前半アディショナルタイムの45分+3分に追加点を奪う。右サイドでボールを持ったFW菅野が、スピードに乗ったドリブルで玉野光南DF大原瑠衣斗(3年)を振り切ってエリア内に侵入し、右足つま先でゴールへ。直後に前半終了のホイッスルが鳴る、まさにラストプレーで2-0として前半を終えた。

 良い時間帯にリードを広げた広島ユースは、後半立ち上がりの2分にも加点。ハーフウェーラインから少し敵陣に入ったあたりでパスを受けたMF竹内が、前に出ていた玉野光南GK有元の位置を見逃さず、約45メートルのロングシュートを決めて3-0とする。

 優位を決定的なものとした広島ユースは、交代枠の上限7人をすべて使う選手交代で顔ぶれを入れ替えながら、なおも攻め立てる。玉野光南も懸命に粘ってゴールに迫るシーンを作ったが、広島ユースは42分にMF竹内がハットトリックを達成する4点目。さらにアディショナルタイムの45分+1分にもMF福崎伶青(3年)が決め、5-0として試合を締めくくった。

 広島ユースの高田哲也監督は、先制点までに時間がかかった展開を「ガチガチでしたね。今年初めての公式戦なので、普通に緊張していた」と苦笑い。それでも「最初はうまくいかなかったけれど、悪いなりに試合を運ぶことができていた。初戦ということを考えれば、決して悪いことではない」と選手たちのプレーを評価した。

 他の10チームがすべてプリンスリーグ勢のため、唯一の『格上』として戦うリーグ戦。今年度は昇降格もないため、相手が常に失うもののない精神状態で向かってくることが予想されるが、それでも内容・結果とも圧倒する試合を続けることが理想だろう。高田監督は「もちろん、そういう状況が作れればいい。相手はウチをリスペクトしてくれて、1つ、2つのチャンスを狙ってくると思うので、そこでやられないこと。あとは自分たちが意図した攻撃・守備がきちんとできるかどうか」と、12月末に開催される日本クラブユース選手権(U-18)大会も見据えつつ、このリーグで目指すべきものについて語った。

(取材・文 石倉利英) 
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