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トップで「Bチームの苦しさ」を誰よりも知る3年生。前橋育英は責任感持って戦うFW鈴木雄太が同点ヘッド

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前半34分、前橋育英高はFW鈴木雄太(20番)が同点ヘッド

[10.4 プリンスリーグ関東第5節 前橋育英高 2-3 昌平高 前橋育英高高崎G]

 仲間の悔しさを最も知っているFWが、貴重な同点ゴールを決めた。前橋育英高は1点差とした直後の前半34分、MF櫻井辰徳(3年、神戸内定)の右CKをニアのFW鈴木雄太(3年)が上手く頭でコースを変えて同点ゴール。難易度の高い一撃を決め、チームに歓喜をもたらした。

「練習でもクロスとかCKとか飛び込むのは(山田耕介)監督からも求められているので、難しかったんですけれども、しっかりボールに合わせられるようにタイミング合わせてニアに決められたと思います」と鈴木。この日は泥臭く相手の背後を狙い、DFと競りながら強引に前進しようとしていた。前半31分に左SB相川陽葵(3年)が決めたFKを獲得したのも鈴木だ。

 守備も運動量を増やして奮闘。プリンスリーグ関東は前節の東京Vユース戦が初先発というFWは、攻守両面で気持ちの込もったプレーを見せた。前日3日の選手権群馬県予選1回戦も先発し、3得点。掴みかけているものを絶対に離したくないという思いがある。

「夏とかはBとかでやっていたりもしたので、でも目標を見失わず、しっかり積み重ねが大事だと思って自分なりに努力を重ねて、最近結果として出てきて監督も見てくれていたので、これを続けてしっかりと手にしたものを落とさないように。しっかり自分のものにしたいと思います」

 この夏にこだわってきたのは結果と守備だ。「技術的にあまり高いタイプではない」と自己評価するFWは、DF背後への抜け出しやゴール前への飛び出し、強引に突破してシュートへ持ち込むところでゴールを奪い、求められている守備を必死に表現しようとしてきた。

 その姿をコーチ陣は見逃さなかった。山田監督は「(現状は)雄太だろうね」と認めて先発起用。それに対して鈴木は「Bチームから上がってきた人間なので、試合に出られないとか、なかなか評価されないという苦しさを多分今、トップで出させてもらっている人間で一番分かっていると思うので、そういうところは責任持ってやらないといけないなと常に思っています」。仲間たちの思いも込めて戦っていることを明かした。

 がむしゃらにプレーするだけでなく、課題を見つけ、修正を繰り返してきたからこそ現在がある。「もちろん、まだ全然足りないんですけれども自分で考えて、行動に移してまた課題を見つけて修正してというのが結構早いスパンでできるようになってきているので、それが成長に繋がっていると思います」と分析。気を抜くことなく自分に求めて、結果に繋げていく。

 選手権予選へ向けては「自分のストロングポイントを出すことでチームのみんなを活気づけたい。何よりも結果を残して、自分が失点よりも多く点を取ればチームが勝てるので、結果を残すことと、求められていることをしっかりこなすという2点を意識して臨みたいと思います」とコメント。しっかりと考えながら、全力で2つのノルマを実行し、前橋育英の勝利に貢献する。

ゴールを喜ぶFW鈴木雄太ら前橋育英高イレブン

(取材・文 吉田太郎)
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