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後半ATの失点直後に注目2年生FW木原が劇的V弾!!一つ成長示した京都橘が興國撃破!!

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後半アディショナルタイム、京都橘高は2年生FW木原励(9番)が決勝点

[9.26 スーパープリンスリーグ関西第6節 京都橘高 2-1 興國高 J-GREEN堺S11]

 9月26日、高円宮杯JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ2020 関西Aグループ第6節で京都橘高(京都)と興國高(大阪)が激突。注目の2年生FW木原励の劇的な決勝点によって、京都橘が2-1で競り勝った。

 京都橘は徳島内定FW西野太陽(3年)と争奪戦必至の注目FW木原、またJクラブも関心を寄せたDF金沢一矢(3年)らが先発。一方の興國は、内定した金沢ですでに15試合のJ2出場を果たしているFW杉浦力斗(3年)と累積警告で出場停止のCB平井駿助(3年、横浜FM内定)が不在だったが、FW樺山諒乃介(3年)とGK田川知樹(3年)の横浜FM内定コンビやこちらもプロ入り有力なFW南拓都(3年)らが先発に名を連ねた。ともに複数の注目選手を擁し、全国上位と言える力を有する2校の戦い。最後まで目の離せない展開となった熱戦は、京都橘が制した。

 京都橘は立ち上がりから西野が凄みのあるプレー。鋭い抜け出しからDFとのパワー勝負も制してゴールへ向かうなど、攻守両面でチームを引っ張る。3分に放った強烈な左足シュートはGK田川が対応。だが5分、その西野が獲得した右CKをWB中川樹(3年)が左足で蹴り込むと、ファーサイドのDF久末達哉(2年)が頭でゴールを破った。

 直前の鳥取遠征でチャンスを掴み、米澤一成監督も「気分的にも乗っているんじゃないですか。能力的に高いので来年は軸になってもらいたい」という久末の一撃で京都橘がリードを奪った。その京都橘は西野、木原、そしてMF杉本蓮(3年)の3人が推進力のある動き。興國にボールを持たれる時間が増えていたが、奪い返した際には前線の3人がそのキープ力で時間を作り、またセットプレーを獲得して押し返すことに成功していた。

 対する興國は自陣からのビルドアップを徹底。司令塔のMF湯谷杏吏(3年)をはじめ、個々の技術力の高さとポジショニングの良さを見せる興國は自信を持ってボールを動かし、ほぼ失うことなく敵陣へ侵入していく。そして、15分には南が抜群のスピードによって右サイドを打開し、ラストパス。また、FW竹森大(2年)のサポートを受ける樺山がキープ力で違いを見せ、カットインシュートへ持ち込むなどゴールを目指した。

 だが、興國は全体的にクロスや仕掛けにチャレンジする回数が少なく、アタッキングサードでの攻撃は樺山頼みとなってしまう。泥臭くチームのために体を張るMF中野晃弥主将(3年)や金沢、DF小山凌(3年)をはじめ、各選手が規律を守りながら、運動量を欠かさずに我慢強く守る京都橘を攻略することができない。

 京都橘の米澤監督は「戦術的にはキチッとやれたかなと。守備の戦術を持てたというのは良かったと思います」と評価する。その京都橘は後半も相手CKのカウンターから木原が抜け出してフィニッシュ。後半は攻撃でのミスも増え、GK田川やCB中島超男主将(3年)ら個の強い相手の前に攻め切る回数は減ったが、それでもしたたかに2点目を狙い続けていた。

 一方の興國は後半、前半以上にボールを支配していたが、細かなミスや消極的な部分も出てなかなか攻撃の迫力が出てこない。それでも、後半28分に3枚替え。内野智章監督が「対人、ヘディング、配球は別格。歴代ナンバー1は平井だけどその領域に行きそう」と称賛する1年生CB西川楓人(1年)が攻撃のテンポを上げたり、縦パスを通すなど配球を変化させていく。

 試合は1-0のまま突入した後半アディショナルタイムに大きく動いた。興國は交代出場したMF山本蒼太(2年)がなかなか活用できていなかった中央のスペースをドリブルで駆け上がり、縦パス。樺山とスイッチしてDFラインを突破した交代出場FW永長鷹虎(2年)が思い切りよく左足を振り抜くと、ボールはゴール右隅へ吸い込まれた。

 土壇場で追いついた興國のギアがさらに上がる。だが、京都橘は相手の一瞬の隙を見逃さなかった。失点から1分後のアディショナルタイム4分、左サイドの中川がGKとDFラインの間へロングクロス。1バウンドしたボールに走り込んだ木原が頭で決勝ゴールを押し込んだ。失点直後の一撃に京都橘イレブンは大喜び。そのまま試合を締めて強豪対決を制した。

 京都橘はシルバーウィークの鳥取遠征で米子北高、徳島市立高、帝京長岡高と練習試合で対戦。指揮官は「連休の成果が出ました」と頷く。特に守備面に関しては及第点。もちろん、終了間際の失点は反省点だが、そこから1点を取り返したことはこれまで表現できなかった部分だ。

 昨年のインターハイ準決勝、選手権2回戦はいずれも試合終了間際に失点を喫して勝ち切ることができなかった。それだけに、厳しい試合で最後に1点を奪い切ったことの意味は大きい。中野は「取られた後に練習試合とかだったら下向いて逆転されるということが多かったんですけれども、全員でギア上げて2点目行けたというのは成長できていると思います」とチームの進化を実感していた。

 目標は選手権での日本一だ。過去3大会で関西勢の4強入りはゼロ。前回大会で前評判の高かった京都橘はPK戦で初戦敗退に終わっている。「今年こそ、自分たちが」という決意を持っての戦いだ。中野は「京都代表や関西の名前を背負って出ているので、そこはもっと自覚を持っていかないといけないと考えています。『関西、強いな』と言われるように頑張りたいと思います。反省点をしっかり選手権までには改善して、しっかり全国でも優勝できるようにしていきたいです」。まずは、スーパープリンスリーグ関西2試合を経て始まる選手権予選で優勝することに集中する。

(取材・文 吉田太郎)
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