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敵将も認める“えげつなさ”。クラブ最年少プロデビューのMF中村仁郎が全得点に絡み、G大阪ユースが快勝

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ガンバ大阪ユースはMF中村仁郎が全4得点に絡む活躍

[9.6 スーパープリンスリーグ関西第2節 G大阪ユース 4-0 三田学園高 万博OFAフットボールセンターB] 

 6日、高円宮杯 JFA U‐18 サッカースーパープリンスリーグ2020 関西Bグループ第2節でガンバ大阪ユース (大阪)と三田学園高(兵庫)が対戦。2ゴールを奪ったMF中村仁郎(2年)らの活躍により、G大阪が4-0で快勝した。

 複数人でボール奪取を狙っても、手玉に取られる。少しでも対応が甘ければ、正確なシュートを打たれてしまう。敵将である三田学園の福原幸明監督が、試合後に「14番がえげつなかった」と舌を巻いたのも無理はない。この日の一戦は、中村の無双ぶりが印象に残るゲームだった。

 中村は人数をかけた守りで持ち味であるドリブルを封じられ、無得点に終わった前節の大阪産大附高戦の反省を踏まえ、ポジショニングと仕掛けの意識を変えたという今節は序盤から右サイドで躍動。相手との間合いを上手くとってボールを受け、1対1の勝負を上手く自らの物にすると、巧みな駆け引きから相手の裏をとり、縦への突破を繰り返した。前半6分には鋭い仕掛けから右CKを奪うと、中村の上げたクロスからMF齊藤海一(3年)がヘディングシュート。ゴールに鋭く向かったボールはDFに当たり、そのままゴールネットに突き刺さった。

 長所はドリブルだけでない。「最初はいつもシュートを考えている」と話すゴールへの積極性を感じさせたのは22分。センターサークル付近で味方が競り合ったこぼれ球を拾った中村は、「二つくらいスルーパスを出したら、キーパーの反応が速かった。高い位置を取るタイプのキーパーなので、咄嗟にシュートを打てば入ると思っていた。次にボールが来て、良い所にボールが置ければシュートを打とうと決めていた」と迷うことなく、ゴール目掛けてループシュートを放つと、GKの頭上を越えて、2点目となった。42分には右サイドを中村、FW坂本一彩(2年)と繋ぎPA右に展開。「今日は点を獲りたかったので、前に積極的に行こうと思った」と振り返るMF三木仁太(2年)がGKとの1対1を決めた。

 対する、三田学園は「粘り強く我慢してから、攻撃の時間を作りたかった。0-2までなら何とかなると思っていたけど、3点目がいらなかった」(福原監督)と悔やまれる前半となったが、後半はMF黒瀬太軌(3年)とMF米田和真(2年)が積極的に縦パスを配給。高さと速さを備えた注目のFW長野壮(2年)がゴールに迫る場面が増えたが、1点が奪えない。

 すると、後半16分には再び中村が魅せる。自陣から繰り出したDF大野榛里(3年)のロングフィードを右サイドで受けると、素早くドリブルでDFをかわし、豪快に左足シュートを叩き込んだ。試合はそのまま4-0でタイムアップを迎え、G大阪が2連勝を達成した。

 中村は昨年7月にG大阪U-23の一員として、ガンバ史上最年少デビューとJリーグ歴代3位の若さとなる16歳10日での初ゴールを奪ったが、今季は二度の怪我によって、まだJ3での出番を掴めていない。昨年12月に右ひじを痛めて手術。復帰後の今年3月には左足の股関節を痛め、プレーから離れた。だが、リハビリと並行して筋トレと身体のコーディネーションアップに着手したおかげで、昨年感じた課題の解消が進んでいる。レベルの違いはあるが、スーパープリンスの2試合で昨年からの変化を感じており、「今年はJ3で、もっとやれるかもと思っています」と自信を覗かせる。

 5日の仙台戦でJ1デビューを果たしたFW川崎修平や、8月のルヴァンカップで2ゴールをマークしたFW唐山翔自の存在も刺激になっている。「早くJ3に行って、今年中にプロ契約がしたい」との目標を果たすため、次節以降も大暴れを続けるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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