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「サッカー選手として上手くなれる」。前橋育英MF櫻井辰徳は神戸で学び、成長し、夢実現へ

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前橋育英高の神戸内定MF櫻井辰徳

[10.4 プリンスリーグ関東第5節 前橋育英高 2-3 昌平高 前橋育英高高崎G]

 少しでも多くのことを学び、成長する。そして夢を実現するためにヴィッセル神戸へ進む。前橋育英高MF櫻井辰徳(3年)は9月18日に来季からの神戸加入が内定。すでに特別指定選手として登録もされている高体連屈指のボランチだ。

 昨年から名門・前橋育英でレギュラーで、エース番号の「14」を背負う。インターハイなどの好プレーをきっかけに、U-17日本代表候補にも選出された。J1、J2の複数クラブが注目する中、今年3月に神戸へ練習参加。そこで「違うなって。単純にボールを取られないですし、身体の入れ方とか、緩急のところも凄い」MFアンドレス・イニエスタやMF山口蛍から神戸の魅力を大いに感じたという。

「イニエスタ選手だけじゃなくて、同じボランチでも色々なタイプの選手がいて、色々な選手から学べるなというのは練習参加した時に思いました。1年目から出たい気持ちはもちろんあるんですけれども、プロ生活をより長くするためには学ぶということは大事。ヴィッセルへ行けば色々なことを学べる。ここなら絶対に成長できる、サッカー選手として上手くなれる、と思ったので決めました」。新型コロナウイルスの影響によって他のクラブに練習参加することはできなかったが、オファーを受けた神戸への入団で自分が成長することを確信し、決断した。
 
 その櫻井は、昌平高戦で中盤の底の位置から攻撃をコントロール。1タッチのパス交換や縦パスでリズムを生んだ。前半34分には、利き足と逆の左足CKでFW鈴木雄太(3年)の同点ヘッドをアシスト。また、ボール奪取や空中戦でも健闘したが、後半はマークが厳しくなり、なかなかチャンスに絡めないままチームも競り負けてしまった。

 この日はダブルボランチを組んだMF新井悠太(3年)と話し合い、バランスを考えながら下がり目の位置でプレーしていたが、山田耕介監督は前へ踏み込んで崩しにかかわっていく回数の少なさを指摘。また、相手のプロ内定組を意識していたという櫻井は「セットプレーでの違いとか縦パスでの違いは何本か出せたと思うんですけれども……。(彼らに)負けているという感覚はなくて、自分たちのサッカーもできていて楽しかったんですけれども、勝っていればより楽しい。もっとボール触ってプロに決まった3人(昌平MF須藤直輝とFW小見洋太、MF小川優介。翌日にMF柴圭汰もプロ入り内定)に自分を見せたいというのがあった」と悔しがった。

 櫻井の魅力はやはり攻撃面だ。キックは就学前から磨き上げてきた武器。「お父さんに小さい頃、『ドリブルしろ、ドリブルしろ』と言われていたんですけれども、それを無視して(微笑)、壁に向かってずっと蹴っていて、来たボールを止めて・蹴る練習を両足していて、その練習が積み重なって大きな武器になっているのかなと思います」と分析する。

 MF中村憲剛(川崎F)と同じように壁当てがコントロール技術とキック精度、威力の原点。「小さい頃は夢中になって。新しい靴が一週間で穴開くくらい、ボールは蹴っていました」。練習方法は変わったが、現在もキックは突き詰め続けている。

「スイッチを入れる縦パスも自分の武器だと思うので、サポーターの皆さんに見てもらいたい。流れの中のスルーパスも最近良くなっているなという部分があるので、ラストパスなどそういう部分はどんどん見て欲しいなと思います」と神戸サポーターにアピールした。

 この日は相手ベンチから「14(櫻井)を消せ」という声が挙がる中でのプレー。神戸入りする選手として今年、厳しいマークを受けることは覚悟の上だ。昌平戦は随所で好プレーを見せた一方、90分間良いプレーを継続すること、チームを勝たせることができなかった。それだけに、本人は無理矢理にでも自分がボールを受け、「違うプレーをしていかないといけない」と考えている。そして、昨年怪我で出場できなかった選手権全国大会でリベンジすること。日本一を勝ち取って神戸へ進むことを目指していく。

「神戸は国際的なクラブなので、それも決めた理由です。海外の選手が多くて、自分も5年以内に海外に出たいという目標がある」と櫻井。そのためにはまだまだやるべきことがある。より貪欲に成長し、前橋育英、神戸を勝たせ、タイトルを獲得すること。そして、より大きな評価を勝ち取って世界へ羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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